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2007年4月 7日 (土)

地球温暖化による影響の衝撃

IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の第4次評価報告書が次々と発表されています。2月に発表された自然科学的根拠(第1作業部会)に引き続き、「影響、適応および脆弱性」を評価する第2作業部会の報告書のサマリーが昨日(4/6)公表されました。

[IPCC第4次評価報告書第2作業部会(影響・適応・脆弱性)SPM(英語)]
http://www.ipcc.ch/pdf/assessment-report/ar4/wg1/ar4-wg1-spm.pdf

[IPCC第4次評価報告書第2作業部会:記者発表のビデオ(英語)]
http://video.google.com/videoplay?docid=7670631343902527726&q=IPCC&hl=en

[IPCC第4次評価報告書第2作業部会(影響・適応・脆弱性)の公表について(気象庁)]
http://www.jma.go.jp/jma/press/0704/10a/ipcc_ar4_wg2_fix.html

[IPCC第4次評価報告書第2作業部会(影響・適応・脆弱性)SPM(環境省による仮訳)]
http://www.env.go.jp/earth/ipcc/4th/spm_interim-j.pdf

新聞などでも一部報道されていますが、その内容は「地球の自然環境は、今まさに温暖化の影響を受けている」という衝撃的なものとなっています。ベルギーのブリュッセルで開催された会合では、より衝撃的な数字やリスクが報告されていたようですが、欧州や日本などに対して、経済などへの悪影響を心配する米中などが反発し、今回の公表内容に落ち着いたようです。報告書では、すでに生じている主な影響として、以下のものを挙げていますが、これらの影響はすでに社会や経済へも影響を及ぼし始めています。

  • 氷河などが融けることによる、氷河湖の増加と拡大
  • 永久凍土地域における地盤の不安定化
  • 山岳における岩なだれの増加
  • 春季現象(発芽、鳥の渡り、産卵行動など)の早期化
  • 動植物の生息域の高緯化、高度地方への移動
  • 北極及び南極の生態系及び食物連鎖上位捕食者における変化
  • 多くの地域の湖沼や河川における水温上昇
  • 海面上昇による海岸侵食
  • 熱波による死亡、媒介生物による感染症リスク

水資源については、高緯度及び湿潤熱帯地域では利用可能性が10~40%増加するとしているが、多くの中緯度及び乾燥熱帯地域では10~30%減少するとしています。

生態系への影響としては、平均気温が1.5~2.5℃へ上昇した場合、20~30%の動植物の絶滅のリスクへ直面します。また、陸上生態系での炭素吸収は弱まり、逆転する可能性が高く、気候変動を増幅します。ツンドラや凍土からのメタン放出は、加速化する兆候があります。

食物については、世界的には、平均気温の上昇が1~3℃までであれば、食料生産量は増加する可能性もありますが、それを超えた場合は、生産量が減少に転ずると予測しています。

これらの影響に適応するには、現在実施されている内容では不十分であると指摘し、適応対策の強化を図ると共に、長期的には緩和策を組み合わせる重要性も指摘しています。また、温暖化が進み平均気温が1990年に対して2~3℃以上になる場合には、経済的にも適応に必要な正味のコストが増大する可能性があると指摘しています。

まだ、SPM(政策決定者向けサマリー)のレベルですが、項目毎にある程度詳しい内容が書いてありますので、これまで断片的に聞いていた温暖化の影響の大きさの全体像がはっきりと示されたことになります。いよいよ国連の安保理でも気候変動の問題が取り上げられるそうですので、「気候安全保障」について考えるべき時代になってきたようです。

日本国内での地球温暖化による気候変動の影響やリスクをまとめた資料が、環境省や気象庁から発表されています。もしかするとこちらの方が衝撃的かもしれません。

環境省「地球温暖化の影響 資料集」 http://www.env.go.jp/earth/ondanka/effect_mats/full.pdf

環境省「地球温暖化と感染症」 http://www.env.go.jp/earth/ondanka/pamph_infection/full.pdf

気象庁「異常気象リスクマップ」
http://www.jma.go.jp/jma/press/0703/28b/riskmap.html

12:43 午前 環境 | | コメント (0) | トラックバック (3)