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2007年11月23日 (金)

サステイナブルなニュース 第25号

初雪の便りが各地から聞こえ始め、すでに冬が訪れたようです。暖房が必要な時期になりますが、今年は暖房用の灯油などの高騰で、別の燃料に切り替える人も多いのではないでしょうか。特に、大量の灯油や重油を使う施設ではこの燃料費の値上がりは死活問題です。そのとき化石燃料ではなく、どのようなエネルギーを選ぶかが重要です。この機会に私たちの生活に欠かすことのできないエネルギーのことについて真剣に考えてみてはいかがでしょうか。先週、エネルギー資源のピーク問題に関するセミナーに参加して来ましたが、すでに多くの人が認識しているピークオイルに加えて、天然ガスや石炭そして原子力発電の燃料となるウランのピークまでも考える必要があることを再認識しました。私たちの次の世代が持続可能な社会を創り上げることができるどうかは、地球温暖化問題や食糧問題と合わせて、このエネルギー問題を解決していく必要があります。

今週のサステイナブルなニュースをお送りします。今、温暖化対策のひとつとして注目されている排出権取引の話題、先進的な地球温暖化対策を進めている東京都の取組み、そして今後のもっとも注目すべき国、中国との協力関係の話題をお送りします。

************* サステイナブルなニュース 第25号 ************

日本企業として丸紅が欧州排出権取引所に初めて加盟

丸紅(株)は、日本企業として始めて欧州排出権取引所ECX(European Climate eXchange)に加盟したことを発表した。ECXは世界最大の排出権取引所であり、2005年4月から排出権取引を開始し、欧州主要企業を中心に80社が会員となっている。2006年の取引規模は、EUA(欧州内の排出権)で推定100億ユーロに拡大している。ECXでは、京都議定書の京都メカニズムによる排出権CERの上場を今年9月より予定しており、欧州域内だけではなく国際的な排出権取引の拡大が見込まれている。丸紅は、この国際排出権取引に参画し、従来から扱っている海外での温室効果ガス削減プロジェクト(CDMなど)によるCERの調達、販売の機能や体制を強化する。さらに、国際排出権取引市場の創設を目指す非営利団体である国際排出権取引協会IETAにも加盟し、国際排出権取引に関する枠組み作りにも積極的に関わる方針としている。

丸紅プレスリリース:
http://www.marubeni.co.jp/news/2007/070921.html

東京都が、民間企業の協力により白熱球一掃作成を展開

東京都の気候変動対策の一環として、コンビニ、スーパー、電気店などと連携した「白熱球一掃作成」を展開することを発表した。家庭で従来から使用されている白熱球を、電球型蛍光灯に交換することにより、家庭で使用される電気の2割弱を占めると言われる照明の省エネを推進する。都内に店舗を有するコンビニ各社において、電球型蛍光灯の取り扱いを10月より開始。スーパー各社においては、売場拡大や割引セールなどにより積極的な販売を行う。電気店においても店頭で省エネ性能などのメリットを宣伝する。さらに、率先行動として東京都の施設において現在使用されている白熱球2万9千個について、原則として来年度末までに全て電球型蛍光灯に交換することにより、約200トンのCO2を削減する。

東京都プレスリリース:
http://www.metro.tokyo.jp/INET/OSHIRASE/2007/09/20h9l200.htm

日中間で省エネルギー・環境に関する10件の協力に合意

9月下旬に北京で開催されていた「第2回日中省エネルギー・環境総合フォーラム」において、省エネルギー・環境に関する10件の協力について日中間で合意された。このうち5件については、日中省エネルギー・環境ビジネス推進モデルプロジェクトとして協力合意に至ったもので、石炭火力発電所の省エネ・環境診断及び技術改善事業の他、紡績工場の省エネ改善プロジェクト、下水汚泥・都市ごみ・未利用バイオマスのエネルギー化事業及び有効利用、鉄鋼・化学工業業界の電機システムの省エネ・余熱余圧利用のモデルプロジェクトなどがある。その他の協力合意事項としては、日本化学工業会と中国石油・化学工業協会との協力推進、日中間の循環型都市に関する協力推進、排熱発電に係る設備の製造を行う合弁企業の設立、省エネ推進・環境改善のための金融スキーム、そして日本のESCO推進協議会と中国ESCO協会との協力となっており、全て民間レベルで実施される。

経済産業省プレスリリース:
http://www.meti.go.jp/press/20070927002/20070927002.html

09:17 午後 環境 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2007年11月18日 (日)

