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2007年3月12日 (月)

2020年に20%が目標です。

3月8日と9日の2日間ブリュッセルで開催されていた欧州(EU)首脳会議で、環境エネルギーについて拘束力を持つ画期的な合意がなされました。まずは、ポスト京都議定書の2020年までにCO2排出量を20%削減すること(1990年比、他の主要国が賛同した場合にはさらに30%削減の用意)。さらに、このための対策としてEU全体のエネルギー消費量に対して再生可能エネルギーの割合を現在の約6%から20%まで引き上げることです。再生可能エネルギーの導入目標については古い発電所の多い旧東欧諸国や原子力発電を中心としているフランスが反対していましたが、EU議長国であるドイツのリードにより、合意に達したようです。合意された議長総括は以下のURLからダウンロードできます。

[EU議長総括 2007/3/9(英語)]

ひるがえって日本では、京都議定書の目標達成も怪しい中、電力における新エネルギーの利用目標量を検討する「RPS法小委員会報告書(案)」に対するパブコメ(意見募集)が3/8まで行われていました。そこに書かれている2014年の新エネルギーの利用目標は、年間160億kWhで、予測される全電力消費量に対して1.6%程度に過ぎません。

[RPS法小委員会報告書(案)]

多くのNGOなどが賛同している自然エネルギー202/20キャンペーンでも、2020年までに自然エネルギーの割合を20%まで高めることを目標にこのパブコメに対して緊急提案を行っています。私自身も次のような意見を送りましたので、ここでご紹介します。

[意見]

2014年までの「利用目標量」160億kWhは電力需要全体の1.6%程度にしか過ぎず、日本の危機的なエネルギー自給率4%や、地球温暖化防止への実効的な取組を考えるとあまりにも低い目標である。再生可能エネルギーを含む新エネルギー等の普及を本格化するためには、2014年までの利用目標量を10%以上の1000億kWh以上に引き上げるべき。

例えば「利用目標量」を京都議定書の第一約束期間中の2010年の目標を5%程度とし、長期的な2020年までの目標を20%と想定して、2015年までの目標を10%程度と設定する。また、この「利用目標量」の引き上げに伴い、義務量についても基本的には一律に「利用目標量」と同じ数値として(同一目標数値化)、各電力事業者の再生可能エネルギーを含む新エネルギー等に対する設備投資を加速する。

義務量を達成できない分については、RPS相当量の取引でカバーすることにより、RPS相当量などのグリーン電力の市場を国内に本格的に立ち上げ、温室効果ガスの国内外の排出量取引との取引(交換)も可能とすべきである。場合によっては必要なコストを国民が応分に負担できるように、環境価値を適切に評価した電力の自由化(グリーンPPSなど)、新規電気事業者の参入、柔軟な電気料金の体系を整備する。

[理由]

昨年10月に発表された英国のスターン・レビュー、2月に発表されたIPCCの第4次評価報告書などで明らかなように、いまや緊急の課題となっている地球温暖化問題は、単に京都議定書において温室効果ガスの削減目標を達成するだけでは明らかに不十分であり、2012年以降のポスト京都を睨んで脱温暖化が可能な低炭素社会に向けた長期ビジョン(2050年頃まで)をベースにバックキャスティングで考えることが重要である。

[スターン・レビュー] http://www.nies.go.jp/whatsnew/2007/20070216-1.html
[IPCC第4次評価報告書] http://www.nies.go.jp/whatsnew/2007/20070216-1.html
[低炭素社会ビジョン] http://www.nies.go.jp/whatsnew/2007/20070215/20070215.html

そもそも最初の新エネルギー等の「利用目標量」が、法施行前の電気事業者の新エネルギー等電気利用率を元に予測(フォアキャスト)した数値を前提に設定されており、地球規模の気候変動を抑制するための地球温暖化対策や国の安全保障にもかかわるエネルギー自給率の向上などの新エネルギー導入の本来的な目標とすべき値からはかけ離れたものになっている。

地球温暖化対策やエネルギー自給率の向上については、国のエネルギー政策の根本となるべきものあり、再生可能エネルギーを含む新エネルギー等の普及もその大きな一翼を担うものである。CO2の排出削減においても排出量取引の様な経済的な政策を取り入れることに削減目標の達成が実現可能となっているが、RPS法においても根本的な利用目標量の引き上げと義務量の同一目標数値化は、あらたな市場を作り出しRPS相当量の取引が活発化し、経済的なインセンティブにより再生可能エネルギーを含む新エネルギー等の普及が加速される。

   

05:47 午後 環境 | | コメント (0) | トラックバック (2)

2007年3月 9日 (金)

日本の持続可能性ビジョンを考える

地球温暖化を真正面から取り上げた映画「不都合な真実」、英国「スターン・レビュー」そしてIPCC(気候変動に関する政府間パネル)からの第4次評価報告書の発表など、すでにご紹介したように昨年から今年にかけて地球温暖化が大きくクローズアップされています。日本がCO2などの温室効果ガスの排出量削減6%(1990年比)を約束している京都議定書は、いよいよ来年から第一約束期間(2008-2012年)を迎えます。政府もこの様な時期に「21世紀環境立国戦略」と呼ばれる日本としての新たな環境戦略の策定を始めました。6月までに新たな環境ビジョンと戦略を策定することになっているようです。

[環境省「21世紀環境立国戦略」]
http://www.env.go.jp/guide/info/21c_ens/index.html

[中央環境審議会「21世紀環境立国戦略特別部会」]http://www.env.go.jp/council/32tokubetsu21c/yoshi32.html

実は持続可能な社会を実現する上で「日本の環境ビジョン」を示したものが、昨年4月に閣議決定された「第三次環境基本計画」です。「環境、経済、社会」の各側面を統合するための計画として以前にもご紹介をしました。

[第三次環境基本計画]
http://www.env.go.jp/policy/kihon_keikaku/index.html

この計画の中で特徴的な取組として「超長期ビジョン」があります。2050年頃までの日本、アジアそして世界を展望し、持続可能な社会の「超長期ビジョン」をビジョンをバックキャスティング手法で策定するために、昨年6月から検討会が始まっており、国連大学の安井先生を座長にこれまで7回の検討会が開催されています。先日発表された「2050低炭素社会ビジョン」とも関連するテーマであり、持続可能な農業・漁業や廃棄物などについても議論が行われているようです。

[環境省:超長期ビジョン検討について]
http://www.env.go.jp/policy/info/ult_vision/

また、第三次環境基本計画の取組みとして、「指標」の活用が検討されてはじめました。1月に始まった検討会委員会では、世界各国の環境指標や持続可能性指標の仕組みを検討し、基本計画の達成度や進捗を図る”ものさし”として生かそうとしています。

[第三次環境基本計画における指標について] http://www.env.go.jp/policy/kihon_keikaku/ei/index.html

この様な国の取組みだけではなく、NGOや地方自治体が環境やエネルギーについて持続可能な社会のためのビジョンを次々に発表してます。今年の日本の「持続可能性ビジョン」元年になるかもしれません。注目です。

[JFS指標] http://www.japanfs.org/ja/view/index.html

[自然エネルギー2020] http://www.renewable2020.jp/

[東京都再生可能エネルギー戦略] http://www.metro.tokyo.jp/INET/OSHIRASE/2006/04/20g43100.htm

[気候ネットワーク] http://www.kikonet.org/iken/kokunai/2006-09-16.html

02:27 午後 環境 | | コメント (0) | トラックバック (0)