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2005年6月13日 (月)

エコロジカル・フットプリント

 前回から少し日が経ってしまいましたが、引き続き持続可能性に関する「指標」についてお話したいと思います。今回は「エコロジカル・フットプリント」です。

 現在、もっとも注目されている持続可能性指標である「エコロジカル・フットプリント(Ecological Footprint)」(以下、EF)は、10年ほど前にマティース・ワケナゲル氏(Mathis Wckernagel)とウィリアム・リース教授(William E. Rees))が発表した比較的新しい指標ですが、すでに英国を中心に広く普及をし始めています。最近、日本で発刊されたあの「成長の限界」の中でも重要な指標として取り上げられており、今後、地球、国、地域、企業、製品あるいは家庭の持続可能性を評価する上で、重要なツールとなることは間違いありません。
 フットプリントは「足あと」ですが、「エコロジカル・フットプリント」とは、「ある一定の人口あるいは経済活動を維持するため資源消費量を生み出す自然界の生産力、および廃棄物処理(CO2等も含む)に必要とされる自然界の処理吸収能力を算定し、生産可能な土地面積に置き換えて表現する計算ツール」です。ようするに人間の活動に対するインプット(生産力)とアウトプット(吸収力)による環境への影響を、比較的簡便な方法で、総合的に計算することが可能となります。
 この方法を紹介している書籍としては、1995年に英語版が出版され、日本ではやっと昨年2004年に翻訳出版された、「エコロジカル・フットプリント」(合同出版)があり、わかりやくすその考え方や計算方法を解説しています。最近出版された本では「エコロジカル・フットプリントの活用」(合同出版)があり、具体的な計算方法、活用事例などを紹介しています。
 インターネットでも、 ワケナゲル氏が代表を務めるNPO「グローバル・フットプリント・ネットワーク(GFN)」や英国の環境コンサルティング会社「ベスト・フット・フォワード(BFF)」などから様々な情報を得ることができます。日本でもNPO法人「エコロジカル・フットプリント・ジャパン」が最近設立され、活動を開始しており、会員募集中です。
 では、実際にEFを計算するとどの程度なのでしょうか?全人類一人当たりのEFが1999年時点で2.3gha(グローバルヘクタール)に対して、日本人のEFは一人当たり4.8ghaとなっていますが、これは欧州主要国より幾分小さい面積となっており、米国の半分以下の面積です。ここで、gha(グローバルヘクタール)は、土地の種類(農地、牧草地、森林地など)ごとの等価ファクターから計算した生産可能な面積で、全世界の生産可能な土地の合計は114億ghaとなります(地球表面積の1/4)。
 人類全体のEFを、現在の地球の面積と比較して見ると、1980年頃にちょうど同じ程度(地球1個分)になっており、2000年の集計では地球の1.2倍以上になっていることがわかりました。実は、人類はすでに持続可能なレベルを超えている状態(オーバーシュート)ということが分かったことになります。このままオーバーシュートの状態を続けるとどうなるかは、「成長の限界」を読めばわかりますが、とにかくオーバーシュート状態を解消して、持続可能な社会となるための努力を今すぐ始める必要がです。その為にも、国よりももっとミクロな単位(地域、企業、家庭など)でのEFによる評価が重要になってきます。

01:24 午前 環境 |

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コメント

私は10年以上廃棄物、エネルギーのコンサルをしています。リオサミットでのサステイナブルデベロップメント、沈黙の春などを懐かしく思い出します。最近、地球環境や温暖化防止と称するビジネス目的の企業・人種が多すぎます。あがけばあがくほど環境は悪化します。自然に任せ行き着くところに行けば生物はそこでまた生きてゆくはずです。100年先を心配しても始まりません。人類は歴史が示すように環境に応じて知恵を出し万年も生きてゆくでしょう。私は人類の馬鹿さを漸く知りました。恐竜が絶滅したように人類が絶滅しても地球は何も変わりません。
さめすぎていますね。

投稿: えびす | 2005/06/14 18:32:31

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