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2008年11月30日 (日)

サステイナブルなニュース 第64号

すっかり冬の気配ですが、関東地方ではまだまだ紅葉が見られる場所があるようです。近所の神社の大きな銀杏の木や、公園のもみじが、とても綺麗に紅葉していました。いよいよ明日から12月ですが、年に1回の国連気候変動枠組条約に関する国際会議(COP)が今年はポーランドのポズナンで12月1日から開催されます。ポスト2012年の枠組みを来年のCOP15(コペンハーゲン)までに決めるため、大きな進展があることが期待されています。

その中で、注目されているのが各国の中期目標(2020年)がどのような設定されるかという点です。2020年の目標はすでにEUが20%削減(1990年比)という目標をすでに発表していますが、日本はまだ発表をしていません。日本政府の方針としては、来年のしかるべきタイミングで発表できるように検討を進めているようです。そのひとつが官邸の「地球温暖化問題に関する懇談会 中期目標検討委員会」です。先週、第1回の委員会が開催され、今後の検討の進め方や現在のシナリオ・モデルの紹介などが行われたようです。ただし、この委員会で検討した内容をそのまま中期目標とするのではなく、あくまで選択肢を検討し、政府が最終的に中期目標を決定するそうです。2020年といえば、10年程度の短い期間ですので、世界をリードする大胆な目標設定と共に、緻密でより具体的な政策が要求されます。

この中期目標の達成に大きく貢献する日本国内での自然エネルギーの普及政策について、現在、様々な検討が行われいます。特に太陽光発電については、2030年までに現在の40倍の普及を目指すというビジョンが6月の福田ビジョンで示されました。現在は、その実現に向けた検討が導入コストや系統問題などについて行われています。風力や地熱など太陽光以外の自然エネルギーについても、もっと積極的に検討を進めるべきでしょう。

それでは、今回のサステイナブルなニュースをお届けします。7月中旬のニュースです。

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日本カーボンアクション・プラットフォーム設立

環境省は、日本国内における市場メカニズムを活用した地球温暖化対策の各種イニシアティブ(率先行動)を強力に推進していくため、「日本カーボンアクション・プラットフォーム(JCAP: Japan Carbon Action Platform)」を設立する。まずは国と東京都など地域の地球温暖化対策に熱心な都道府県、指定都市、中核市、特例市を中心に参加を募り、将来的には地域で活動する民間団体や企業の参加も検討している。具体的な活動内容としては、カーボン・オフセットの手法を活用することによる市民や企業の主体的な温暖化対策を促進する取組やキャップ&トレード型の排出量取引制度の仕組みに関する情報交換、さらにはこれらの取組に使用するための国内クレジット創出のための認証の仕組みなどを検討する。

環境省プレスリリース:http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=9886
第1回会合プレスリリース:http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=9979

ペットボトルの再利用やデポジット制度に関する研究会中間取りまとめ

ペットボトルを始めとした容器包装に関して、再利用(リユース)やデポジット(供託金)制度の活用による環境負荷の小さい循環的な利用の促進について検討する環境省の研究会より中間結果が公表された。これまでペットボトルなどの容器包装は、容器包装リサイクル法に基づく「リサイクル」がある程度進展してきたが、更なる循環型社会の形成のためには廃棄物の発生抑制と一層の環境負荷低減を図る必要がある。そこで今年3月より「再利用(リユース)」や「デポジット(供託金)制度」の導入について検討する研究会でこれまで5回の審議がおこなわれた。日本国内では、ペットボトルの回収率が66%まで上昇している一方、リターナルびんの使用量は減少を続けている。海外では世界20カ国以上で、ペットボトルの再利用(リユース)が行われているが、国内では様々な理由からいまだ実現をしていない。

環境省プレスリリース: http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=9968

海外での温室効果ガス削減事業の国内承認345件目、累計1.2億トン

経済産業省に申請されていた7件のCDM(クリーン開発メカニズム)事業・JI(共同実施)事業が日本政府のプロジェクトとして「京都メカニズム推進・活用会議」で承認された。関西電力がニュージランドで進める風力発電事業、三井物産が中国で進める水力発電事業、三菱UFJ証券がタイで進める産業廃棄物からのメタンガス回収事業など。これまで日本政府に承認された事業は、345件に上り、予定されている温室効果ガスの削減量は年間1.2億トンに達している。プロジェクトとして正式に承認されるためには、今回の日本政府(投資国)の承認の他、事業を実施するホスト国の承認を受けた後に、国連のCDM理事会の承認を受ける必要がある。その後、プロジェクトの実施に対するモニタリングが行われ、CER(認証排出削減量)の検証と認証が行われる。発行される排出削減クレジットCERは、国際的な排出量取引により、京都議定書第一約束期間の国内での排出枠として認められることになる。

経済産業省プレスリリース:http://www.meti.go.jp/press/20080709002/20080709002.html
「京都メカニズム情報プラットフォーム」: http://www.kyomecha.org/

11:58 午後 環境 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年11月16日 (日)

サステイナブルなニュース 第63号

北の国ではそろそろ雪の便りも聞かれるようになって来ました。今のところ灯油などの燃料の値段は昨年ほどは高くないようですが、冬に向けどのようになるでしょうか。原油価格は1バレル60ドルを割り込むレベルまで下降し、昨年の同時期には100ドル近くまであったことを考えるとだいぶ状況が変わっています。しかし、これは金融危機に伴う一時的な消費低迷に原因があると言われており、中長期的には原油価格は上昇すると言われています。

