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2007年1月19日 (金)

持続可能なエネルギー政策とは?

あまり一般には知られていないのですが、日本にも「エネルギー政策基本法」と呼ばれる法律があり、2002年に施行されています。その基本理念は、「安定供給の確保」「環境への適合」「市場原理の活用」となっていますが、全14条の非常にコンパクトな法律です。日本のエネルギー政策の憲法と呼ぶべきものがこの様なシンプルになった理由はいろいろあったのでしょうが、当たり障りのないものを急いで造ったという感は否めません。「エネルギー白書」はこの法律に基づいて年一回作成されていますが、詳しい政策については「エネルギー基本計画」で定められることになっています。実際に2003年に閣議決定された最初のエネルギー基本計画は基本的にそれまでのエネルギー政策を踏襲する内容になっていました。

じつはこの「エネルギー基本計画」が3年毎に見直しの時期になり今年改訂されます。そのための意見募集(パブコメ)が昨年12月から今月末(1/29)まで行われているのですが、ほとんど話題になっていません。内容は、もちろん近年の石油価格の急騰や地球温暖化対策などを配慮したもののはずですが、国の将来を左右する基本計画として十分なものかどうかをしっかり見る必要があります。主なポイントは、以下のとおりです。

  • 自立した環境適合的なエネルギー需給構造を実現するため、原子力発電を積極的に推進し、新エネルギーの着実な導入拡大を図る。
  • 石油等の化石燃料の安定供給に向けて資源外交の積極的展開、強靭なエネルギー企業の育成等戦略的・総合的な取組みを強化
  • 省エネルギー政策のいっそうの充実・強化を図るとともに、地球温暖化問題に係る実効ある国際的な枠組み作りを主導する。
  • 技術により国内外のエネルギー・環境問題の制約をブレークスルーするため、技術力の一層の強化およびその戦略的な活用

特に環境への適合のための原子力発電への取組みの強化が強調されており、日本のエネルギー政策の国際的な特異性が現れた内容になっています。その分、自然エネルギーを含む新エネルギーへの取組みがほとんど強化されていないのが、とても気になります。唯一強化されているのが、いわゆるバイオ燃料への取組みです。しかしながら、バイオ燃料には食料や自然環境の持続可能性への懸念が付きまといます。

再生可能な自然エネルギーへの取組みを強化するにはどうしたら良いのでしょうか。日本は化石燃料のほとんど全てを輸入に頼りながらも、原子力や天然ガスそして石炭による電力の脱石油を進めて来ました(一次エネルギーの石油依存率は約50%)。しかしながら純国産エネルギーである自然エネルギーの普及は結果的にあまり進まず、日本のエネルギー自給率は、次のグラフの様に現在4%程度と低迷しています。

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この自給率を2050年までに50%まで増加させようと考えた場合、単純に次のグラフの様に省エネによりエネルギー消費量を半分にした上に、自然エネルギーの供給量を現在の6倍にする必要があります。

Energyss2

これは果たして可能なのでしょうか?その為のひとつのステップとして2020年までに、自然エネルギーの割合を20%まで高めようというキャンペーンが、国内のNGOを中心に行われており、私も賛同しています。すでにEUでは、2020年までに再生可能エネルギーの割合を20%にすることが戦略として決まっており、日本でも国内の事情を考慮した上での戦略が求められているのではないでしょうか。

以前にもご紹介しましたが、再生可能エネルギー自給100%プロジェクトやモデル事業が始まっており、地方自治体でも昨年、東京都が他の自治体に先駆けて「再生可能エネルギー戦略」を発表し、2020年までの利用目標として20%の再生可能エネルギーの割合をめざしています。これらのバックキャスティング的な目標設定やビジョンにより、次のグラフの様に日本のエネルギー自給率が増えることが可能かどうか、私達は考える必要があるのではないでしょうか。

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すでに取り上げたピークオイルと地球温暖化を取り巻く世界の情勢を考えると、日本は否が応でもエネルギー自給率の確実な向上を考えるべき時代が迫っています。問題が起きてもすぐには対応できないのが、エネルギー問題の難しいところです。やはり数十年後を見据えて経済や社会の仕組みも変えるような持続可能なエネルギー政策への取組みが必要かつ不可避なのではないでしょうか。




11:08 午後 エネルギー |

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今日が締め切りの表記募集に対するパブリックコメント(略してパブコメ)として、以下の文を送りました。 To:qqmbbc@meti.go.jp 資源エネルギー庁長官官房総合政策課 御中 意見提出者名:## ## ・ 住所 〒    ###市  ##町 ・ 職業/所属:##### ・ 連絡先電話番号、FAX番号、電子メールアドレス:####@###.###.### ・ 意見: はじめに  について  ピークオイル論、特に早期ピークオイル論について以下の理由部分に示すような海外の情勢分析を記述して... [続きを読む]

受信: 2007/01/29 10:27:23

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