« サステイナブルな生活とは? | トップページ | サステイナブルな本 -Part2- »

2005年6月23日 (木)

サステイナブルな失敗学

「失敗学」という学問をご存知でしょうか?東大の先生をしていた畑村洋太郎氏が自ら考案した学問で、日本の経済成長の中で実施されたきた様々な産業活動を観察した結果、「失敗」に関するある法則に気がついたということです。ここでは、最近出版された「失敗学の法則」という本から持続可能性と関係のありそうな話題を取り上げてみたいと思います。

私も以前ある学会で、畑村先生の講演を聞いたことがありますが、他には無い視点で、とても感銘を受けました。「失敗」したことを認めるのは非常に勇気がいることですし、人の失敗を指摘することも難しいことが多く、ましては「失敗」自体を評価してその後の「成功」つなげるのは至難の業と言ってもよいでしょう。そこをあえて「失敗」を前向きに捉えて、原因を追究し、そこから学び続けることが重要だと指摘しています。

持続可能な開発を行い発展する上で、この「失敗学」はとても重要な視点を提供していると思います。まず、持続可能な開発あるいは発展は、これまでの経済優先の開発の反省あるいは失敗から導きだされるものだからです。持続可能な発展の為には、何故、経済優先の社会が現在の様々な環境・エネルギー問題を引き起こしているかという原因を探る必要があります。

「失敗学」では原因を「要因(動機)」と「からくり(特性)」に分けて考えます。経済優先の社会の要因(動機)は、明らかに人間の向上心であり、より良い生活を望むことであり、飽くなき欲望です。ここには人間特有の(他の動物には無い)要因があります。しかし、この要因だけでは、現在の持続不可能になりかけている経済優先の社会にはなりません。そこに何らかの「からくり(特性)」が存在することになります。

経済優先の社会を導きだす「からくり」は18世紀の産業革命から始まる技術革新やそれを取り巻く様々な経済理論なのかもしれません。現在の企業の特性も「からくり」のひとつでしょう。持続可能な社会を目指すには、飽くなき成長を続ける経済優先の社会を「失敗」と考えて、その「からくり」を明らかにして、変えていく必要があります(人間の欲望などの要因については変えるのはなかなか難しいと考えられます)。

「失敗学」では、「質的変化を見落とすな」ということが言われます。これは、産業などの成長の初期では量的変化を追及しますが、成長が成熟期を迎える前に「質的」な変化をしなければ衰退へ向かうということです。人類はまさに経済成長における成熟期を迎えており、ここで質的な変化をしなければ衰退に向かうというあの「成長の限界」と同様の結論を導きだしています。

その他の「失敗学」の多くの知見が、持続可能な社会をめざす有力な手法を示していると考えられます。ここでは、「失敗の理解に不可欠な知識」および「失敗から身を守る」として列挙された項目のみを示し、また別の機会にご紹介したいと思います。

  • 「暗黙知」を生かせ
  • 質的変化を見落とすな
  • 「チャンピオンデータ」は闇夜の灯台
  • 「山勘」は経験のエッセンス
  • すべてのエラーはヒューマンエラーである
  • 新規事業は隣接分野でしか成功しない
  • 「責任追及」と「原因究明」を分けろ
  • 当事者の視点からでしか正確に伝わらない
  • 「遠慮のかたまり」が失敗の温床となる
  • 「見えない関連(リンク)」を見ろ
  • 過度の経済性追求が技術を殺す
  • 「情報断絶」が諸悪の根源
  • 「不作為」は犯罪的失敗となる
  • 「潜在失敗」を顕在化せよ

10:22 午後 サステイナブル |

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/107595/4678885

この記事へのトラックバック一覧です: サステイナブルな失敗学:

コメント

コメントを書く