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2005年7月25日 (月)

システム思考(System Thinking)

この社会の持続可能性を考える上で重要な手法のひとつに「システム思考(System Thinking)」があります。現代の社会は正に複雑な多くのシステムが寄り集まって成り立っていると考えることができますが、普段、私達がこれらのシステムの動きや原理を直接意識することはほとんどありません。むしろ複雑なシステムをブラックボックス化して、できるだけ分かり易い形で認識することにより、それらのシステムをなんとか使いこなしているといった状況でしょうか。

環境問題などの解決の難しい複雑な課題に対して、問題全体の構造とその構成要素の関係性に目を向けて解決のための方法を探る手法が「システム思考」です。システム思考の特徴に時間の概念があります。構成要素の関係は静的(スタティック)なものではなく、動的(ダイナミック)なものだということです。構成要素の間の何らかの関係により、構成要素の値(指標)は、ダイナミックに変化します。このとき通常の因果関係だけでは説明しきれない動きを示すことがあり、システム思考の有効性がわかります。ここで「フィードバックループ」という考え方が重要となります。いわゆる好循環や悪循環という言葉で表されるものですが、好循環を作るにはどうしたら良いのか、悪循環を断ち切るにはどうしたら良いのかがシステム思考の考え方で分かる場合があります。

システム思考は、社会の持続可能性を考える上で何故重要なのでしょうか。あの有名な「成長の限界 人類の選択」という本では、このシステム思考を取り入れたコンピュータモデルにより持続可能な社会がどのように実現できるかのシミュレーションを行っています。この社会の様々な要素(人口、資源、社会資本、汚染レベルなど)の関係をモデルに取り入れていますが、持続可能な社会を実現する為には、これらの要素の微妙なバランスをいかにとるかということが課題になります。これまでの様に成長を続けることのみを目標にした社会では、常に正のフィードバックループにより成長が続きますが、資源や汚染レベルなの制約条件によりそのフィードバックループが急激に負の方向に変わることが予測されています。持続可能な社会は、このフィードバックループが常にバランスするような状態に維持することが必要となります。

しかし実は単にループのバランスをとるだけでは、問題の解決にならないことが分かっています。それは、「行き過ぎ」の問題です。これまでの経済社会の成長や人口増加の結果、必要な資源の消費速度は、本来地球環境が持つ再生可能なレベルをすでに超えており、地球温暖化問題における大気中の二酸化炭素濃度と排出量の関係と同じように、持続可能なレベルにするためには行き過ぎた分を回復するプロセスが必要となります。これは一度壊れてしまった人間関係や国家間の紛争を修復する難しさと似ているかもしれません。持続可能な社会を作るプロセスは、平和を維持するプロセスと似ており、明確なビジョンを持つ多くの英知と、このシステム思考によるバランス感覚が必要なのではないでしょうか。

[参考文献]

最強組織の法則」P.M.センゲ、徳間書店、1995
システム・シンキング」V.アンダーソン他、日本能率協会マネジメントセンター、2001
システム・シンキング トレーニングブック」V.アンダーソン他、日本能率協会マネジメントセンター、2002
学習する組織 5つの能力」P.M.センゲ他、日本経済新聞社、2003
システム・シンキング入門」西村行功、日本経済新聞社、2004
成長の限界 人類の選択」D.L.メドウズ他、ダイヤモンド社、2005
地球のなおし方」枝廣淳子他、ダイヤモンド社、2005

11:14 午後 環境 |

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