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2006年3月18日 (土)

エコロジカル・フットプリントその2

今週は、持続可能性指標として有名なエコロジカル・フットプリントの第一人者マティース・ワケナゲル(Mathis Wackernagel)氏(Global Footprint Network主宰)のセミナーがあり、参加して来ました。主催は、私も会員になっているNPO法人エコロジカル・フットプリント・ジャパン(EFJ)で、2日間の講演で、100名近い参加者があり、関心の高さがうかがえました。

[マティース・ワケナゲル来日講演会]

以前もエコロジカル・フットプリント(EF)についてはこのブログに書きましたが、新しいトピックもありましたので、それを中心に書きたいと思います。

まずは、ワケナゲル氏が来日した目的ですが、EFをGDPの様に国の政策の主要な指標として扱ってもらうことを各国の政府にアピールしている活動の一環だということです。実際に今回の来日でも環境省への働きかけを行っているそうです。タイミングよく第3次環境基本計画(案)で指標の活用が含まれていて、環境省もとても前向きだったそうです。是非、実現すると良いと思います。

来日のもう一つの目的は、EFを活用するパートナーを探すことです。企業や地方自治体などがEFを活用して持続可能な社会を目指す活動を継続的に支援するパートナーが是非とも必要なようです。自治体でのEFの活用は、これまでもヨーロッパを中心に行われて来ました。その中の成功例として米国カリフォルニア州ソノマ郡のサステイナブルソノマを挙げていました。また、世界中の400以上の自治体が参加しているICLEIでも5都市ほどのパイロットプロジェクトを行うことを計画しているようです。

コミュニティにおいてEF使う際に気をつけた方が良いことを、これまでの経験から以下の様に述べていました。

  • 何に使うのか?を常に考える
  • 不利益と利益のバランスを考える
  • 小さく始めることが大切
  • ゆっくりやることが結果的に早く進むことになる

次に、国別に国連の人間開発指標(HDI)とEFの相関をプロットしたグラフです。これを見てわかるのは、右上の持続可能な領域にある国が一つも無いことです。かろうじて南米の国々がこの領域に近いことがわかります(HDIが0.8以上で、EFが平均値の1.8より小さい領域)。

EF1



続いて、"Footprint Neutral"という考え方です。EFの観点から、EFが増えた分をEFを減る活動で補填するという感じでしょうか。カーボン・ニュートラルと同じ様な考え方です。例えば、家を建てるときには、なるべくEFが小さくなるように建てるのはもちろんですが、それでも増えた分を、別の活動(省エネ、植林など)でできるだけ差し引きゼロの状態にするということだそうです。とても面白い考え方だと思いますし、わかりやすいですね。

それから、昨年の10月にWWFが発表したアジア太平洋地域に関するレポートについてです。このレポートには、EFを用いて様々な観点からアジア太平洋地域の持続可能性について書いてあります。私自身は、この様なレポートが公表をされたことを知りませんでした。その前のヨーロッパのレポートは、知っていたのですが... 日本のことも沢山出ている様ですので、是非、読んで見たいと思います(英語ですが...)。WWFのLiving Planet Reportのページからダウンロードできます。

[WWF Living Planet Report]

[WWF 生きている地球レポート アジア太平洋2005(英語)]

EF3

そして日本のEF勘定の話です。日本のEFの収支は以下の様になっています。

フットプリント(消費側): 4.27 gha/人
環境容量(供給側):     0.75 gha/人
赤字分:                    -3.52 gha/人

つまり、この3.52(gha/人)分の環境容量は、海外に頼って生活しているわけです。そして、このフットプリントの4.27という値は、世界平均2.19の約2倍となっています。実は、この2.19という数字も、地球全体の環境容量1.8に比べるとすでに1.2倍となっています。現在の人類は、地球1個の環境容量だけではすでに生活できなくなっています(環境の資産を食いつぶしている状態)。

最後に、EFに関するストック(資産)の話がありました。EFが、地球全体の環境容量を超えたのが、1980年頃と言われていますが、それからすでに2.5個分の地球の環境容量に関するストックを食いつぶしています。もし、このまま進んでいったら、50年後はどうなってしまうのでしょうか。それをシナリオで示していました。もし、これからある程度の低成長のシナリオで進んだとしても、50年後にはEFは現在の倍以上になり、地球50個以上のストックを食いつぶしてしまうことになるそうです。これは可能なのでしょうか?恐らくそれ以前に「成長の限界」を迎えることは、明らかです。それを見越して、持続可能な発展の方向に世界全体が方向転換できれば、地球18個分程度で済むというシナリオもありました。

非常に多くの示唆に富む有意義な講演会でした。講演会の後に日本での第一人者である和田善彦先生ともご一緒に会食に参加して直接お話しを聞いたり、本にサインをもらったりしましたが、ワケナゲル氏はとても気さくな方で、EFを普及させることに本当に情熱を注いでいて、それでいて自然体なところがとても感銘を受けました。ワケナゲル氏も、とても有意義な来日になったと喜んでいました。薬膳の中華もおいしかったです。

また、新しい情報があれば、書きたいと思います。

11:54 午前 環境 |

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受信: 2006/03/18 18:07:54

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