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2007年10月29日 (月)

サステイナブルなニュース 第22号

国連環境計画(UNEP)が5年毎に発表しているレポート「地球環境概況(Global Environmental Outlook)第4版」"GEO-4"が先週発表されました。すでにIPCCの第4次評価報告書でも今年発表されているように、地球環境の状況は人類にとって一刻の猶予も許されないと本レポートでも具体的な項目を列挙して警告をしています。日本語版はまだありませんが、英語版がUNEPのホームページからダウンロードできます(500ページ、22MB以上)。

今週のサステイナブルなニュースをお送りします。産業界が実施した日本国内での地球温暖化に関するアンケートの結果や、国際的な環境NGOであるWWFと英国大手スーパーの協働、東京都の環境金融への取組みなどをご紹介します。

************** サステイナブルなニュース 第22号 ******************

地球温暖化に関するアンケート調査結果を発表

日本経団連の関連団体である(財)経済広報センターでは、全国に組織する公聴会員約2000人にインターネット経由で「地球温暖化に関するアンケート」調査を実施した。その調査結果では、地球温暖化が「身近な問題である」との認識が95%に達する一方、現在、京都議定書で日本が求められている削減目標は、「現状をみると、達成できない」という達成を疑問視する回答が79%となった。世代別では、若い世代ほど地球温暖化への関心が低いが、同時に削減目標達成については厳しい見方をしている。自らの地球温暖化防止のための行動については、「意識しているが、できる範囲だけで行動している」が75%ともっとも高く実際の行動の難しさを表すと共に、「積極的に行動している」という回答と合わせると90%を超え、環境を意識して何らかの行動をしている人が多いことがわかった。

経済広報センター・プレスリリース:
http://www.kkc.or.jp/release/2007/rel0810.html
経済広報センター「地球温暖化に関する意識調査報告書」:
http://www.kkc.or.jp/society/survey/enq_070810.pdf

英国大手スーパーがWWFと環境対策の新たなパートナーシップ

英国大手スーパーのマークス&スペンサー(M&S)は、WWFとの新しいパートナーシップを結び、M&Sが2億ポンドを費やして環境対策に取り組む5ヵ年計画「プランA」をWWFが支援する。この計画では、「2012年までに英国およびアイルランドの店舗をカーボンニュートラルにする」との目標を掲げる他、廃棄物の削減、持続可能な原材料の調達など5分野100項目に渡り対策を進める。顧客や従業員のカーボンフットプリントを計算できるツールをWWFのサイトで利用できるように提供し、カーボンフットプリントの削減を支援する。また、ボルネオや大西洋におけるWWFの環境保護プロジェクトへの融資なども行う。

英国WWFプレスリリース:
http://www.wwf.org.uk/news/n_0000004287.asp
温「断」化ニュース記事:
http://www.es-inc.jp/edablog/ondanka/archives/070910_190604.html

東京都が、日本で初めての環境CBO(社債担保証券)創設

東京都では、平成14年度から中小企業の資金調達を支えるためのCBO(社債担保証券)を実施してきたが、今年度から日本初の取り組みとなる「環境CBO」を創設する。この「環境CBO」の特徴として、従来のCBOに二酸化炭素の排出量削減という地球温暖化対策の視点を取り入れたこと。社債を発行するスキームの要件として、一定量の二酸化炭素の排出量削減の条件を設定し、中小企業における省エネの取組みを促す。「地球温暖化対策推進基金」を活用して、CBOの一部を東京都が無利子で購入し、社債発行利率を下げ、より多くの企業が参加しやすい仕組みとしている。この様な新たな金融商品の提供により、広く中小企業におけるCO2排出量削減の実現を支援するとともに、省エネの動きを醸成していくとしている。

東京都プレスリリース(8月31日):
http://www.metro.tokyo.jp/INET/OSHIRASE/2007/08/20h8v400.htm
東京都の地球温暖化対策:
http://www2.kankyo.metro.tokyo.jp/sgw/index.htm

11:39 午後 環境 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2007年10月22日 (月)

サステイナブルなニュース 第21号

今年発表されたIPCCの第4次評価報告書の中に、温室効果ガスの排出量を減らす方法としてカーボン(二酸化炭素)に値段をつけるというものがありました。国や地方自治体レベルの政策として環境税や排出量取引などが注目されていますが、民間ベースの取組みとしてのカーボン・オフセットやグリーン電力証書などの取組みも広がっています。今回のニュースでは国際的な金融機関によるそんな取組みを紹介します。

