« 2006年3月 | トップページ | 2006年5月 »

2006年4月25日 (火)

気候ターゲット2℃

「気候ターゲット2℃」という言葉が最近聞かれるようになって来ましたが、まだ一般にはあまり知られていないようです。これは、産業革命以前と比較して地球全体の平均気温の上昇が2℃を超えると、地球規模での気候変動のリスクが急激に増えるという研究をベースに、EUが長期目標として定めた温度上昇の限界値です。

先日もNHKスペシャル教育テレビ(サイエンスZERO)で気候変動に関する様々なリスクを具体的なシミュレーション結果に基づいて放送をしていました。京都議定書発効1年を迎え、国内でもようやく気候変動に関する問題提起が一般に広まって来た感じです(EUから遅れること何年?)。そんな中、気候変動のリスクについてとてもわかりやすく書いてある本が出ました。

2 2100年までの地球表面温度の予測結果が各ページに3年毎にカラー画像として示されており、ぱらぱら漫画の様に見ることができます。特に極地方の温度上昇の大きさには驚きます(10℃以上)。確か2050年以降には、北極海の氷が全て融解 する現象が起きるという予測があるそうです。また、いまのままいくと2026年~2060年の間に世界平均気温が目標上限値である2℃を超えることになる そうです。今すぐ全ての主体が正しい行動をすることが求められています。

この本の中に山本良一先生の提言する「+2℃突破を阻止する16のアクションプラン」が紹介されています。とても意欲的なアクションプランですが、これまでの地球環境問題への取組みに基づく率直な提言としてしっかり受け止める必要があると感じました。

1. チームマイナス6億トンを結成せよ
2. ボランタリー・シンプリシティ(自発的簡素)な暮らしをしよう
3. 碧厳録第三十六則 長沙、一日遊山す。長沙和尚の生き方に学ぼう
4. 環境立国に向けて各党の[環境マニフェスト]によって政権を選択せよ
5. 日本の3000の地方自治体は気候同盟を結成せよ
6. グリーン電力証書を購入して自然エネルギーを促進しよう
7. カーボン・オフセットサービスを利用しよう
8. 地球1個分の経済(One Planet Economy)を一刻も早く実現しよう
9. アメリカで盛んになったLOHASは、わが国では「環のくらし」と呼ばれている。「環のくらし」を広めよう
10. 2℃ブランドを推奨する
11. 一人ひとり地球温暖化対策を実行しよう。一世帯当たりの年間CO2削減量は...
12. 技術的解決の前に、哲学的解決がくるべきである
13. 天候デリバティブを利用しよう
14. ヨーロッパでCO2価格、1年間で3倍の値上がり。日本も早急に排出権取引市場を開設せよ
15. 社会的責任投資(SRI)を普及させるため日本も「最澄ファンド」や「空海ファンド」を創設してはどうか
16. 年末恒例のエコプロダクツ展を国民的行事にしよう

先週の土曜日(アースデイでしたね!)は、昨年12月に発表されたRSBS報告書(サステナビリティの科学的基礎に関する調査)に関するJEMASシンポジウムに参加してきました。発起人である山本良一先生や第三部「人間活動を支える環境サービス」を執筆した倉阪秀史先生、実行委員長の水谷広先生が講演を行っていました。山本先生は、上記の+2℃の話を中心に、気候変動のリスクを抑えるために日本が今すぐに社会的な意思決定をして行動する必要性を訴えていました。倉阪先生は、「環境が人間経済に与えるサービスの考え方」というテーマで、話をされていました。その中で、新しい政策原則と経済ルールを訴えていました。

[新しい政策原則]
1. 予防原則: 不可逆的で重大な悪影響の発生を予防する
2. 協働原則: 政策の企画、立案、実行の各段階で民間主体と対等な立場で
3. 補完性原理: 基礎自治体できることはまず基礎自治体で

[新しい経済ルール]
1. 環境負荷の原因に応じ負担
2. 環境サービスの受益に応じた負担
3. 人工物の設計者に対する負担

最後に水谷先生は、水の循環の大切について講演していましたが、過去の地球環境の形成に水がいかに重要な役割を果たして来たかを述べた後に、現在の世界が抱える水に関する問題やリスクについてわかりやすく紹介していました。

(1) 移す: 気候変動に伴う水の循環の異変
(2) 育てる: 食料危機に伴う飢餓人口の増大、土壌喪失
(3) 飲む: 衛生的な水の確保ができない(11億人) 新型感染症の増加

12:48 午前 環境 | | コメント (1) | トラックバック (1)

2006年4月 2日 (日)

持続不可能性その2

サステイナブルではないものの第2弾ということで「持続不可能性」で検索する(ググる?)と、そのものずばりの本がありましたので、とりあえず手に入れてみました。ちょっと難しそうな本ですが、これから読んでみようと思います。

持続不可能性 -環境保全のための複雑系理論入門-」、サイモン・レヴィン著、2003

原題は、"Fragile Dominion: Complexity and the Commons"で、数理生物学の権威である著者が、数式をまったく使わずに、複雑系としてのエコシステムについて、そのダイナミックスをわかりやすく説明をしています。本の最後にある「環境管理のための八つの戒」は、

(1) 不確実性を減らせ
(2) 不意の事態に備えよ
(3) 不均一性を維持せよ
(4) モジュール構造を保て
(5) 冗長性を確保せよ
(6) フィードバックを強化せよ
(7) 信頼関係を築け

となっていて、とても示唆に富んでいます。まさにエコシステムの複雑なシステムダイナミックスを理解する上で格好の本ではないでしょうか。ちなみに、著者は、昨年の京都賞(稲盛財団)基礎科学部門を受賞しています。

[2005年京都賞]

12:29 午前 環境 | | コメント (0) | トラックバック (0)