これからの20年間にするべきこと

これからの20年間の地球温暖化への対応が将来の人類の運命を決めることになりそうです。11/17までスペインで開催されていたIPCC総会において統合報告書のサマリー(SPM)が発表されました。この報告書は、今年の2月から各作業部会(WG)から発表されていた評価報告をまとめたもので、今後の地球温暖化による気候変動対策の根拠となるとても重要なものです。そして、この報告書を真摯に受け止め、これからの20年間で地球温暖化への対応を世界規模で着実に行う必要があります。

環境省:[IPCC統合報告書の日本語概要]

地球温暖化への対応としては、温室効果ガス(GHG)の排出量を削減すると共に、気候変動による様々な影響やリスクへの対応を同時に行う必要がありますが、そのためのコストは遅れれば遅れるほど大きくなり、対応が難しくなります。大気中の温室効果ガスの濃度を許容できる範囲に安定化するためには、やはり次の図にあるように排出量を2050年頃までに現在の半分以下にする必要があります(温度上昇を2.8℃以下にするカテゴリIあるいはIIの場合)。そのための経済的なコストや選択すべき技術なども報告書の中で列挙されており、まさにこの20年間に私達がすべきことのヒントが書かれています。
Ar4_syr_spm11

これまで発表された各作業部会の報告については、このブログでも取り上げています。それぞれの詳細なレポート(英語)もすでにIPCCのホームページで公開されていますので、必要に応じて詳しい内容を確認することが可能です。

この統合報告書の最後の方にある「長期的な展望」では、今後長期的に考えられる地球温暖化によるリスクを列挙しています。温暖化に伴う自然界への影響や種の絶滅、異常気象の増大、最貧国など温暖化の影響を真っ先に受ける国々、対応コストの増大、そして急速に進む極地域の氷の減少など、これらの地球温暖化のリスクは日に日に増大しています。これからの20年間は、これらのリスクへの対応も考えながら、温室効果ガスの大幅な排出削減にも取り組むことになります。

統合報告書は、以下の5つの主題(トピックス)から構成されています。

主題1:気候変化とその影響に関する観測結果
    気候システムの温暖化には疑う余地がなく、平均気温の上昇、雪氷の融解、海面水位の上昇が観測されている。地域的な気候変化により、多くの自然生態系が影響を受けている。

主題2:変化の原因
    人間活動により、温室効果ガスの濃度が産業革命以前の水準を大きく超えている。20世紀半ば以降の平均気温の上昇のほとんどは、人為起源の温室効果ガスの増加によってもたらされた。

主題3:予測される気候変化とその影響
    世界の温室効果ガス排出量は、現在の政策を継続した場合、今後20~30年間増加し続け、大規模な温暖化がもたらされる。

主題4:適応と緩和のオプション
    脆弱性を低減させるためには、強力な適応策が必要。適切な緩和策の実施により、今後数十年にわたり、温室効果ガスの排出量の伸びを相殺、削減できる。

主題5:長期的な展望
以下の5つの「懸念理由」が第3次評価報告書からますます強まっている。また、適応策と緩和策は、互いに補完しあうことで、気候変動のリスクを低減。既存技術および今後数十年で実用化される技術により温室効果ガス濃度の安定化は可能。今後20~30年間の緩和努力と投資が鍵となる。

  1. 極地や山岳社会・生態系といった、特異で危機にさらされているシステムへのリスク
  2. 干ばつ、熱波、洪水などの極端な気象現象のリスク
  3. 地域的・社会的な弱者に大きな影響と脆弱性が表れる
  4. 地球温暖化の進行に伴い被害が増大し、コストは時間的に増加
  5. 海面水位上昇、氷床の減少加速など、大規模な変動のリスク増大

01:22 午後 環境 | | コメント (0) | トラックバック (1)

2007年11月16日 (金)

サステイナブルなニュース 第24号

石油価格の高騰が続いています。現在のような原油価格の上昇が始まった2000年頃は、ちょうど中国の化石燃料の使用量(CO2排出量の傾向と一致)が急速に増え始めた時期と面白いように一致します。中東にその多くを依存する原油の生産量は、ここ数年、頭打ちの傾向を示しており、世界の石油の生産量がピークを迎える"ピークオイル"というキーワードがエネルギー関係者の間ではすでに常識となりつつあります。この石油の需給バランスから容易に想像されるのが、原油価格の上昇です。このピークオイルと地球温暖化は、私たちが今後数十年間に渡って避けることのできない現実として目の前に横たわっています。