現在、国の環境政策の基本的な方針を定めている第三次環境基本計画について、進捗報告の内容が現在パブコメ(意見公募)されています。

[環境省:第三次環境基本計画の進捗報告案などに関するパブコメ]
http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=8927

この環境基本計画での指標の扱いについて総合的に判断するために、検討委員会が開催されており、以下のように資料や議事録が公開されています。このブログでもご紹介したエコロジカル・フットプリントを中心にJFS指標など内外の指標を比較検討して、その活用を模索しているようです。

[環境省:第三次環境基本計画の指標の活用に関する検討委員会]
http://www.env.go.jp/policy/kihon_keikaku/ei/kentou.html

********* サステイナブルなニュース 第21号 ************

環境省、来年度の重点施策をまとめ、概算要求

環境省は、地球温暖化問題への対応や循環型社会の構築などへの取組みなど、「環境立国・日本」の創造と発信をテーマに来年度の重点施策をまとめ、来年度予算の概算要求を行った。6月に閣議決定された「21世紀環境立国戦略」をベースに低炭素社会づくりへの本格的な取組み、生物多様性の保全を通じた自然共生社会づくり、3Rを通じた持続可能な資源循環、アジアの環境保全に向けた国際協力の強化(クリーンアジア・イニシアチブ)、環境から拓く経済と地域活性化、安全を確保できる生活環境行政の推進などの施策を提示している。平成20年度の環境省概算要求・要望額は一般会計と特別会計(エネルギー特会)を合わせて対前年度比21.2%増の2,685億円となっている。

環境省ホームページ「平成20年度環境省重点施策」:
http://www.env.go.jp/guide/budget/h20/h20juten-info.html

世界初、本格的なカーボン・オフセットサービスを行うカーボン銀行を創設

世界有数の総合金融サービス企業モルガン・スタンレーは、顧客に対して本格的なカーボン・オフセットのサービスを提供する「カーボン銀行(Morgan Stanley Carbon Bank)」
の創設を発表した。国際基準に基づき温室効果ガス排出量の算定および認証サービスを行っている国際認証機関DNVと提携し、モルガン・スタンレーの排出権取引のノウハウを活用することにより、顧客に対して広く提供されるサービスとしては世界初となる。気候変動対策に取り組む顧客が希望したときに温室効果ガスの排出量ゼロを達成するために、最高レベルの公認国際基準に基づき排出量の算定・認証から排出権の購入まで行い、カーボン・オフセット(温室効果ガス排出量ゼロ)の証明を行うワンストップサービスを提供する。

モルガン・スタンレー・プレスリリース(日本語訳):
http://www.morganstanley.co.jp/aboutms/pressroom/docs_ja/global/070814_ja.pdf
Morgan Stanley Press Release(英語):
http://www.morganstanley.com/about/press/articles/5371.html

積水ハウス、昨年度の環境共生住宅の建設実績、日本一

積水ハウスは、昨年度の「環境共生住宅」の建設実績で、建設戸数が1,638戸となり国内1位を達成したと発表した。「環境共生住宅」は、「地球環境の保全」、「周辺環境との親和性」、「居住環境の健康・快適性」の考え方に基づいて(財)建築環境・省エネルギー機構(IBEC)が認定しており、平成18年度の全建設戸数は前年度比約5割増しの3,855戸となった。「環境共生住宅」の認定にあたっては、基本的な性能・機能である4分野の必須用件(省エネルギー性能、耐久性、立地環境への配慮、バリアフリーなど)を満たした上で、より高度でユニークと判断される提案を実施する必要がある。積水ハウスでは「省エネルギー型」として次世代省エネルギー基準に対応し、プレカットの構造部材を採用することにより「資源の高度有効利用型」に対しても「システム供給型」としての認定を受けている。

積水ハウス(株)プレスリリース:
http://www.sekisuihouse.co.jp/company/newsobj900.html

12:11 午前 環境 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2007年10月16日 (火)

サステイナブルなニュース 第20号

最初に、アル・ゴア氏とIPCCがこの時期にノーベル平和賞を受賞したことは本当に意義深いことだと思います。サステイナブルなニュースも今回で第20号となりました。基本的に週1回のペースですので、約5ヶ月続いたことになります。そろそろ違った趣向でこの種のニュースをご紹介することを考えたいと思っています。ニュースについては、こちらのブログの方が断然情報の速さや数でかないませんので...

