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2006年2月20日 (月)

排出量取引

京都議定書が発効して1年が経ち、2008年の第一約束期間が迫ってくる中で、最近、「排出量取引」あるいは「排出権取引」という言葉が良く聞かれるようになりました。もちろん、世の中には様々な環境に悪いものが「排出」されていますが、ここで「排出」されているのは二酸化炭素(CO2)やメタンガス(CH4)などの「温室効果ガス」です。

先日、この排出量取引に関するシンポジウムに参加して来ました。日本国内の排出量取引制度は、現在、この環境省のものが唯一の様ですが、2008年の京都議定書の第一約束期間に向けて海外では様々な動きがあるようです。今後は国内の動きにも注目していきたと思います。

[IGES:公開シンポジウム:国内排出量取引制度]
http://www.iges.or.jp/jp/news/event/event30/index.html

排出量取引に関する主な動きはカテゴリー別に分けると以下のとおりですが、特にヨーロッパでの動きが盛んになっています。

(1) 国際排出量取引制度

世界レベルでの各国が規制の対象となり、国際間で排出枠の取引が可能

例:京都議定書での排出量取引制度(京都メカニズムのひとつで、参加主体は附属書I国)

(2) 域内排出量取引制度

ある特定の地域内の各国・企業等が規制対象となり、その域内で取引が可能
法律や条約に基づいて、企業などに所定の排出枠を配分する「参加義務型」が主流

例1:EU-ETS(EU排出量取引制度)
   2005年よりCO2を対象にスタート(域内排出量の44.5%をカバー)
例2:米国東部7州内排出量取引制度(RGGI) <--- 2009年スタート予定

(3) 国内排出量取引制度

特定国内のみの企業等を規制対象とし、その国内での排出枠の取引が可能
現在は、自主的に排出削減目標を設定する「自主参加型」が主流

例1:UK-ETS(英国排出量取引制度) <--- 2002年から2006年まで実施
例2:環境省自主参加型排出量取引制度 
   第1期2005年度開始(2年間)、2006年度に平行して第2期開始予定
例3:CCX(シカゴ気候取引所) <--- 6種類の温室効果ガスを対象

その他、ノルウェー(2005年から)、カナダ(2008年から)など

(4) 社内排出量取引制度

特定の企業内の各部門・部署を規制対象とし、その企業内で排出枠の取引

事例はあまり知られていませんが、インターネットで検索すると松下電器の取り組みが比較的多く紹介されています。


11:21 午後 脱温暖化 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2006年2月18日 (土)

脱温暖化2050シンポジウム

16日に開催された環境省主催のシンポジウム「脱温暖化社会に向けた挑戦」に参加して来ました。少し遅れていったのですが、300名入る会場はほぼ満席で、京都議定書発効から1年目のイベントということもあったと思いますが、関心の高さを窺うことができました。これもポスト京都議定書の動きのひとつだと思いますが、この様な動きをきっかけに日本人の苦手な長期ビジョンについて、市民や経済界なども参加して活発な議論や行動ができるようになれば、とても素晴らしいことだと感じました。

[シンポジウム:脱温暖化社会に向けた挑戦]
日時:2006年2月16日(木) 18:00-20:30
場所:青山スパイラル
http://2050.nies.go.jp/sympo/20060216.html

このシンポジウムにあたり、小池環境大臣から日英の共同研究プロジェクト
「低炭素社会の実現に向けた脱温暖化2050プロジェクト」発足に関するが発表
が行われました(ちなみに英国側は、環境・食糧・地方開発省DEFRAだそうです)。

[共同研究プロジェクト発足プレスリリース]
http://www.env.go.jp/earth/ondanka/2050proj/press/index.html

日本側では、平成16年度から国立環境研究所が中心となって「脱温暖化2050研究」がスタートしており、昨年の11月にシンポジウムを開催しています。
[脱温暖化2050プロジェクト]
http://2050.nies.go.jp/index.html

[第一部]
基調講演の一人目は国立環境研究所の藤野純一氏(まだ30代前半と若い!)。
特に気になったトピックスは、以下の2つです。

(1) 地球シミュレータによる2100年までの温暖化シミュレーション結果
  これは、今週土曜日にNHKで放送されるNHKスペシャルで見ることができます。
    [気候大異変] http://www.nhk.or.jp/special/
(2) COP/MOP1で発表されたCO2排出量に関する各国シナリオ
  大きく3つのグループに分かれる。日米型(漸減)、欧州型(半減)、発展途上国(増加)
   http://2050.nies.go.jp/sympo/cop11_side.html

二人目は、英国エネルギーセンター(UKERC http://www.ukerc.ac.uk )のJim Skea氏。英国での脱温暖化への取り組みを紹介。トピックスを列挙すると...

