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2007年5月27日 (日)

サステイナブルなニュース 第2号

今週も前回に引き続き、サステイナブルなニュース第2号をお送りします。いずれも1ヶ月程前にニュースになったものばかりです。日本国内のCO2排出量は増え続けており、食料自給率も完全に横ばいということで、この膠着状態を抜け出すには、果たして何が必要なのでしょうか。

*********** サステイナブルなニュース 第2号 *****************************

日本経団連が、CO2排出削減のヒント集を発表

日本経団連が、産業界の地球温暖化対策の一環として、CO2排出削減のための900のヒントをまとめた事例集を発表した。この事例集では、製品の製造段階などの工場での対策や、物流や旅客などの運輸関係、オフィスや商業施設など業務における対策にとどまらず、家庭や通勤といった業務外での対策も取り上げている。日本経団連は「環境自主行動計画」の中で、産業界の地球温暖化対策に取り組んでおり、2年前に最初の事例集を発表したが、今回はそれをさらに拡充したものになっている。

[日本経団連:地球温暖化防止対策事例集~CO2排出削減900のヒント~]
http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2007/029.html

食料自給率は8年間連続横ばいの40%

世界の食料需給が不安定さを増す中で、農林水産省は、2年前から「食料・農業・農村基本計画」に基づく行動計画を策定し、食料自給率に関する目標を設定した取組みを行っている。この3月に発表された「食料自給率レポート」によると、日本のカロリーベースの食料自給率は、昭和40年代には70%以上あったが、その後の肉類の消費増など食生活の大きな変化により急激に低下し、平成10年度から横ばいの40%が続いている。また、農地面積も年々減少しており、国民1人あたりの農地面積は主要な先進国と比べても極端に小さい。食料の多くを輸入に頼る状態が続いているため、国内生産の増大を基本とした食料安全保障という考え方も重要となってきている。

[農林水産省:我が国の食料自給率 ~平成17年度 食料自給率レポート~]
http://www.kanbou.maff.go.jp/www/jikyuuritsu/report17/jikyu01_17.html

CO2排出をゼロにできるエコな旅行を提案

JTB関東では、新しいエコツアーブランドGREENSHOESの中で、第一弾の目玉商品として「CO2ゼロ旅行」を共同開発し、4月より販売受付を開始した。年間10,000人の取り扱いを目指しており、旅行の際に移動などで排出されるCO2を、グリーン電力証書という仕組みを利用してオフセットする。JTB関東がこのツアーを販売、「ソニー・ミュージックコミュニケーションズ」がグリーン電力証書を調達し、「環境エネルギー政策研究所」がオフセットに必要なグリーン電力量を算出する。ツアーの代金の一部がグリーン電力証書を通じて、太陽光や風力発電などの自然エネルギーの維持拡大に利用される仕組み。

[JTB関東:エコツアーブランド「GREENSHOES」の第一弾「CO2ゼロ旅行」]
http://www.jtbcorp.jp/scripts_hd/image_view.asp?menu=news&id=00001&news_no=645

10:05 午後 環境 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2007年5月20日 (日)

普及が進む太陽光発電

最近の国内外の太陽光発電の普及状況について、少し古いですが2005年末の状況をご紹介します。トップを走っていた日本の太陽光発電ですが、いよいよ持続可能なエネルギーとして欧州を中心に世界各国の動きが活発になってきました。

日本国内で普及が進んでいる太陽光発電の歴史は半導体の開発と歩調を合わせており、海外で発明された5年後の1958年にはすでに国内で研究開発が始まっています。その後、この50年間に太陽光発電は飛躍的な発展を遂げ、いまや日本が世界トップの太陽光発電装置の生産国であると同時にトップクラスの発電能力を持つまでになりました。2005年末の日本国内の太陽光発電装置の発電能力は142万kW、原子力発電所1基分以上の発電能力を持つまでになっています(IEAの太陽光発電システムプログラムPVPSの統計データによる)。一方、ドイツが近年、再生可能エネルギーの積極的な普及政策により急速に太陽光発電などの導入を進め、2005年に発電能力143万kWと世界第1位となりました(1年間で約63万kWを導入)。全世界の2005年末の太陽光発電の能力は370万kWとなっており、日本はその38%程度を占めています。ちなみに、第3位は48万kWのアメリカ合衆国です。

Solar20070521
図:世界各国の太陽光発電導入量(2005年末実績値)[単位:万kW] “IEA PVPS”より

太陽光発電設備の生産量は2005年に世界中で150万kWに達しましたが、そのうち82万kWを日本のメーカが生産し、世界のトップを走っています。しかし、これだけ普及が進んでいる太陽光発電もやはりネックはその導入コストにあるようです。現在のkWhあたりの発電単価は約50円程度で、日本国内での一般家庭の買電価格23円 /kWhと比べても割高です。それでも10年前までは100円/kWh以上していたということですから、技術開発や国の補助金制度による普及政策も手伝ってずいぶんコストも下がってきています。ちなみにドイツでは1991年から固定価格制度が始まり、長期間に渡り固定した価格で自然エネルギーによる電力を電力会社が買取るように義務付けられており、2004年からは太陽光発電についてkWhあたり最大90円程度の価格に設定されているため急速に普及が進んでいます。