さて、今回のニュースでは原子力を取り上げています。日本に住む私たちは、電力の3割を原子力に頼っており、その良し悪しに関わらず無関心でいるわけには行きません。そのことを思い知らされたのが、先日の新潟県中越沖地震での柏崎刈羽原子力発電所の様々な影響です。幸い大きな事故にはつながらなかったものの、再稼動に向けた状況は予断を許しません。地震などのことに触れるために発行が遅れていた原子力安全白書がやっと発行されたというニュースです。その他に、国内ではまだまだ普及が進んでいない木質ペレット製造に関するニュースと地方自治体の地球温暖化対策の優秀事例紹介などです。

*********** サステイナブルなニュース 第20号 (記念号) ************

新潟県中越地震を踏まえて原子力安全白書が刊行

国の原子力安全委員会は、平成18年版の原子力安全白書を刊行した。本来7月下旬の予定だったが、7月16日に発生した新潟県中越沖地震において、設計時の想定を超えるゆれが観測されたことなどから、地震の影響に関する見解や今後の対応の方向性を別資料としてまとめた。白書の中では、過去の不正の総点検について特集するともに、耐震安全性に係る安全審査指針などの改訂についても取り上げている。すでに昨年9月に原子力発電所の耐震安全性を審査する際の指針である「耐震指針」を改訂し、既設の全ての原子力発電所について確認(バックチェック)が進められていたが、今回の地震により得られた新知見を評価し、耐震指針の見直しや、バックチェックへの反映など他の原子力発電所への水平展開を図るとしている。

原子力安全委員会「平成18年版原子力安全白書」:
http://www.nsc.go.jp/hakusyo/hakusyo18/mokuji.htm

三菱商事、大分県で木材からのペレット製造販売へ

三菱商事は、再生可能なエネルギーとして欧州で急速に普及が進んでいる木質ペレットについて日本国内での製造販売事業へ進出することを発表した。国内有数の林業集積地である大分県日田市において、国内最大の年間2万5千トンの製造能力を持つペレット製造設備を建設し、主に石炭ボイラー混焼用に販売をする。7月31日には製造販売事業を行う子会社「フォレストエナジー日田」を合弁で設立し、2008年1月の操業開始を予定している。木質ペレットの原料は、日田市を中心としたエリアで発生する杉樹皮(バーク)で、これを直径6mm、長さ20mm程度の円柱状に圧縮・成型して、CO2を排出しない(カーボンニュートラル)とみなすことができる固形燃料を製造する。欧州ではすでに数百万トン規模での生産や利用が行われているが、日本国内ではまだ数万トンの規模にとどまっており、本格的な普及が期待されている。

三菱商事プレスリリース(2007/8/20):
http://www.mitsubishicorp.com/jp/pdf/pr/mcpr070820.pdf

地方自治体の地球温暖化対策の優秀事例を紹介

国際的な自治体ネットワーク組織「イクレイ-持続可能性をめざす自治体協議会」の日本事務所「イクレイ日本」は、日本国内の地方自治体の地球温暖化対策の事例・成果を収集・整理し、優秀事例などとして公開している。調査は国内129自治体に行い、2003年から2005年度に実施された地球温暖化対策として普及啓発、率先実行(自治体自ら行う取組み)、削減施策などをまとめている。優秀事例としては温室効果ガスの排出削減効果の高い上位10%、230t-CO2/年以上の成果を上げた44事例を選んで紹介している。その他、削減効果だけでは評価できない創意工夫された独創的な8事例も取り上げている。率先実行では、ISO14001等の環境マネジメントシステムの運用やESCO事業の導入により成果を上げており、削減施策では、条例の制定や新エネルギー(バイオマス、太陽光発電)の利用促進の効果が大きいとしている。

イクレイ日本「地球温暖化防止事例・成果データベース」:
http://www.iclei.org/index.php?id=6889
イクレイ日本プレスリリース:
http://www.iclei.org/documents/Japan/200708PressRelease.pdf

12:21 午前 環境 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2007年10月 8日 (月)

地域発!地球温暖化防止戦略を考える

地域の知恵や資源を活かした環境エネルギーへの取組みが注目されています。以前にもご紹介した環境エネルギーセミナー(環境エネルギー政策研究所ISEP主催)が、まだまだ残暑が厳しい9月13日に開催され、私自身も司会者として参加しました。国内外の環境エネルギー政策を取り巻く状況や課題を整理し、より具体的な2つの実践報告(横浜市、飯田市)や研究報告(永続地帯指標)などから、新たな地域発の温暖化防止戦略についての非常に興味深い議論が行われました。

