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2006年7月 5日 (水)

スウェーデンのバイオマスエネルギー事情

スウェーデンは、1991年には炭素税を導入し、すでに全エネルギーの28%を再生可能エネルギーにより供給しており、その半分以上(16%)をバイオマス燃料が占めています。今年6月に実際に見学した年間生産量8万トンの大規模ペレット工場の担当者によるとペレットの国内生産量は昨年1年間で150万トン(世界第一位)まで達し今年はさらに増えるだろうとのこと。国内熱需要の40%を地域熱供給の施設が賄っており、1970年代に主に石油を使用していたこれらの施設も、現在は様々なバイオマス燃料によりその62%を賄っています。さらに昨年10月には首相自ら2020年までの脱石油宣言(現在の石油依存率は約30%)を行い、さらなるバイオマスエネルギーの普及を計画しています。

スウェーデンのエネルギー政策」2006年4月 持続可能な開発省(スウェーデン)

バイオマスエネルギーに関してスウェーデンで二番目に大きい湖の畔にある南部の町ヨンショーピンで5月末に開催された第2回ペレット国際会議(Pellets2006)に参加をしました。バイオマスエネルギー国際会議(WorldBioenergy2006)と同時開催で、実際の現場を見て感じることを重視して“Know-howからShow-howへ"と銘打った会期中の見学会などで垣間見えたスウェーデンのバイオマスエネルギー事情について地域熱供給を中心に紹介します。

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グレンナ村の熱供給施設(ペレットボイラー建屋)

 

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グレンナ村の熱供給施設(ペレットサイロ)

 

ヨンショーピン近郊の村グレンナのペレット燃料による地域熱供給施設は地域のエネルギー供給会社が5年前から運営しており、村の半分にあたる1200世帯と契約して温水を供給しています。施設は2MWの出力を持つペレットボイラーを中心に45トンのペレットサイロ2基を持つ非常にシンプルな構成で、その地域に合わせた設計がされているにも関わらず、コンテナを活用した建屋などにより短期間での設置や移動が可能になっています。

 

スウェーデン首相の別荘地ハープサンド(Harpsund)にある農場においては、小規模の地域熱供給施設が4年前から稼動しています。農場にある16棟の建物に温水を供給しており、1台のチップボイラー(250kW)、2台のペレットボイラー(400kW+30kW)、太陽熱温水器(327平米)および40立米の蓄熱槽から構成されています。バイオマスと太陽熱を組み合わせた施設を政府が率先して活用している持続可能なモデル事業として非常に興味深いと感じました。

 

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首相別荘農園の熱供給施設(ペレットボイラー建屋)

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首相別荘農園の熱供給施設(太陽熱)

 

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CHP(電熱併給)施設の使用エネルギー種別

 

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CHP(電熱併給)施設の概観

人口2万人のエンショーピン市のCHP(電熱併給)施設は23MWの発電能力を持ち、6年程前からバイオマス燃料に本格的に切り替えて、電力自由市場での取引に加えて2003年施行のRPS法に基づくグリーン電力証書の取引を行っています。熱供給については135MWの供給能力があり、74kmに及ぶ配管網で市内1300箇所に熱供給しています。施設から排出される水に含まれる窒素や重金属を、施設周辺で栽培しているエネルギー作物(Salix)に吸収させて、それを再びバイオマス燃料として使用するという画期的な取組も行っています。

スウェーデンでは欧州の中でも進んだ再生可能エネルギー政策とあいまって各地域の特性や経済を生かしたバイオマスエネルギー利用が広く普及していることが実感できました。日本においても再生可能エネルギーに対するより明確な政策と共に、地域の特性にあった効果的な取組がバイオマスエネルギーの本格的な普及に求められているのだと思います。

12:18 午後 再生可能エネルギー | | コメント (0) | トラックバック (0)