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2005年6月28日 (火)

サステイナブルな本 -Part2-

先月末にご紹介した「サステイナブルな本-Part1-」の第2段です。「成長の限界」や「エコロジカル・フットプリント」の本を読んで、サステイナブル(持続可能)な発展が重要だと気がついたときに、では自分達はどうすれば良いのかを知ることができる本です。

カサンドラのジレンマ -地球の危機、希望の歌-
     アラン・アトキソン著、枝廣淳子訳、PHP出版、2003

著者のアラン・アトキソン氏は、自治体としての持続可能性指標への初の取り組みである「サステイナブル・シアトル」を立ち上げた持続可能性コンサルタント(スウェーデン在住)として有名です。

本書の前半はあの「成長の限界」に書かれている内容を再考し、本書のテーマになっている「カサンドラのジレンマ」について解説しています。カサンドラは伝説のトロイ最後の王の末娘でしたが、未来を予言する力を身につけてしまった為にあるジレンマに陥ります。あの有名なトロイの木馬がトロイを滅ぼすことを予言したのですが、人々に受け入れられずにトロイが滅亡してしまったのです。予言は見事に的中しますが、国は滅びてしまったということなのですが、もし予言が的中しなかった場合でも嘘つき呼ばわりされるというジレンマがここにはあります。アトキソンは成長の限界や地球環境問題を訴えることに、この様なジレンマがあると指摘しています。

この様なジレンマの状況の中で様々なアプローチがありえます。限界を信じずにこのままの成長を突き進む、あきらめてこのまま現状維持とする等が考えられますが、アトキソンは第3の道を推奨しています。それが「持続可能性(サステナビリティ)」や「持続可能な(サステイナブル)」というキーワードに象徴されるアプローチです。このアプローチは、人類社会の成長の限界をシステム思考の観点から認識しつつ、現状を変える努力を様々なイノベーションを通じて懸命に行うことを示しています。

ここで、アトキソンが示す「持続可能性の7原則」を列挙します。特に最後の「創造性」がこれからの取り組みには重要だと訴えています。つまり現状維持ではだめだということです。

  • 長期的に考える
  • システムを理解する
  • 限界を認識する
  • 自然を保護する
  • 従来のビジネスを変革する
  • 公平であること
  • 創造性を大切にする

持続可能な発展への取り組みの手法についても幾つか示されています。

まず、一つ目が「持続可能性指標」です。一般的な指標というとGDPや平均株価などの経済指標を指しますが、持続可能性を示す一般的な指標はまだ存在しません。しかし、ここ十数年間の取り組みにより欧米を中心に多くの指標が生まれ、活用されて来ています。何故、指標が重要なのでしょうか。指標により人々は現在の状況を客観的に知ることができ、対策(フィードバック)を講じることができるのです。実は多くの社会活動は「指標」によるシステムで動いていますので、これを持続可能な発展でも応用できるはずだという考え方です。アトキソンは指標を「環境(Nature)」、「経済(Economy)」、「社会(Society)」、「福祉(Well being)」の4軸に分類して「コンパス」に見立てており、この考え方は先日発表された「JFS指標」でも生かされています。

さらに変化するための「イノベーションの普及」についても言及しており、「イノベーション考案者」、「イノベーション推進者」、「イノベーション実行者」という3つの担い手が必要だとしています。私達は、イノベーション(変化)の担い手としてこのいずれかになることができるはずだと言っているのです。

少し長くなってしまいましたので、最後に本書に関連する本やリンクを紹介します。

推薦図書「自然資本の経済 「成長の限界」を突破する新産業革命
ポール・ホーケン、エイモリ・ロビンス、ハンター・ロビンス著、日本経済新聞社、2001

セミナー報告「持続可能な社会をつくる指標とは」
      環境自治体会議環境政策研究所所長 中口穀博氏
http://www.geic.or.jp/geic/partnership/sd/05/041207_01.html
参考資料「持続可能な発展と地方自治体における政策形成とシミュレーション」
     東洋大学国際地域学部教授 池田誠氏
http://www.itakura.toyo.ac.jp/~ikeda/SimTaKN/SimTaKN-TOOL-BOX/Application/Seattle/20050114/20050111Seattle.pdf

12:36 午後 環境 |

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