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2006年11月13日 (月)

ピークオイルと地球温暖化

これまで私達の生活は、その多くの部分を安い石油などの化石燃料に頼って来ました。今でこそ発電に石油が使われる割合は10%以下になっていますが、全エネルギーの供給を表す一次エネルギーの割合では約50%を占めており、その石油の90%近くを中東地域からの輸入に頼っている状態です。1970年代の石油ショック以降、エネルギーの多様化はある程度進みましたが、日本経済の石油への依存度はいまだに非常に大きいと言わざるを得ません。

そんな中、昨年あたりからガソリンや軽油などの輸送燃料、そして重油や灯油などの加熱用の燃料が高騰を始めました。これは世界的な原油価格の高騰が直接の原因となっており、その根本的な原因が取り沙汰される様になってきています。中国などの発展途上国の石油の需要は急速に増えており、中国はすでに世界の一次エネルギーの15%を消費しています(日本は6%)。石油の供給量と需要量のバランスにより、その価格が決まると考えると、今後、石油の生産量が消費量に追いつかずにこのギャップが大きくなればなるほど、石油の価格は上昇を続けることになります。これまで増え続けて来た石油の生産量がピークを迎え、増え続ける需要に追いつかなくなる状態、これが「ピークオイル」です。

この「ピークオイル」がいったいいつ来るのか、「ピークオイル」を迎えた世界経済はどの様な影響を受けるのかを、専門家の知識を駆使し、様々な観点から書かれた本の日本語訳が最近出版されました。地球温暖化との関連や再生可能エネルギーの可能性について詳しく論じられていることが、従来のピークオイル本と大きく異なる点です。

[ピーク・オイル・パニック」 ジェレミー・レゲット著
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4861821037/somethingsust-22

著者は、石油の採掘に欠かせない地質学の専門家で、長らくその業界の研究者やコンサルタントを努めていました。石油業界では、「早期ピーク論」と「遅いピーク論」があるとされていますが、ここ数年は、様々な証拠から「早期ピーク論」が優勢になりつつあります。「早期ピーク論」では、ここ数年以内にピークを迎える説がもっとも有力であり、今まさにピークを迎えつつあるということが言われており、それを認めたくない多くの業界(石油業界など)と激しく対立しています。この「早期ピーク論」を支持する人達が集まっているのが、ASPO(Association for the Study of Peak Oil&Gas)であり、ピークオイルに関する様々な情報を発信しています。今年の10月に米国でピークオイルに関する国際会議も開催されました。また、昨年末には米国議会においてピークオイルに関する公聴会も開かれています。

その他、多くのピークオイルに関する本が昨年あたりから日本でも出版されています。

[石油の終焉] ポール・ロバーツ著
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4334961819

[石油 最後の1バレル]  ピーター・ターツァキアン著
http://www.amazon.co.jp/gp/product/490123496X

いずれにしてもピーク・オイルが近いうちにやって来るとして、それをどう判断し、どの様な影響を受けるかを真剣に考える必要がありますが、その内容は人により大きく異なってきます。著者はその影響の大きさについて、大恐慌や世界大戦などの戦争と比較しており、世界経済への影響は1970年代の石油危機の比ではなく、まさに世界的な経済や社会の「パニック」と呼ぶべきものになるだろうと予測しています。そしてエネルギー資源の争いは過去の歴史を振り返ってもわかるとおり、戦争へとつながる可能性が高いのです。各国や各地域、そして企業や各個人は、その「パニック」の影響をできるだけ小さくすることを今から考える必要があります。エネルギーに関して言えば、それが再生可能エネルギーへの早急なシフトである(本格的な普及はパニックの後になる可能性が高いが...)。

日本においても、今年8月に「もったいない学会」が立ち上がり、石油資源がピークを迎えたときのことを想定した啓蒙活動を開始しています。会長の石井吉徳先生は、7月にピークオイルに関する本を出版しており、ご自身のホームページにおいても資源の価値を客観的に評価するEPR(Energy Profit Ratio)などの指標の重要性を強調しています。

[石油最終争奪戦-世界を震撼させる「ピークオイル」の真実]

地球温暖化は、まさに化石燃料を大量に消費した結果として発生しています。石油がピークを迎える時期と、地球温暖化が気候変動などの目に見える形で現れた時期とが一致していることはとても興味深いと思います。産業革命以降、ピークを迎えるほどの大量の化石燃料を消費したことが地球温暖化の直接的な原因になっているという言い方もできるかもしれません。また、ピークを迎えて石油の価格が高騰するので、世界中で石油の使用量を減らし、地球温暖化を防止する取組みをせざるを得ません(ここで、石炭やオイルサンドなどの非在来型石油に積極的に手を出してしまうと取り返しのつかないことになります)。

「ピーク・オイル」は、まさに現代文明を支える資源の「成長の限界」の象徴であり、地球温暖化による気候変動に対する警鐘のひとつとして重視する必要があります。もし、可能であればパニックによるハードランディングではなく、ソフトランディング(軟着陸)ひいては持続可能な社会へ転換するきっかけとすべき重要なキーワードだと言えます。

参考URL:

[ん! ピークオイル時代を語ろう]
http://www.janjanblog.jp/user/stopglobalwarming/forum2/

[訳者 益岡賢氏による 本の紹介]
http://www.jca.apc.org/~kmasuoka/books/peakpanic.html

[チェンジ・エージェント:システム思考で考えるピーク・オイル]
http://change-agent.jp/news/000043.html

[もったいない学会]
http://www.mottainaisociety.org/mainmenu.html

12:28 午前 環境 |

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» サステイナブル・エナジー トラックバック 海の研究者
前の記事でメタンハイドレートの将来について書いたところ、次のようなご質問を頂きました。 >メタハイは化石燃料の範疇に入ると思うけど、再生利用可能なエネルギーで、需要が賄 >えるようになるまでは、とても有望なエネルギー資源になると思うなぁ。でも、メタハ >イの実用化がサスティナブル・エナジーの実用化よりも遅かったら、画餅で終わっちゃ >うけどね。このあたり、どうなんだろう? 「サステイナブル・エナジー」とはなんでしょう? 検索してみましたがよくわかりません。ただ「サステイナブル」という言葉は... [続きを読む]

受信: 2006/12/02 17:28:59

コメント

地球温暖化対策はみんなで考えるべき課題ですよね。
私も何かから始めないとといつも考えています。

投稿: +地球温暖化 | 2009/04/14 23:58:39

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