最初に、飯田哲也氏(ISEP所長)より国内外や地域の環境エネルギーを取り巻く政策課題について以下の様な問題提起がありました。自然エネルギーの世界市場が10兆円近い規模に拡大するなか、ドイツではこれまでの普及政策により風力発電の総設備容量が2000万kW以上に達し、風力産業の拡大や雇用創出効果などを含め「3つの配当」を得ることに成功しました。さらに、太陽光発電でも同様の効果が期待されており、EU全体では2020年までに30%という再生可能エネルギーの導入目標値を設定しています。一方、日本国内では従来型の補助金政策(供給・技術プッシュ型)が続いており、これを需要側の市場や地域社会を主体にした「プル型」に変える必要性を指摘しています。欧州での「環境エネルギー事務所」の事例や日本国内での市民風車や地域エネルギー事業への取組みなどについて紹介がありました。

続いて、環境省により3年前から行われている「環境と経済の好循環のまちモデル事業」を中心に、環境省環境計画課の大倉氏から基調講演があり、京都議定書達成に向けた国の取組み状況と合わせてこのモデル事業などの紹介がありました。平成16年度から始まり3ヵ年で全国19の地域で各地域の特徴を活かしたモデル事業。林業が参加な地域での木質バイオマスの熱利用、都市部でのヒートアイランド対策、省エネ事業や自然エネルギー(太陽光、BDFなど)の導入整備事業が実施されました。平成16年度に事業がスタートした地域では平成18年度までの3年間で事業がすでに完了し、その評価が現在行われています。環境省では地域における自然資本の活用を重要視しており、地域の特性を活かした都市計画の見直しや化石燃料に頼らず地域内で資金や資源が循環する地域づくりに関する事業を来年度に向けて検討しています。

地域発の実践事例として横浜市で2003年にスタートした風力発電事業について横浜市環境創造局の関川課長から報告がありました。事業化のポイントは、「目に見える“モノ”で示す」ための大型風力発電、環境教育による「次世代に向けたメッセージ」、「最小の費用で最大の効果を得る」ための民間資金の活用、そして「市民と共に取り組む」ための市民参加です。もともと市役所内の起業アイデアの募集の中で生まれたもので、住民参加型市場公募債(かざぐるま)による資金調達(2億8千万円)とY-グリーンパートナー制度(年間4500万円の企業からの10年間の協賛)によるグリーン電力証書の活用。昨年までに施設はすでに発電を開始しており、横浜港の新たな観光・環境教育施設としても注目を集めています。

2つめの地域エネルギー事業の実践として、飯田市での公民協働事業である「おひさま進歩エネルギー(有)」の挑戦とその成果について竹村氏から紹介がありました。飯田市では平成16年度に上記の「まちモデル事業」に採択され、様々な普及啓発事業や木質バイオマス事業の他、太陽光発電と省エネ事業を民間の事業会社への助成事業として実施しました。省エネ事業では、「商店街ESCO」として中小規模の施設に対する省エネの診断を行い、13ヶ所の施設の省エネ改修をサービサイジングとして提供。中心市街地に隣接し、もっとも規模が大きい飯田市美術博物館について、空調設備を高効率・省エネ型に更新し、40%近い省エネを実現。また、市内38ヶ所の保育園などの公共施設に太陽光発電設備を設置し、発電した電力を設置した施設に販売すると共に、グリーン電力証書の販売やマスコットキャラクター(さんぽちゃん)が登場するパネルシアターによる環境教育を実践しました。

研究報告として千葉大学公共研究センターとISEPが共同研究を行った「エネルギー永続地帯」の紹介が千葉大学の倉阪准教授よりありました。「永続地帯」は、食料とエネルギーの自給が可能な地域を評価する指標で、市町村などの地域でその自給率を評価する試み。2006年度の研究では市町村あるいは都道府県毎に民生用電力需要対する再生可能な自然エネルギーの割合(自給率)の計算を行っており、自給率が20%超える都道府県は大分県、秋田県、富山県、岩手県の4県で、地熱発電や小水力発電の占めるウエイトが大きい。多くの都道府県で小水力(1万kW以下の水路式)が大きなウエイトを占めており、従来はあまり注目されて来なかった小水力の重要性を指摘しています。小水力は全国の自然エネルギーによる発電量の約6割を占めているが、地熱は大型の発電施設が多く18%、風力が12%、太陽光発電が6%。エネルギーの自給率が100%を超える「100%エネルギー永続地帯」の市町村は76あるが、逆に需要の大きい都市部では1%以下と自給率は非常に低く、グリーン電力証書の購入の様な形が期待されています。

