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2007年5月 4日 (金)

今ならまだ間に合うはず

地球温暖化による気候変動を「緩和」する方策を検討しているIPCC第4次評価報告書の第3作業部会からの報告が5月4日にタイのバンコクでありました。IPCCのホームページからサマリー(SPM)がダウンロード可能です(英語ですが)。日本語による概要も環境省から発表されています(5/7追加)。2月に発表された第1作業部会(科学的な根拠)および4月に発表された第2作業部会(影響、適応および脆弱性」と合わせて、これで全ての評価報告書が発表されたことになります。

[IPCC第4次評価報告書 第3作業部会(緩和策)英語のサマリー]
http://www.ipcc.ch/SPM040507.pdf

[IPCC第4次評価報告書 第3作業部会(緩和策)の日本語仮訳(GISPRI作成)]
http://www.gispri.or.jp/kankyo/ipcc/pdf/070515IPCCWG3-SPM(GISPRI).pdf

[IPCC第4次評価報告書 第3作業部会(緩和策)概要プレゼン資料(環境省作成)]
http://www.env.go.jp/earth/ipcc/4th/wg3_gaiyo.pdf

日本国内の新聞のWebサイトでも早速記事になっていました。今年は2月の第1作業部会の報告から新聞各紙が積極的に記事にするので、多くの人々が関心を持っているという証拠だと思います。

報告書のサマリー(SPM)の主な内容は、以下のとおりです。

(1) 温室効果ガスの排出傾向
温室効果ガスの排出量は、1970年から2004年の間に70%増加して、年間約500億トン(CO2換算)となっている。特にエネルギー供給時の排出量の増加が大きく、145%増加。

(2) これからの温室効果ガスの排出量予測
現在の気候変動や持続可能な開発についての政策を変えない場合には、2030年の排出量は2000年に対して25~95%増加する。

(3) 温室効果ガスの排出量シナリオ
以前発表された排出量予測シナリオ(SRES)に対して、それ以降に発表されたシナリオのCO2排出量は、ほぼ同じレベルとなっている。ただし、これらのシナリオの中で、現状よりもCO2排出量を低減できるものは少ないが存在する(SRESのA1TやB1に相当)。

(4) 2030年までの比較的短期間の緩和策
ボトムアップおよびトップダウンの手法いずれの検討結果でも、ほぼ同じレベルの結果が得られた。トップダウンの場合の緩和策の費用(コスト)と温室効果ガス排出量の削減効果は以下のとおり。

  • 20ドル/t-CO2eq: 90-180億トンCO2eq
  • 50ドル/t-CO2eq: 140-230億トンCO2eq
  • 100ドル/t-CO2eq: 170-260億トンCO2eq

このコストと削減効果を、100ドル/t-CO2eqの場合にセクター毎に見て行くと以下のようになります。もっとも削減の費用対効果が大きなセクターは建築物で、20ドル/t-CO2eqでもかなりの効果が期待出来るようです。

  • エネルギー供給: 24-47億トンCO2eq
  • 交通: 16-25億トンCO2eq
  • 建築物: 53-67億トンCO2eq
  • 産業: 25-55億トンCO2eq
  • 農業: 23-64億トンCO2eq
  • 森林: 13-42億トンCO2eq
  • 廃棄物: 4-10億トンCO2eq

それぞれのセクターでの有望な技術も今すぐ適用可能なものから2030年頃までに実用化が期待されているものまで列挙されています。以下は今すぐ適用可能な技術です。

  • エネルギー供給:効率向上、石炭から天然ガスへの切替、原子力発電、再生可能エネルギー(発電および熱利用)、CCS(天然ガスからのCO2除去)
  • 交通:燃費の改善、ハイブリッド車、よりクリーンなディーゼル車、バイオ燃料、モーダルシフト、自転車および徒歩、土地利用および交通計画
  • 建築物:照明の効率化、電気製品(特に暖房・冷房)の高効率化、調理ストーブの改善、断熱の改善、パッシブおよびアクティブの太陽熱利用など
  • 産業:消費者の家電製品の高効率化、熱および電気の再利用
  • 農業:土壌中への炭素貯蔵量が増えるための技術など
  • 森林:植林、森林管理、伐採の削減、木質エネルギーの活用など
  • 廃棄物:埋立てガスの利用、ごみ発電、コンポスト、リサイクルとごみの減量など

(5) 経済的な費用負担
 大気中の温室効果ガスの濃度を445~535ppmの範囲に安定化するための緩和策の費用は、2030年の時点での全世界のGDPの最大3%ほど。

(6) 様々な緩和策
セクター毎にライフスタイルを変える話から、エネルギー転換部門の温室効果ガスの排出量抑制、運輸燃料などについての緩和策が列挙されている。緩和策の費用に対して、経済的なメリットで費用が相殺(オフセット)される場合なども説明している。

(7) 長期的な緩和策(2030年以降)
大気中の温室効果ガスの濃度安定化のためには、できるだけ早期に排出量のピークを迎え減少へ向かう必要がある。その意味でこれから20~30年間の緩和策は非常に重要な意味を持つ。例えば、535ppm以下に温室効果ガスの濃度を安定化させるためには、2020年頃までに排出量はピークを迎え、2050年には2000年の30~60%削減となる必要がある。

(8) 緩和策の費用(2050年時点)
445~535ppmに温室効果ガスの濃度を安定化するための緩和策の費用は、2050年時点での全世界のGDPの最大5.5%ほど。

11:53 午後 環境 |

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