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2005年8月23日 (火)

環境基本計画への意見募集

日本が持続可能な社会を実現する上で、国民や企業の取り組みも大切ですが、国の政策が非常に重要になってきます。その意味で、これまで「持続可能性」を表に掲げた国の政策はほとんどありませんでした。もちろん、循環型社会を目指すゴミ問題への取組みや、省エネルギー、地球温暖化対策など問題毎の政策や対策は取られてきていますが、日本全体が現在の緊迫した複雑な環境問題に対して今後のどのようなビジョンを持って進んでいくのかは示されていませんでした。むしろ、先進的な地方自治体や企業が、これらの問題に進んで取組む事例が最近増えて来ています。これらの取り組みを点から面へ展開する上でも国の政策は重要です。

国の環境政策の基本となる、「第三次環境基本計画」の策定に向けた意見募集が行われています。環境基本計画は、1993年に施行された環境基本法に基づき5年毎に策定されています。今回は環境分野だけではなく、持続可能な社会を目指す為の政策のあり方として非常に興味深い内容になっています。意見募集の締め切りが8/31(木)ですので、意見を書いて送るのも良いかもしれません。

[環境基本計画のあり方に関する意見募集]
http://www.env.go.jp/press/press.php3?serial=6189

今回の環境基本計画の策定では、「持続可能な社会」の構築を目指すことが
基本的な理念として打ち出されています。

[第三次環境基本計画策定に向けた考え方(計画策定に向けた中間とりまとめ)]
http://www.env.go.jp/info/iken/h170831a/h170831a.html

中央環境審議会総合政策部会においての審議過程(議事録)も公開されており、
興味深い議論が展開されているようです。

[中央環境審議会総合政策部会議事録]
http://www.env.go.jp/council/02policy/yoshi02.html

この「第三次環境基本計画策定に向けた考え方」の目次は以下のような内容です。

1. はじめに

 持続可能な社会の基本となる3つの関わり、

  • 物の面からみた環境と我々の関わり(環境容量とのバランス)
  • 心の面からみた環境と我々の関わり(環境との生き生きとした関係)
  • 環境を介した、将来世代、世界の様々な地域の人々との関わり

 「持続可能な社会」とは、人々の生活の基盤をなす環境を健全で恵み豊かな状態に維持し、この環境との関わりを確保することを通じて、今日の多様化する国民の期待に応えることのできる社会。

2. 第三次環境基本計画策定に向けての現状と課題

(1) 踏まえるべき経済・社会の現状(世界の現状、日本の現状)

(2) 環境の現状(地球温暖化、京都議定書、廃棄物最終処分量、生物多様性保全、外来種問題)

(3) 解決すべき課題(環境負荷の削減、価値観の多様化、環境と経済の好循環、環境保全活動、役割分担の見直し、環境問題の実感、情報共有・コミュニケーション、有害物質、国際的な取組み)

(4) 持続可能な社会に向けての環境面からの理念(環境容量、予防的観点、公平性、循環、自然との共生、持続可能性、自発的行動、地球規模の体制)

3. 今後の環境政策の展開の方向
 持続可能な社会を作りだすための考え方

(1) 環境的側面、経済的側面、社会的側面の統合的な向上

  • より良い環境のための経済とより良い経済のための環境の実現
  • より良い環境のための社会とより良い社会のための環境の実現
  • 環境的側面、経済的側面、社会的側面が統合的に向上するライフスタイルへの転換に向けて

(2) 環境保全上の観点からの持続可能な国土・自然の形成

  • 自然環境の多様性の維持と質の回復・向上
  • 既存ストックの活用や農林業の機能にも着目した、環境保全上の観点から考えられる持続可能な国土づくりの推進

(3) 技術開発・研究の充実と不確実性を踏まえた取組

  • 科学的知見、化学技術の充実
  • 施策決定における最大限の科学的知見の追及
  • 不確実性を踏まえた施策決定と知見の向上等に伴う施策変更の柔軟化

(4) 国、地方自治体、国民の新たな役割と参加・協働の推進

  • 国、地方公共団体、民間の役割を踏まえた連携の強化
  • 施策プロセスへの広範な主体による参画の促進
  • 行政と民間とのコミュニケーションの質量両面からの向上

(5) 国際的な戦略を持った取組の強化

  • 国際的枠組みでの持続可能な開発を目指した戦略的な取組の強化
  • 国際的なルールづくりへの積極的な参画
  • 国際社会の状況を意識した我が国における持続可能な社会づくり

(6) 長期的な視野からの政策形成

  • 50年といった長期的な視野を持った取組の推進
  • 長期的な取組のための知見の充実

4. 持続可能な社会に向けた重点的な取組

(1) 本計画の視野(21世紀最初の四半世紀における社会構築の方向と環境政策)

(2) 重点分野の等の考え方(優先的に取り組むべき重点分野、中長期的な目標、主体ごとに行動を明確化、指標の検討)

(3) 個別的分野:個別の事象ごとに必要となる具体的な分野

  • 地球温暖化対策
  • 物質循環の確保と循環型社会の構築のための取組
  • 都市における良好な大気循環の確保に関する取組
  • 環境保全上健全な水循環の確保に向けた取組
  • 化学物質の環境リスクの低減
  • 生物多様性の保全の問題

(4) 横断的分野:領域を横断した取組や政策手段に着目した分野

  • 市場において環境の価値が積極的に評価される仕組みづくり
  • 環境保全の人づくり・地域づくりの推進
  • 技術開発の推進と長期的な視野を持った手法・情報等の基盤の整備
  • 国際的枠組みやリールの形成への貢献

5. 第三次環境基本計画の構成について

10:36 午前 環境 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2005年8月12日 (金)