さて今週は、地球温暖化により変わりつつある金融(お金の流れ)や、新たなエネルギーとして注目を集めている太陽光発電の将来動向、そして賛否両論、その動向に注目が集まるバイオ燃料などに関するニュースをお送りします。解決策は決して一つではありませんので、多くの選択肢から正しいものを見極める力が大切だと思います。

****** サステイナブルなニュース 第24号 *****************

気候変動対策には根本な投資の流れの変化が必須、国連報告

8月末に国連の気候変動枠組条約事務局から発表されたレポートによると、今後25年間の気候変動対策においては、世界の投資や金融の流れのパターンを根本的に変える必要がある。レポートでは、気候変動に対する国際的な対策の進展に関連して、すでに存在するか潜在的な投資や金融の流れについて分析した結果、2030年には世界的な投資額の1.1%から1.7%程度の追加的な投資や金融の流れが必要になることがわかった。もう一つの重要な指摘は、温室効果ガスの排出量を2030年の時点で現在のレベルに戻すためには、2,100億ドル程度の追加的な投資や金融の流れが必要になるとしている。2030年には、世界での排出削減量の68%を発展途上国が占めるため、これらの国々への投資額が全体の46%に達すると予測している。

国連ニュース:
http://www.un.org/apps/news/story.asp?NewsID=23592&Cr=climate&Cr1=change
UNFCCC(国連気候変動枠組条約)発表資料:
http://unfccc.int/cooperation_and_support/financial_mechanism/items/4053.php
温「断」化ニュース:
http://www.es-inc.jp/edablog/ondanka/archives/070905_164740.html

2010年の太陽電池の世界市場と技術開発を予測

富士経済がまとめた調査によると、2010年度の世界の太陽電池市場は2兆7,700億円に達し、2006年度の約3.7倍となる。市場は日本から欧州、北米、中国などの中進国、発展途上国へ拡大し、シリコン原料の逼迫によりシリコン依存度のより低い原料を利用したCIS系太陽電池などの多様な太陽電池の技術開発が進むとしている。日本国内の市場は、2010年度で2,162億円と今後3年間で1.7倍程度の伸びにとどまるが、製造については従来の電機業界から、材料や石油、自動車などのメーカーへと多様化する。一方、海外市場は、2006年度の6,325億円から2010年度の2兆5,554億円と約4倍の伸びが予測され、年率40%以上の成長が続くとしている。欧州ではすでにドイツが日本を抜き世界最大の市場となり、米国でもカリフォルニア州などで需要が急増している。アジアにおいても中国や韓国での需要が伸びており、ODAや世界銀行の支援を受けた発展途上国へも需要が広がると見ている。

富士経済プレスリリース:
http://www.group.fuji-keizai.co.jp/press/pdf/070911_07072.pdf
日経プレスリリース:
http://release.nikkei.co.jp/detail.cfm?relID=169784&lindID=5

世界初、最新型ハイブリッドバスに第二世代バイオ燃料

東京都は、第二世代のバイオディーゼル燃料による最新型ハイブリッドバスのデモ走行を10月から都バス1系統において開始すると発表した。東京都では、「カーボンマイナス東京10年プロジェクト」を推進しており、CO2排出削減のために都バスにおけるバイオディーゼル燃料の先駆的導入に取組んでいる。すでに導入されている第1世代バイオディーゼル燃料(FAME)に引き続き、新日本石油とトヨタ自動車が共同開発した水素化処理技術によるBHD(水素化バイオ軽油)を採用する。このBHDは植物油等を水素化処理することにより従来の軽油とほぼ同じ成分となり、将来的には100%近い高濃度利用も可能となる。このデモ走行では、BHDを10%配合した軽油を利用し、日野自動車製のハイブリッドバス2両を運行する。ハイブリッドバスは、平成19年度に5両を導入する計画で、ディーゼルエンジンとモーターを組合せることにより燃料の消費を従来の15%程度抑えることができる。

東京都プレスリリース:
http://www.metro.tokyo.jp/INET/OSHIRASE/2007/09/20h9l400.htm

09:17 午後 環境 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2007年11月 9日 (金)

