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2007年7月12日 (木)

永続地帯を見つけよう

地域の環境エネルギー政策に関する研究として比較的新しい「永続地帯」という指標への取組みをご紹介します。私も参加した研究会での2006年度の成果として日本国内の市町村ごとの再生可能な自然エネルギーによる「エネルギー自給率」について試算し、その結果に基づく幾つかの政策提言を行っています。

地域のサステイナビリティ(持続可能性)を評価する指標として、「永続地帯」という考え方があります。これはエネルギーや食料の自給状況を指標化してその地域の発展や政策評価につなげようという新しい試みで、千葉大学の倉阪先生(環境経済学)が提唱しています。

永続地帯のうち「エネルギー永続地帯」について、ISEP(環境エネルギー政策研究所)と千葉大学の公共研究センターとの共同研究として、7月9日に以下のプレスリリースを行いました。

詳しい内容は、次の「永続地帯」のwebサイトをご覧ください。
http://sustainable-zone.org/

プレスリリース:「エネルギー永続地帯」試算結果の公表について

千葉大学公共研究センターとNPO法人環境エネルギー政策研究所は、共同で、エネルギー永続地帯の試算結果を公表しました。この試算は、日本の全市区町村について、区域での再生可能な自然エネルギーによる電力供給によって、区域の民生用電力需要を、計算上どの程度賄うことができるかを推計したものです。この結果、以下のような事項が明らかになりました。

(1) 小水力発電が日本の再生可能な自然エネルギー電力の約6割を占める 日本全体の再生可能な自然エネルギーによる電力供給量では、小水力が最も大きく、自然エネルギー供給量の59.8%を占めていることがわかりました。以下、地熱(18.1%)、風力(12.4%)、太陽光(6.0%)、バイオマス(3.7%)の順となっています。このような再生可能な自然エネルギー起源の電力供給は、日本の民生用電力需要量の3.35%にとどまっています。

Eizokufig1

(2) 4県で再生可能な自然エネルギーによって民生用電力需要の2割以上を賄っている都道府県別では、大分県(30.8%:地熱+小水力)、秋田県(26.3%:地熱+小水力+風力)、富山県(23.4%:小水力)、岩手県(20.2%:地熱+小水力+風力)が、各都道府県内の民生用電力需要の20%以上を再生可能な自然エネルギーによって供給していることがわかりました。

Eizokufig2

(3) 76の市町村が自然エネルギーのみで域内の民生用電力需要を満たしている市区町村別では、76の市区町村が再生可能な自然エネルギーのみで域内の民生用電力需要を満たしていることがわかりました。

以上の試算結果から、以下の5点を政策提言としています。

(1) 日本に適した自然エネルギーの種別として、小水力発電にもっと注目すべき。
(2) 地方自治体におけるエネルギー政策を立ち上げるべき。
(3) 国はエネルギー特別会計の一部を地方自治体の自然エネルギー普及に振り向けるべき。
(4) エネルギー需要密度が大きい都市自治体においては、自然エネルギー証書の購入などの形で、自然エネルギーの普及拡大に寄与すべき。
(5) 自然エネルギー発電の基礎データが統計情報として定期的に公表されるようにすべき。

プレスリリース資料本体、都道府県ランキング、市町村ランキングなどの詳細
情報は、 http://sustainable-zone.org/ をご覧下さい。

05:34 午後 環境 |

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» ソーラーパネル トラックバック ソーラーパネル
ソーラーパネル(太陽電池)を設置して、自然なエネルギーを体験しよう。ソーラーパネルの購入から設置までに必要な情報をご説明します。 [続きを読む]

受信: 2007/07/12 19:49:35

» 自然エネルギーの発電量、4県が需要の20%超 トラックバック 持続可能な社会と金融CSR
繰り返し再生できる自然エネルギーによる発電量が、全国4県で地域の電力需要(民生部門)の20%以上を賄える量に達していると [続きを読む]

受信: 2007/07/15 1:07:10

コメント

7月14日付けの朝日新聞に掲載されました。

「自然エネルギーの発電量、4県が需要の20%超」
http://www.asahi.com/science/update/0714/TKY200707140143.html

投稿: Hiro | 2007/07/14 16:36:03

詳細なレポートありがとうございました。

個人的な感想ですが、長期的な社会の永続性というものを考えたときに、食料もエネルギーも基本的には自給自足が必要条件だと思います。

国家も自治体(都市)も、存立のための多くの要素を外部に依存しているものは、それをストップされたときにたやすく機能停止します。

そういったことを軽視するかほとんど考慮しないで、組織の運営や経済活動が行われていることが、社会の脆弱性を生み出していると考えます。

投稿: ペンギン | 2007/07/15 1:20:04

ペンギンさん

コメントをありがとうございます。
「持続可能な社会と金融CSR」もいつも拝見させて頂いています。この度はトラックバックもありがとうございました。

本当の意味でのエネルギーの自給自足は容易ではありませんし、それだけが持続可能な社会の条件でもありません。しかし、自分達がどれだけのエネルギーを利用し、それがどれだけの環境負荷を与えているかを知り、できるだけ再生可能な自然エネルギーにより自給できること目指すことはとても大切なことだと思います。その様な取組みや政策の一助になればと考え、この「永続地帯」の研究を行っています。

投稿: Hiro | 2007/07/16 0:19:03

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