« 2008年5月 | トップページ | 2008年7月 »

2008年6月29日 (日)

サステイナブルなニュース 第47号

いよいよ洞爺湖サミットまで一週間となりましたが、ここ最近の地球温暖化をめぐる国内外の動きは目覚しいものがあります。もちろん個別の事情により、なかなか確信に踏み込めないことも多々あるようですが、それでも以前に比べれば確実に前進しているのではないでしょうか。問題は、この前進をサミット後にも確実に持続可能なものにできるかどうかだと思います。

先週の土曜日に国立環境研究所の公開シンポジウムに参加して来ました。会場のメルパルクホールの大ホールがほぼ満席になるぐらいに大勢の一般の方々に対して、各研究者から地球温暖化の現状や対策に関する発表がありました。単なる研究発表ではなく、この研究の成果が自分たちの未来に大きくかかわっているという緊張感が会場に溢れていた様に感じました。国環研からは、私自身も作成に協力した再生可能エネルギーに関する提言レポートが公開されています。

[国立環境研究所:我が国における再生可能/分散型エネルギー導入戦略への提言]
http://www-cger.nies.go.jp/publication/I082/i082.html

少し間があいてしまいましたが、サステイナブルなニュースを3本お届けします。いずれも今年の3月に発表されたニュースですが、この4月から始まった京都議定書の第一約束期間に関して対策を促進する法律の施行が国会で決まったものの、その目標達成についてはまだまだ不確実な状況です。海外では、再生可能(自然)エネルギーの市場が急速に拡大し、世界的に投資が進んでいますが、国内での状況は膠着状態が続いています。

*************** サステイナブルなニュース 第47号 *****************

京都議定書の約束期間スタートに向けて法律の改正相次ぐ

今年から始まった5年間の京都議定書の第一約束期間では、1990年比で6%の温室効果ガス排出量削減を目標としている。4月からその評価期間がスタートするのに際し、目標達成計画の見直しや温暖化防止に関連する法律の改正が現在行われている。省エネに関する法律(エネルギーの使用の合理化に関する法律)では、エネルギー管理の義務の対象を工場から事業者に変更し、住宅・建築物分野の対策を強化する。一方、地球温暖化対策推進法では、目標達成計画の見直しに盛り込まれた既存対策や追加削減の効果を確実にするため、数多くの改正を行う。例えば、温室効果ガスの排出量を報告し、公表される制度では、事業所単位から事業者あるいはフランチャイズ単位となる。また、国が各事業者に対する排出抑制等指針を策定し、排出原単位の水準や取組内容を用途別に示すことや地方公共団体の実行計画の充実なども盛り込まれている。

資源エネルギー庁発表資料:
http://www.meti.go.jp/press/20080304002/20080304002.html
環境省発表資料:
http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=9435

優れた環境報告書や環境CMに対し環境コミュニケーション大賞

優れた環境報告書や環境活動レポートおよびテレビ環境CMを選考した環境コミュニケーション大賞の受賞者が決定した。全410点の応募作の中から部門毎に審査が行われ、環境報告書部門では2点の大賞、優秀賞6点、奨励賞2点が決まった。また、環境配慮促進法で定められた大学などの特定事業者についても個別に優秀賞が選ばれた。今年の環境報告書大賞と持続可能性報告大賞には、それぞれ松下電器産業(株)とトヨタ自動車(株)が選ばれ、いずれも通算受賞回数は7回となった。過去の受賞が3回以上に渡る優れた取り組みに対して贈られる環境報告マイスター賞については、この2社を含め、(株)西友(通算8回)を筆頭に、(株)リコー(7回)、日産自動車(株)(6回)、積水化学工業(株)(4回)の6社が受賞した。

環境省発表資料:
http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=9413

再生可能エネルギー国際会議が3年ぶりにワシントンで開催

再生可能エネルギーに関する国際会議WIREC2008が、米国ワシントンで開催された。会議には、各国の関係首脳やNGO、経済界のリーダーなどが参加し、世界的に急成長している再生可能エネルギーの利点やコストなどについて3日間にわたり議論された。特に農業分野、技術開発、市場と金融の3つの分野については集中的な討議が行われた。会議の成果として各国の政府機関や企業からは、再生可能エネルギーに関する多くの”公約”が発表されており、米国政府も世界最大のエネルギー消費国として2013年までに電力の7.5%を再生可能な資源でまかなうことを公約している。再生可能エネルギー国際会議は、2004年に初めてドイツのボンで開催され、2005年に第2回が中国の北京で開催された後、再生可能エネルギーの急速な導入が世界的に進み、第3回目の開催が3年ぶりに実現した。

WIREC2008ホームページ: http://www.wirec2008.gov/
WIREC2008での公約(REN21ホームページ): http://www.ren21.net/wiap/wirec.asp
温暖化NEWS: http://daily-ondanka.com/news/2008/20080308_1.html

12:23 午後 環境 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年6月16日 (月)