  • 気候変動に関して警告する本(2005):"Avoiding Dengerous Climate Change"
  • 気候変動に対する危機感が大きい:ライフスタイルや価値観の変革が求められる。
  • 2003年のエネルギー白書において、2050年までにCO2排出量を60%減と明記
  • 京都議定書に対しては、第一約束期間で12%減。超長期的には、2100年で80%減
  • 産業界が参加して、国内での排出量取引(UKETS)を実施。
  • 40% House (40%までエネルギー消費量を削減した家を作るガイドライン)
  • 炭素税や炭素基金、自然エネルギー政策(固定買取価格制度)
  • 企業(産業界)とのパートナーシップが重要
  • もはや将来はエネルギーの自給自足はできない(現在は北海油田により自給自足)

[第二部]
パネルディスカッションは、NHK教育テレビの土曜フォーラムで放映される予定。パネルディスカッションにしては、割とかっちりとしたシナリオの元に実施され、途中で3回以上もビデオが問題提起のために上映されていました。

国立環境研究所の西岡秀三氏とUKERCのJim Skea氏がオピニオンリーダ的に発言していました。西岡氏は、この日本の「脱温暖化2050」プロジェクトのリーダーをしており、日本人が「気候のめぐみをかみしめる」重要性を強調していました。JFS共同代表の枝廣淳子さんも市民の視点から有意義な発言を多くしていました(世界規模で、個人単位で排出量を取引するアイデアや低炭素社会に対して人々の夢やロマンを持つことが大切さなど)。東京大学の花木啓祐氏は、都市工学の立場から、人口減の社会におけるコンパクトシティのあり方について言及。都市と農村が結びつくことの重要性や、日本社会が知的に成熟する必要性など。シャープの富田氏は、太陽光発電などの環境配慮製品の技術の開発や普及が日本の将来にとって重要であることを強調していました。パネラーの各氏とも、真の脱温暖化には、低炭素社会に向けたライフスタイルと世の中の仕組みを変えることの重要性を強調していたことが印象的でした(現在の延長では、2050年の50%減は達成できないとの認識)。

今年6月13日には、国際ワークショップに先立って共同研究の内容などを報告するシンポジウムを開催するとのことでした。今後の活動に注目して行きたいと思います。

11:38 午後 脱温暖化 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2006年2月 9日 (木)

食料自給率

しばらくぶりの記事になりますが、これからはせめて週1回ぐらいのペースで記事を書いていきたいと思います(無理をせずに持続可能な範囲で!)。最近は、いろいろなイベントにも顔を出し、本もいろいろ買っていますが、どれも消化不良気味で、自分としての考えがなかなかまとまらない状況ではあります。それでも、このブログで記事を書くことで少しずつでも考えが整理できればと思っています。

今回は「食料自給率」です。ご存知のとおり日本のカロリーベースの自給率は40%ということで、先進各国の中では非常に低い水準に留まっています。そんな中で、先日、都道府県別の食料自給率というものが、農林水産省から発表されました。

[都道府県別食料自給率]
http://www.maff.go.jp/www/press/cont2/20051125press_2.html

これだけ物流の発達した世の中で都道府県別の食料自給率というものがどれだけ意味があるかという議論もありますが、日本の中で食料がどのように生産され、動いているのかがわかります。主な都道府県の食料自給率は以下のとおりです。特に東京都の食料自給率はわかってはいても衝撃的な数字です。

[食料自給率(カロリーベース/生産額ベース)]

北海道: 201%/177% <--- 非常にバランスがとれています
青森県: 117%/175% <--- 東北地方は概ねこの数値に近い(米どころ)
千葉県: 30%/76% <--- 野菜が多いためでしょうか
東京都: 1%/5% <--- わかっていても衝撃的な数字です
神奈川県: 3%/11%
山梨県: 21%/89%
長野県: 53%/123%
新潟県: 89%/131%
鳥取県: 58%/117%
徳島県: 44%/145%
鹿児島県: 78%/209%
沖縄県: 27%/54%

この食料自給率とサステナビリティ(持続可能性)について、昨年9月に日本学術会議の人口・食料・エネルギー特別委員会が報告書を出しています。また、そのときの委員長の方が書いたコラムが先日載っていました。人口減少社会を向かえ、それを前提に今まではやりたくでも出来なかった食料自給率やエネルギー自給率の向上による”豊かな”、持続可能な社会を創っていこうという趣旨です。この様な物質的な成長ではなく生活の”質”を向上させるという考え方はこれからの社会のビジョンを考えるときに非常に重要だと思います。

[人口減少時代にこそ食料の自給率向上を(農業協同組合新聞)]
http://www.jacom.or.jp/ronsetsu/jiron/jiron06/rons102s06013005.html

[日本学術会議報告書「人口減少時代の”豊かな”社会]
http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-19-t1035-4.pdf

ただし、将来を考える上での不安要因もいくつもあります。それを考えさせてくれるのが、レスター・ブラウン氏の「フード・セキュリティー」という本です。水の問題、土壌の問題、飼料の問題など、日頃、輸入作物に頼っていてほとんど意識しない食料の問題について知ることができます。「だれが世界を養うのか」という副題が問題の深刻さを物語っています。豊かになるほど、肉を食べる量が増えるそうです。食肉のためには、飼料が必要です。大量の飼料には、大量の水が必要です。日本国内では、水(淡水)は非常に豊富にあるように感じますが、世界的には
この水の不足が深刻な問題となっています。地球温暖化に伴う気候変動が、それに拍車をかけるだろうとこの本では警告しています。

食料は、日々の暮らしに直結していますので、私達が持続可能な社会を考える上で、とても重要なファクターだと思います。ESD(持続可能な開発のための教育)の中でも「食農教育」ということで、食料と農業についての持続可能性についていろいろと勉強ができる以下のようなサイトもありますので、少しずつでも勉強していきたいと思います。

[食農教育ネットワーク]
http://syokunou.net/

 

 

12:11 午前 サステイナブル | | コメント (0) | トラックバック (0)