サステイナブルなニュース 第23号

つい2年ほど前までは太陽光発電の設備容量で日本が世界一だったのですが、すっかりドイツに抜かれてしまいました。太陽光発電装置の生産量ではいまだに世界一の様ですが、それも中国や欧州の企業に急速に追い上げられています。シリコンの調達力の差や国内市場の低迷が影響を与えているのでしょうか。今回は、スペインから「超大規模」な太陽光発電施設についてのニュースです。13,800kWというのは、通常の家庭用の4600世帯分ということでひとつの町の分という感じですね。装置のメーカは京セラということですが、日本のメーカも市場の成長が激しい欧州に目を向けているようです。日本国内でも2ヵ所で大規模な太陽光発電システムが稼動しつつあります。ひとつが、山梨県北杜市(2MW)、もうひとつが北海道稚内市(5MW)です。いずれもNEDOの「大規模電力供給用太陽光発電系統安定化等実証研究」としてスタートしています。その他、環境省のメガワットソーラー事業も昨年度からスタートしており、長野県では飯田市佐久市の2ヵ所、そして高知県でそれぞれ1MW規模の太陽光発電導入事業が行われています。中でも飯田市の事業は市民出資を活用していることが特徴で、出資募集も近々開始される予定です。

                  [温暖化防止おひさまファンド]

前置きが長くなりましたが、今週のサステイナブルなニュースを3件、お送りします。最初がスペインでの超大規模太陽光発電(日本国内のメガワットソーラーのさらに10倍以上!)のニュース、そしてSRIと生物多様性と続きます。

スペインで超大規模な太陽光発電施設が完成

スペインのサマランカ市で出力13,800kWの出力を持つ超大規模太陽光発電施設が完成した。京セラは、この施設全体に過去最大規模の約7万枚の太陽電池を供給しており、約5000戸分の電力を賄うことができる。京セラは28年前に初めて海外向けの太陽電池の供給を始めており、そのときの出力8kWに比べ、実に1700倍に達している。設置面積は約36万平方メートルで、甲子園球場約9個分に相当する。スペインでは、ドイツなどの欧州各国で導入が広がっているフィードインタリフ制度(電力会社が再生可能エネルギーを通常の価格より高額で固定価格での買取りを保証する制度)により、太陽光発電を初めとする再生可能エネルギーの市場が急速に拡大している。施設を建設したスペイン企業アバンツァリアソーラー社は、2004年に設立され、コンサルティングからメンテナンスまでのトータルサービスと資金調達業務をその運用と合わせて行っている。

京セラ・ニュースリリース:
http://www.kyocera.co.jp/news/2007/0902.html

東レが、代表的なSRI指標のひとつに採用

東レ(株)は、世界の代表的なSRI(社会的責任投資)指標であるダウ・ジョーンズ・サステナビリティ・ワールド・インデックス:DJSI World)に初めて採用された。本SRI指標の構成銘柄の見直しは毎年9月に行われ、9/24に発効する”DJSI World2007/2008”には、世界で318社が採用され、そのうち日本企業は東レを含み36社が採用されている。化学業種では、日本で東レが唯一採用された。このDJSI Worldは、1999年に米国の株式指数算出会社であるダウ・ジョーンズ・インデクシス社とスイスのSRI調査運用会社サムグループ社が提携して開発した株式指標で、世界のSRIファンドの銘柄選定に大きな影響を与えることで知られている。インデックス構成の見直しは、世界の企業2500社を対象に「経済」「環境「社会」の3つの側面から企業を評価し、業種毎に上位10%の企業を採用している。

東レ・プレスリリース:
http://www.toray.co.jp/news/manage/nr070914.html

生物多様性の国家戦略案がまとまり、意見募集へ

中央環境審議会に設置された生物多様性国家戦略小委員会は、第3次となる新たな生物多様性国家戦略の案を取りまとめ、意見募集を開始した。この国家戦略は、生物多様性条約に基づき、生物多様性の保全と持続可能な利用に関わる政府の施策を体系的に取りまとめ、その目標と取組みの方向を示したもので、平成7年の第1次から5年程度を目途に見直しを行ってきた。案の特徴としては、生物多様性の重要性をわかりやすく解説し、地球温暖化が生物多様性に与える深刻な問題についての記述を追加している。レッドデータブックの改訂などこの5年間の生物多様性についてのデータを概説し、国のほか、地方公共団体、企業、NGOなどの取り組みの重要性を紹介している。さらに、生物多様性の保全をするために100年かけて回復する国土のグランドデザインを「100年計画」として提示している。

環境省プレスリリース:
http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=8794
第3次生物多様性国家戦略(案):
http://www.env.go.jp/info/iken/h191014a/index.html
生物多様性情報システム(J-IBIS):
http://www.biodic.go.jp/J-IBIS.html

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