[参考URL]

IEA太陽光発電システムプログラム(PVPS): http://www.iea-pvps.org/index.html

REN21 Renewable 2005 Global Status Report(日本語版):http://www.isep.or.jp/GSR2005/GSR2005.html

REN21 Renewable 2006 Global Status Report(英語): http://www.ren21.net/globalstatusreport/g2006.asp

11:56 午後 再生可能エネルギー | | コメント (0) | トラックバック (0)

サステイナブルなニュース 第1号

今週から、持続可能な社会を目指す様々な動きとして、「サステイナブルなニュース」を幾つかご紹介して行きたいと思います。

  ******  サステイナブルなニュース   第1号     2007/5/21発行 ********

[環境貢献リフォームとして累積で1万棟に太陽光発電システム]

積水化学工業(株)は、この3月末で既築住宅への太陽光発電システムの導入件数が累積1万棟を超えたと発表した。新築住宅への太陽光発電システムの導入は、1998年から開始されており、新築住宅の50%以上となる4万7千棟の実績があるが、既築住宅についても「環境貢献リフォーム」として積極的に提案を行ってきた。「環境貢献リフォーム」では、オール電化や遮熱・断熱リフォームなどと組合わせて、工事中のゼロエミッション達成などにも取り組んでいる。近年、環境問題への関心がリフォームユーザにも急速に高まっており、この太陽光発電とオール電化の組合わせは人気を集めている。さらに九州では、環境省の「ソーラー・マイレージクラブ事業」を2つの地域で実施し、CO2削減のための啓蒙活動を行っている。

積水化学工業(株)プレスリリース:
「既築住宅への太陽光発電システム搭載 累積で1万棟突破!」
http://www.sekisuiheim.com/info/press/20070423.html

[持続可能な社会の実現に向けた滋賀県の未来シナリオを発表]

滋賀県の琵琶湖環境科学研究センターでは、持続可能な滋賀県を実現するために2030年を目標とする未来シナリオを研究会の成果として発表した。2030年の環境目標としては「脱温暖化の実現のための温室効果ガス排出量の半減」、「琵琶湖環境の復活のためのヨシ群落面積の倍増などの数値目標達成」、「循環システムの構築のための廃棄物最終処分量の75%減」の3つを定めている。その上で、環境目標達成のために、具体的に地方公共団体や事業者などの主体毎の取り組みを提案すると共に、促進政策として持続可能な税制や金融面から経済的な利得を分かち合う「おうみ三方よし政策モデル」を提案している。また、環境目標毎に目標達成のための具体的なシナリオを提示しており、温暖化対策では、温室効果ガス排出量の50%削減が2030年には可能としている。

滋賀県琵琶湖環境科学研究センター:
「持続可能な社会の実現に向けた滋賀シナリオについて」
http://www.lberi.jp/root/jp/01topics/scenario.htm

[大山千枚田、棚田千本のかがり火で環境保全をアピール]

東京に最も近い棚田として知られ、日本の棚田百選にも選ばれている大山千枚田(千葉県鴨川市)で、棚田などの日本古来の農業や自然環境の保全をアピールする夜間イベントが開催された。幻想的な夜の棚田で、千本余りのかがり火が、地元産の竹と環境に優しいバイオディーゼル燃料により点灯し、1000人を超える観客を魅了した。6年前から行われている棚田のオーナー制度で、棚田を第2の故郷とするカップルが結婚式を挙げるイベントも開催され、伝統的な舞踊や地元ゆかりの歌手の歌声などが披露された。主催したNPO法人大山千枚田保存会では、地域資源を活用し、都市農村交流や地域農業の活性化を進めると共に、鴨川市の新たな観光資源としてこのイベントを活用していく。

大山千枚田のホームページ:
http://www.senmaida.com/index.php


11:28 午後 環境 | | コメント (0) | トラックバック (2)

2007年5月 4日 (金)

今ならまだ間に合うはず

地球温暖化による気候変動を「緩和」する方策を検討しているIPCC第4次評価報告書の第3作業部会からの報告が5月4日にタイのバンコクでありました。IPCCのホームページからサマリー(SPM)がダウンロード可能です(英語ですが)。日本語による概要も環境省から発表されています(5/7追加)。2月に発表された第1作業部会(科学的な根拠)および4月に発表された第2作業部会(影響、適応および脆弱性」と合わせて、これで全ての評価報告書が発表されたことになります。