サステイナブルなニュース 第46号

6/3に開催された「自然エネルギー政策会議」の発表資料などが掲載されたページが公開されています。世界の自然エネルギー市場の動向をまとめたREN21の"Global Status Report"や、日本でも注目されているEUでの「固定価格買取制度」"FIT"の詳細情報と合わせて、ISEPの「2050年自然エネルギービジョン」関連情報など、自然エネルギー政策に関する情報が満載です。

[自然エネルギー政策会議]
http://www.isep.or.jp/event/080603sympoGEN_ISEP.html

洞爺湖サミットを前に、盛り上がりを見せているのが、排出量取引制度ですが、環境省がポータルサイトを開設しています。

[環境省:排出量取引インサイト]
http://www.ets-japan.jp/

環境省の排出量取引には、幾つかの流れがあり、それらを全て把握するのは、結構、大変なのですが、大きく分けると3つの流れがあります。

(1) 京都クレジット
海外のCDMプロジェクトで発生したCERを国内で取引(基本的には国際取引)

(2) 国内排出量取引制度
EUなどで行われているキャップ&トレード方式の排出量取引を国内で行う。自主的なモデル事業(JVETS)は2005年度から行われているが、本格的な導入検討は、まさに今行われている。産業界の反対が根強いが、何らかの動きが今年はありそう。

(3) カーボン・オフセット
個人や企業のCO2排出をオフセットする仕組み。すでに海外では一般的なサービスだが、国内でも一部導入が始まっている(COJなど)。現在、検討しているのはそれの第三者認証の方法や普及啓発活動(J-COF)。それと、VER(Verified Emission Reduction)と呼ばれる民間ベースのCO2排出削減クレジットの扱いを検討中(グリーン電力証書、グリーン熱証書、森林など)。このVERは経産省の国内CDMとも関連する。

カーボン・オフセットについては、以下のサイトにより詳しい情報があります。
http://www.env.go.jp/earth/ondanka/mechanism/carbon_offset.html

また、カーボン・オフセットの普及啓発を行うJ-COF(カーボン・オフセットフォーラム)のページは、こちら。メルマガの配信もあります 

それでは、前回から少し間が空いてしまいましたが、サステイナブルなニュースの第46号をお届けします。

************** サステイナブルなニュース 第46号 *******************

INAX、2050年にCO2総排出量80%削減を目指す新しい「環境宣言」公表

INAXグループは、この4月からスタートした新「環境宣言」において、地球環境問題への取り組みを強化し、低炭素社会の実現に向けた独自のシステムづくり、モノづくりのスリム化、循環型社会に貢献するエコサービスの展開を行うと共に、生物多様性の維持を新たな課題としたと発表した。その中で、2010年のCO2総排出量を1990年比19%削減し、さらに2050年には80%削減を目指す。CO2を出さない独自のシステムづくりでは、家庭のエネルギーのうち冷暖房・給湯エネルギーの削減や水資源の節約について研究し新事業として育てる。モノづくりにおいても生産場面でのイノベーションを進め、自然エネルギーの利用を促進し、化石燃料を使わない技術の導入により独自の生産システムを構築する。モノづくりの究極のスリム化により省エネ製造技術のレベルアップを進め、省エネの効率化を進めると共に、ライフサイクル全体で環境負荷の低いエコ商品をつくる。

INAXニュースリリース:
http://www.inax.co.jp/company/news/2008/060_eco_0304_203.html

地球温暖化と生物多様性の枠組みを議論するG20対話、千葉で開催

7月に洞爺湖で開催されるG8サミットに先立ち、最初の閣僚級会議として「G20対話」が3月14日から千葉市の幕張メッセで開催された。この会議には世界の温室効果ガス主要排出国20カ国の環境・エネルギー担当大臣に加え、関係する国際機関、産業界やNGOの代表などが参加し、地球温暖化問題などについて議論を行う。参加国には世界最大のCO2排出国となりつつある中国なども含まれ、CO2排出量は参加国合計で全世界の約78%に達する。この国際会議は「気候変動、クリーンエネルギー及び持続可能な開発に関する閣僚級対話」として2005年にイギリスのグレーンイーグルズで第1回が開催され、今回が第4回目の会合。地球温暖化に対応するための技術、資金や将来枠組みについて議論を行い、最終総括として洞爺湖サミットで報告される。国内外のNGOも多数参加し、G8サミットNGOフォーラムを中心に国際ワークショップなどの独自のイベントも開催された。

洞爺湖洞爺湖サミット(G20対話):
http://www.env.go.jp/earth/g8/g20/index.html
G8サミットNGOフォーラム:
http://www.g8ngoforum.org/