セミナーの最後には、飯田所長をコーディネータにパネル討論を開催し、講演に対する会場からの質問などを受けて、引き続き各パネリストの方々から細かい回答やコメントなどがありました。短い時間の中でしたが、国全体の政策から、地域でのより具体的な事業の方向性や地域政策での指標の活用まで非常にレンジの広い具体的な論点が取り上げられた中身の濃いパネル討論でした。

なお、セミナーで発表された資料や議事録の一部は、以下のISEPのページからダウンロード可能になる予定ですので、ご参照ください。

ISEP環境エネルギーセミナー(第2回):「地域エネルギーによる新たな温暖化防止戦略」
http://www.isep.or.jp/event/070913sympo.html

05:13 午後 環境 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2007年10月 4日 (木)

サステイナブルなニュース 第19号

このブログでもご紹介した9/13の環境エネルギーセミナーでは、私自身も司会を務めさせて頂きましたが、日本全体の温暖化戦略の課題から地域発の環境エネルギー事業への挑戦まで、とても興味深い講演やパネル討論がありました。一方、同じ記事でご紹介した北極海の氷の減少は、その後も止まらず9月16日に今年の最小面積となったそうです(朝日新聞9/23)。その面積は約420万平方kmとなり、1980年代の夏の最小面積の約700万平方kmから急激に減少しています。これは、今年IPCCから発表された減少のペースよりも30年先行していると言われています。

少し遅くなりましたが、今週のサステイナブルなニュースをお届けします。今回は、この北極海の氷の面積の減少と、ビジネスに与える気候変動の影響や環境に配慮した木材の選択ガイドについてのニュースです。

気候変動がビジネスに与える影響はどの程度報告されているか

地球温暖化による気候変動への取組みについて、多くの企業が持続可能性報告書で温室効果ガスの排出量やビジネス機会について報告しているが、自社のビジネスに与える影響やリスクについて触れている企業は少ない。KPMGとGRI(Global Reporting Initiative)は持続可能性報告書を作成している50社を対象に気候変動がビジネスに与える影響がどのように報告されているか調査を行った。90%の企業は報告を行っているが、その中で気候変動による訴訟リスク、将来的な規制リスク、異常気象による事業活動の混乱リスクといったビジネスリスクについての報告はほとんどなかった。さらに、財務面に与える影響について十分には説明されておらず、気候変動が企業間の競争に大きな影響を与えることが予想されるなど、リスクや機会を特定・評価したうえで、株主や投資家を含むステークホルダーへの十分な報告が求められているとしている。

KPMG Japanプレスリリース:
http://www.kpmg.or.jp/resources/newsletter/sustainability/200708/01.html

環境に配慮して木材を選択するためのガイドを公表

木材を購入・調達するときに、生産地の環境や社会的な影響に配慮した木材を積極的に選ぶことが求められている。そこで実際に家づくりをする人が環境に配慮して木材を選定できるように、主要な樹種の性質・強度などの情報と共に、原産地の森林環境を紹介し、違法伐採リスク、伐採地の環境負荷リスク、樹種の貴重性、輸送負荷などの指標を環境性能として示した「森林の見える木材ガイド」が公表された。日本は世界有数の木材消費国であると同時に、利用する木材の8割を海外に依存しており、環境に配慮した木材(フェアウッド)を選択することが、世界と日本の森林環境を維持・改善することにつながるとして、フェアウッド・キャンペーンの活動の一として製作された。

「森林のみえる木材ガイド」:
http://www.fairwood.jp/woodguide/index.html
「フェアウッド・キャンペーン」
http://www.fairwood.jp/

北極海の氷の面積が最小に、IPCCの予測を大幅に上回る減少

日本の海洋研究開発機構(JAMSTEC)と宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、海洋・大気観測データおよび衛星観測による北極海のデータを共同で解析し、北極海の海氷面積が観測史上最小となったことを確認し、さらに大幅な減少となる見込みであることを発表した。この減少は、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)による最新の報告書で予測されている速度を大幅に上回るもので、30年以上早く予測値に達する可能性がある。この減少速度の加速原因としては、地球温暖化による氷の融解により、太陽の日射を吸収しやすくなり、海洋の加熱が進むという悪循環などが指摘されている。地球温暖化による温度上昇は緯度が高い極地ほど大きく、海氷の減少は生態系の影響だけでなく、世界の気候パターンへの影響などが懸念されている。

JAMSTEC/JAXAプレスリリース:
http://www.jamstec.go.jp/j/about/press_release/20070816/index.html
IPCC第4次評価報告書(環境省):
http://www.env.go.jp/earth/ipcc/4th_rep.html

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