[IPCC第4次評価報告書 第3作業部会(緩和策)英語のサマリー]
http://www.ipcc.ch/SPM040507.pdf

[IPCC第4次評価報告書 第3作業部会(緩和策)の日本語仮訳(GISPRI作成)]
http://www.gispri.or.jp/kankyo/ipcc/pdf/070515IPCCWG3-SPM(GISPRI).pdf

[IPCC第4次評価報告書 第3作業部会(緩和策)概要プレゼン資料(環境省作成)]
http://www.env.go.jp/earth/ipcc/4th/wg3_gaiyo.pdf

日本国内の新聞のWebサイトでも早速記事になっていました。今年は2月の第1作業部会の報告から新聞各紙が積極的に記事にするので、多くの人々が関心を持っているという証拠だと思います。

報告書のサマリー(SPM)の主な内容は、以下のとおりです。

(1) 温室効果ガスの排出傾向
温室効果ガスの排出量は、1970年から2004年の間に70%増加して、年間約500億トン(CO2換算)となっている。特にエネルギー供給時の排出量の増加が大きく、145%増加。

(2) これからの温室効果ガスの排出量予測
現在の気候変動や持続可能な開発についての政策を変えない場合には、2030年の排出量は2000年に対して25~95%増加する。

(3) 温室効果ガスの排出量シナリオ
以前発表された排出量予測シナリオ(SRES)に対して、それ以降に発表されたシナリオのCO2排出量は、ほぼ同じレベルとなっている。ただし、これらのシナリオの中で、現状よりもCO2排出量を低減できるものは少ないが存在する(SRESのA1TやB1に相当)。

(4) 2030年までの比較的短期間の緩和策
ボトムアップおよびトップダウンの手法いずれの検討結果でも、ほぼ同じレベルの結果が得られた。トップダウンの場合の緩和策の費用(コスト)と温室効果ガス排出量の削減効果は以下のとおり。

  • 20ドル/t-CO2eq: 90-180億トンCO2eq
  • 50ドル/t-CO2eq: 140-230億トンCO2eq
  • 100ドル/t-CO2eq: 170-260億トンCO2eq

このコストと削減効果を、100ドル/t-CO2eqの場合にセクター毎に見て行くと以下のようになります。もっとも削減の費用対効果が大きなセクターは建築物で、20ドル/t-CO2eqでもかなりの効果が期待出来るようです。

  • エネルギー供給: 24-47億トンCO2eq
  • 交通: 16-25億トンCO2eq
  • 建築物: 53-67億トンCO2eq
  • 産業: 25-55億トンCO2eq
  • 農業: 23-64億トンCO2eq
  • 森林: 13-42億トンCO2eq
  • 廃棄物: 4-10億トンCO2eq

それぞれのセクターでの有望な技術も今すぐ適用可能なものから2030年頃までに実用化が期待されているものまで列挙されています。以下は今すぐ適用可能な技術です。

  • エネルギー供給:効率向上、石炭から天然ガスへの切替、原子力発電、再生可能エネルギー(発電および熱利用)、CCS(天然ガスからのCO2除去)
  • 交通:燃費の改善、ハイブリッド車、よりクリーンなディーゼル車、バイオ燃料、モーダルシフト、自転車および徒歩、土地利用および交通計画
  • 建築物:照明の効率化、電気製品(特に暖房・冷房)の高効率化、調理ストーブの改善、断熱の改善、パッシブおよびアクティブの太陽熱利用など
  • 産業:消費者の家電製品の高効率化、熱および電気の再利用
  • 農業:土壌中への炭素貯蔵量が増えるための技術など
  • 森林:植林、森林管理、伐採の削減、木質エネルギーの活用など
  • 廃棄物:埋立てガスの利用、ごみ発電、コンポスト、リサイクルとごみの減量など

(5) 経済的な費用負担
 大気中の温室効果ガスの濃度を445~535ppmの範囲に安定化するための緩和策の費用は、2030年の時点での全世界のGDPの最大3%ほど。

(6) 様々な緩和策
セクター毎にライフスタイルを変える話から、エネルギー転換部門の温室効果ガスの排出量抑制、運輸燃料などについての緩和策が列挙されている。緩和策の費用に対して、経済的なメリットで費用が相殺(オフセット)される場合なども説明している。

(7) 長期的な緩和策(2030年以降)
大気中の温室効果ガスの濃度安定化のためには、できるだけ早期に排出量のピークを迎え減少へ向かう必要がある。その意味でこれから20~30年間の緩和策は非常に重要な意味を持つ。例えば、535ppm以下に温室効果ガスの濃度を安定化させるためには、2020年頃までに排出量はピークを迎え、2050年には2000年の30~60%削減となる必要がある。

(8) 緩和策の費用(2050年時点)
445~535ppmに温室効果ガスの濃度を安定化するための緩和策の費用は、2050年時点での全世界のGDPの最大5.5%ほど。

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