コミュニティ・ビジネス

今回は、最近日本でも注目されているコミュニティ・ビジネスのお話です。夏バテのせいか前回の記事から10日以上もたってしまいましたが、ついに30回目の記事となりました。投稿頻度が少なくなる傾向にありますが、できれば1週間に1回の投稿を目標にしてサステイナブル(持続可能)なブログを目指したいと思いますので、今後ともよろしくお付き合いください。

コミュニティ・ビジネスは、従来の企業によるビジネスや行政やボランティアによるサービス提供とも一線を画するビジネス形態です。持続可能な地域づくりの中での、核となる存在として注目されています。「英国の持続可能な地域づくり」という本から抜粋すると、コミュニティ・ビジネスとは「一定の地縁コミュニティにおいて活動を展開するビジネスで、地域に必要なもの、サービスの提供を行う。ビジネスに出資する地域住民が所有し、地域に利益が還元される。」と述べられています。日本で言う「生協」の活動がそれに近いかもしれませんが、サービスを単なる品物の提供から地域に関わる環境やエネルギーまで広げていることが特徴だと思います。英国での事例が、上記の本に詳しく書かれており、行政や企業主導ではない、市民による持続可能な地域づくりにとって、コミュニティ・ビジネスが重要な存在であることがわかります。

日本では、2年程前から経済産業省と環境省がこのコミュニティ・ビジネスに関連する事業を行っています。国主導で、地方の活力を高めて行こうという従来型の補助事業の様にも見えますが、積極的にこの機会を捉えることにより、持続可能な地域づくりを目指す姿も少しずつですが、見えてくるかもしれません。

まず、経済産業省は、平成15年度より「環境コミュニティ・ビジネスモデル事業」として循環型社会や再生可能エネルギーなどを地域づくりに取り入れたモデル事業を支援しています。毎年、十数件が採択され一件あたり数百万円の委託事業ですので、他の補助事業に比べれば決して大きくはありません。

[環境コミュニティ・ビジネスモデル事業]
http://www.meti.go.jp/policy/eco_business/community/index.html

一方、環境省は平成16年度より「環境と経済の好循環のまちモデル事業」として毎年10件程度を採択し、大規模な事業では1億円以上を委託事業や補助金交付に当てています。特に温暖化対策に重点をおいており、省エネや再生可能エネルギーの活用が目立ちます。この事業は「HERB構想」という環境と経済の好循環ビジョンに基づいて行われています。

[環境と経済の好循環のまちモデル事業」
http://www.env.go.jp/press/press.php3?serial=6256
[HERB構想「環境と経済の好循環ビジョン」]
http://www.env.go.jp/policy/env_econo/herb.html

経済産業省が環境に力を入れ、環境省が経済に力を入れるというクロスオーバな形があるような気がしますが、これは歓迎すべき状況で、もっと多くの省庁や地方自治体、企業、NPOなどが持続可能な地域づくりを支援する活動になればと感じます。 民間の研究所である「サステイナブル・コミュニティ研究所」では、英国で始まったコミュニティ持続可能性評価(CSA:Community Sustainable Assessment)というコンサルティング・サービスを行っています。

英国でも行政主導で持続可能な地域づくりの取り組みが始まり、次第に市民主体の取組み変わって来たという歴史があるようです。日本もこれからの10年あるいは20年で、持続可能な地域づくりへの取り組みが大きく変わって行くのではないでしょうか。

11:25 午後 環境 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2005年8月 1日 (月)

太陽光発電

再生可能エネルギーの中で、日本でもっとも普及している太陽光発電について取り上げます。太陽光発電の歴史は古く、1953年に太陽光発電が発明されて5年後の1958年には国内で研究開発を開始しています。現在までの47年間に太陽光発電装置は飛躍的な発展を遂げ、いまや日本が世界第一位の太陽光発電装置の生産国であると同時に世界一位の発電能力を誇っています。

太陽光の日本の状況について詳しい資料を探していたところ、今月7/4に在日ドイツ商工会議所が開催したセミナーで発表された資料がありました。この中に太陽光発電装置メーカである京セラが日本の現況について発表しています。

[第二回ドイツ再生可能エネルギーの現状と技術紹介セミナー」
http://www.dihkj.or.jp/dena2005web.html
[日本の太陽光発電の現況について]
http://www.dihkj.or.jp/pdf_files/Kyocera.pdf

この資料によると、2004年度末の太陽光発電装置の設置能力は100万kWを超えて113万kWと順調に増加しており、原発1基分に達しています。さらに2010年までには482万kWを目標にしています(資源エネルギー庁新エネルギー部会)。

現在の太陽光発電の普及には幾つかの要因があります。太陽光発電については、これまでもNEDOなどの政府機関が技術開発や設置時の補助事業を行ってきていますが、発電した電力の買取については各電力会社が自主的に買取価格を販売価格と同じにしています。この制度により設置の運用に伴うユーザの負担が軽くなっているので導入がここまで進んだという経緯があります。東京電力の場合のメニューは以下のとおりです。

[太陽光・風力発電からの余剰電力購入について(東京電力)]
http://www.tepco.co.jp/partner/pricing-pc/taiyoukou.pdf

太陽光発電装置のメーカなどが集まった太陽光発電協会のホームページにも太陽光発電に関する豊富な資料があります。6/15-17には定例のシンポジウムがあったようです。

[太陽光発電協会]
http://www.jpea.gr.jp/
[第22回太陽光発電システムシンポジウム結果報告]
http://www.jpea.gr.jp/6/6-6.htm

太陽光発電は、日本の再生可能エネルギーのトップランナーですが、他の再生可能エネルギーと調和しながらさらに普及が進むことが期待されます。

12:45 午前 エネルギー | | コメント (0) | トラックバック (0)