学校エコ改修と環境教育事業の成果を発表する全国会議を開催

地域社会の拠点のひとつである学校での地球温暖化対策と地域と一体となった環境教育を進めるモデル事業の成果を報告する全国会議が開催された。環境省では、二酸化炭素の排出を抑制しながら児童生徒の快適な学習環境を整備する学校施設のエコ改修と、学校・地域での環境教育を一体として行う「学校エコ改修と環境教育事業」を平成17年度より実施してきた。この学校エコ改修では、冷暖房負荷低減のための断熱改修や、太陽光発電等の自然エネルギーの導入、屋上緑化等を効果的に組み合わせたハード整備を行うと共に、その改修を素材として、地域への環境建築等の技術普及や学校を核とする地域ぐるみの環境教育を展開していることに特徴がある。現在、全国各地の16校がモデル校として選ばれ、それぞれが地域の特色を生かしたエコ改修や環境教育に取り組んでいる。

環境省プレスリリース:
http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=9409
「学校エコ改修」ホームページ(エコフロー): http://www.ecoflow.jp/

10:31 午後 環境 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年6月 8日 (日)

3つの2050年エネルギービジョン

今週末は、青森でエネルギー大臣会合が開催されていますが、私も以下のシンポジウムに出席するために、青森に行ってきました(市内に警官は確かに多かった...)。このシンポジウムは、グリーンピースジャパン、市民風車事業を行っている地元のNPOグリーンエネルギー青森自然エネルギー市民の会環境エネルギー政策研究所の共催となっています。

[シンポジウム「地球温暖化はこうすれば避けられる」(2008年6月3日(火)]
http://www.greenpeace.or.jp/event/e20080606/view

20080606

実は、今週は実に3つの2050年までの長期エネルギービジョンが発表され、G8サミットのエネルギー大臣会合に対してメッセージをそれぞれ発信しています。

一つ目は、ISEP(環境エネルギー政策研究所)が2月に発表した「2050年自然エネルギービジョン」を、6/3(火)に開催された「自然エネルギー政策会議」の中で政策提言を交えて再度発表をしました。

[2008年6月3日:自然エネルギー政策会議の開催]
http://hmatsuba.air-nifty.com/sustainable/2008/05/post_cdcf.html

この会議の中で紹介されている「2050年自然エネルギービジョン」は、以下のISEPのホームページに掲載されています(「自然エネルギー政策会議」のページが開設されました)。

[自然エネルギー政策会議(2008年6月3日)]
http://www.isep.or.jp/event/080603sympoGEN_ISEP.html

「2050年自然エネルギービジョン」

「2050年自然エネルギービジョン」の実現への政策提言

午前中の基調講演では、世界の再生可能エネルギーの現状を克明にまとめた"REN21 Rnewables Global Status Report"の紹介が作成者本人からありました(2007年版の日本語訳も近々ISEPからリリース予定です)。

[REN21 Renewables Global Status Report 2007(英語)]
http://www.ren21.net/globalstatusreport/

また、もう一つの基調講演は、世界の固定価格買取制度(FIT)の状況をまとめた本を執筆した本人が行いました。FITの現状を詳しく知ることができましたが、日本語の概要版が近々ISEPのホームページで公開される予定です。

2つ目のエネルギー長期ビジョンは、グリーンピースの"Energy [r]evolution"です。今年の2月に世界の2007年版の日本語訳が発表されましたが、それに引き続き、6/6(金)に日本バージョンの概要が発表されました。この作成には、ISEPも協力しています。大変意欲的な日本の長期エネルギーシナリオで、原子力無しで、2050年までにCO2排出削減70%以上を達成できるシナリオになっています。

[グリーンピースジャパン: Energy [r]evolution 日本版の発行]
http://www.greenpeace.or.jp/press/releases/pr20080606ce_html

最後の3つめのエネルギー長期ビジョンは、国際エネルギー機関(IEA)が対抗して同じ6/6に東京で発表したものです。こちらは、世界のCO2排出量を2050年までに半分にできることをIEAとしては、初めてバックキャスティングの手法で技術予測を行った"IEA ETP2008"と呼ばれるエネルギー技術展望レポートです。IEAとしては、大変意欲的な内容でそれなりの評価はできますが、原子力とCCSを重視しているところが、上のグリーンピースのシナリオとは大きく異なります。

[IEA ETP2008](英語)
http://www.iea.org/Textbase/techno/etp/index.asp

他の言語と一緒に日本語のサマリーやプレスリリースも同時に発表する力の入れようです。石油や石炭が高騰し、代替エネルギーの技術開発と普及は待ったなしの様相を呈しています。これまでは、フォーキャスティングの予測しなかったIEAが、ここまでのレポートを出す背景には、地球温暖化と化石燃料の高騰に対する強い危機感が感じられます。

[IEAプレスリリース(日本語)]
http://www.iea.org/Textbase/techno/etp/ETP_2008_Exec_Sum_Japanese.pdf

3つの長期エネルギービジョンに共通するのは、自然エネルギーの普及政策の重要性です。すでにある自然エネルギーの技術や製品を普及させ、市場を拡大し、導入コストを下げるという好循環をうまく作り出す必要があります(かつての自動車産業のように)。一部の国では、すでにその好循環が始まっていますが、日本を含む多くの国でそのような政策の転換が期待されています。

01:07 午前 エネルギー | | コメント (0) | トラックバック (2)