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2008年9月20日 (土)

サステイナブルなニュース 第58号

普段はあまりフィクションは読まないのですが、久しぶりに「マグマ」という日本のエネルギー問題を扱った経済小説(?)を読みました。日本の地熱発電は何故、普及しないのかという素朴な疑問からスタートし、エネルギー開発会社の再生という経済問題を扱いながら、日本の原子力行政の問題点を突くという非常にバラエティに富んだ内容です。登場人物による人間ドラマも、そのストーリーの展開の面白さと合わせ、魅力的です。この著者の最新作は「ベイジン(北京)」というタイトルで、原子力を真正面から扱っているそうです。こちらも是非、読んでみたいと思います。

国内の自然エネルギーの普及を計る指標として、「エネルギー永続地帯」というものがあります。昨年は、市区町村毎のエネルギー自給率を民生用電力について試算したものが発表されましたが、今年は太陽熱や地熱などの熱を含めた試算を行っており、先週、千葉大学との共同研究として発表を行いました。電力については、太陽光や風力発電の供給量が増えており、電力に関する100%永続地帯(100%の民生用電力を自給している市町村)が86となりましたが、熱については100%自給している市町村は9という結果になりました。熱については、まだ計算の中にバイオマスが含まれていませんが、統計データの整備と更なる普及が求められていると思います。

このブログでも何度か注目してきた北極海の海氷ですが、先日、今年の最小面積を記録し増加に向かっているそうです。NASAが今年の海氷の溶け方をアニメーションにしています。今年は昨年に引き続き歴代2位の面積最小記録となりましたが、確実に極地方の氷が溶け、世界の気候に影響が出始めていると言えそうです。もちろん、海面上昇に直接影響のある陸の氷床としてグリーンランドの氷と南極の氷も非常に心配です。

さて、今週のサステイナブルなニュースでは、2つの白書を取り上げます。ひとつは森林白書、そしてもう一つはエネルギー白書です。森林が国土の面積の70%を占め、森林資源が豊富なのにそれを十分に活用していない日本。一方、エネルギーについては自給率が約6%しかない日本。いずれも日本の実情を如実にあらわしています。そしてもうひとつのニュースが日本が世界の水資源をいかに浪費しているかがわかる「バーチャルウォーター」についてです。

***************** サステイナブルなニュース 第58号 ************

日本の森林の多面性と林業の方向性を提示、森林白書

今年の森林白書では、森林が持つ地球温暖化防止、国土の保全、水源のかん養、生物多様性の保全などの多様な機能を紹介し、日本の森林の持つ多面性を訴えている。日本は国土の3分の2を森林が占める世界有数の森林国であり、利用可能な国内の森林資源は充実した状態にある中、これまであまり利用されてこなかった国産材への期待が急速に高まっている。しかし、これまで輸入材に頼り、国産材の利用が低迷してきたことにより、林業を取り巻く環境の厳しさには深刻なものがあり、長期的な視野に立った効率的で安定した林業経営の確立が重要となっている。第1章「林業の新たな挑戦」では、国内の林業において、必要な森林整備を行いつつ、国産材の安定供給を実現するため、意欲ある林業事業体の育成や、森林所有者からの長期的な施業受託など、そのための仕組み作りの重要性が強調されている。

「平成19年度森林・林業白書」:
http://www.maff.go.jp/j/wpaper/w_rinya/h19/zenbun.html
「私の森.jp」: http://watashinomori.jp/

世界の水環境問題を知るために、普及啓発サイト

環境省は、水の大切さや世界の水環境問題と私たちの生活とのつながりを理解するための普及啓発サイト「バーチャルウォーター」を開設した。近年、地球温暖化による気候変動や途上国などでの急激な人口増加や経済発展と共に、世界の水環境問題は深刻な状態となってきている。その一方、日本は、食料の60%以上を輸入に頼っており、その輸入食料を生産するために必要な水は「バーチャルウォーター」と呼ばれ、年間800億立法メートルに達していると推計されている。この量は、日本の年間水道利用量の約8倍に達しており、私たちの普段の生活と海外の水環境問題との関わりを漫画などでわかりやすく解説している。例えば、1kgのトウモロコシを生産するには、1,800リットルの水が必要となり、このような穀物を消費して育つ牛1kgを生産するには、約20,000リットルの水が必要といわれている。

環境省「バーチャルウォーター」: http://www.env.go.jp/water/virtual_water/

原油高騰と地球温暖化問題の解決への対応を分析、エネルギー白書

経済産業省が発表した今年のエネルギー白書は、近年の原油価格の高騰を取り上げ、その要因の分析と今後の方向性を提示すると共に、地球温暖化問題の解決に向けた国際的な取組について紹介し、短期・中期・長期それぞれの戦略的な取り組みの必要性を訴えている。原油価格は、2000年以降、上昇傾向を続けており、2004年以降はさらに加速して史上最高値を更新し続けている。世界の石油需要は中国などを中心に90年以降、一貫して増加する一方、供給側は供給余力が低水準で推移する状況が続いており、これらが石油高騰の基礎となっている。そこに中東地域の地政学リスクや生産コストの上昇、人材不足などの加え、金融市場での投資マネーの流入や先行き不安などのプレミアが加わり、近年の石油高騰につながっていると分析している。この石油高騰を受け、産業や民生・運輸など様々な分野での省エネへの投資や代替エネルギーへの転換が今後、急速に進むと考えられるとしている。

資源エネルギー庁「エネルギー白書」:
http://www.enecho.meti.go.jp/topics/hakusho/index.htm

11:55 午後 環境 |

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