将来的な原油価格については、先ごろ発表された国際エネルギー機関(IEA)の世界エネルギー見通し2008(World Energy Outlook 2008)にも予測があり、今後も乱高下する中、2015年までの平均的レベルとしては1バレル100ドルとなっています(日本語のサマリーはこちら)。中国など新興国の石油需要がこれからも伸び続ける一方、原油生産国での既存の油田からの生産量は今後、減少するとされ、そのギャップは広がる一方です。それを埋め合わせる新たな油田は主にOPEC諸国などにありますが、それらのの開発は進んでいません。このまま開発が進まない場合には、「ピークオイル」論における石油生産のピークがこのまま過去のものになる可能性も出てきます。

米国ではオバマ大統領の誕生により、気候変動や再生可能エネルギー政策が大きく変わる可能性が出てきました。その中で、省エネルギーや再生可能エネルギーへの大規模な投資を金融危機克服のための新たな公共事業「グリーン・ニューディール」とする機運が高まっています。再生可能エネルギー政策で先行する欧州に続き、米国や中国も風力発電などへの投資額を大幅に増やしており、日本が今後、これらの動きにどのように絡んでいくのかが注目されます。

今週のニュースは、7月中旬のものですが、日本国内でも洞爺湖サミットをきっかけに低炭素社会に向けた様々な動きが始まろうとしています。

******** サステイナブルなニュース 第63号 *******************

環境・循環型社会白書、英語版や北斎風解説書をサミットで配布

6月に閣議決定された平成20年版環境・循環型社会白書では、低炭素社会と循環型社会について、それぞれの構築に向け転換期を迎えた世界と日本の取組を総説のテーマとしている。低炭素社会の構築については、気候変動枠組条約のCOP13で採択されたバリ行動計画の下での世界の潮流や、日本の取組や国際貢献について、国民の理解・関心を呼び掛けた内容となっている。循環型社会については、「地域循環圏」や低炭素・自然共生社会づくりの連携、江戸期の社会からの示唆などが紹介されている。洞爺湖サミットに向けて、漫画を活用して内容を分かりやすく要約した「北斎風循環型社会之解説」が作成され、主要7ヶ国語で配布された。さらに、サミットに参加する各国政府代表団や海外メディア関係者等に向けて、総説を英訳した英語版4000部が作成され、配布された。

環境省プレスリリース「平成20年版環境・循環型社会白書」:
http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=9792
環境省プレスリリース「北斎風循環型社会之解説」:
http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=9941
環境省プレスリリース「英語版平成20年版環境・循環型社会白書」:
http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=9949

家電製品初のグリーン・エネルギー・マーク貼付へ

シャープでは、家電製品としては初めて、液晶テレビAQUOS Rシリーズに「グリーン・エネルギー・統一マーク」を、今年の秋以降順次貼付することを発表した。グリーン・エネルギー・統一マークは、グリーン電力証書を用いて、製品の製造に必要な電力の10%以上をグリーン電力で賄ったことを製品に添付して表現するためのもので、国民の認知度やグリーン電力付の商品の信頼性向上と共に、グリーン電力証書のコストを損金参入することを目的としている。グリーン電力証書は、風力、太陽光、バイオマスなどの自然エネルギーから得られた電気を、電気そのものと環境付加価値とに切り離し、その環境付加価値を証書の形で、電力使用者が保有することにより、グリーン電力とみなすという仕組み。日本国内の自然エネルギーの普及に向けて、普及啓発活動も盛んになっており、現在、急速に企業や個人での関心が高まっている。

シャープ・プレスリリース:
http://www.sharp.co.jp/corporate/news/080630-a.html
経済産業省プレスリリース「グリーン・エネルギー・統一マークの決定について」:
http://www.meti.go.jp/press/20080529002/20080529002.html
「みんなのグリーン電力」:http://www.greenpower.jp/

「低炭素社会」に関する世論調査結果、90%が実現すべき

内閣府は、低炭素社会に関する国民の意識を調査する世論調査を実施し、その結果を発表した。調査期間は5月下旬で、全国の20歳以上の3000人が対象(有効回答数は1837人)。「低炭素社会」の認知度では、32.7%の人が知っており、41.4%が「低炭素社会」においても技術革新が進み、豊かな暮らしを続けることができると回答した。特に、「低炭素社会」を実現すべきかという質問に対しては、90.1%が「そう思う」「どちらかといえばそう思う」と回答している。実現のために重要な取組については、「省エネ家電・住宅、環境に優しい車などの普及」が68.4%と最も多く、「レジ袋削減、リサイクルなどの資源の有効利用」(65.9%),「太陽光・風力などの自然エネルギーの利用」(61.5%)などが続く。家計への負担については、1家庭あたり月500円以上1000円未満が24.4%で最も多かった。

内閣府「平成20年度特別世論調査」:
http://www8.cao.go.jp/survey/tokubetu/tindex-h20.html

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2008年11月 3日 (月)

サステイナブルナニュース 第62号

山ではすっかり紅葉のシーズンを迎えていますが、先週、長野県の北部に行ったときにはすでに紅葉のピークは過ぎたということでした。関東以南はこれからが見頃でしょうか。記事の投稿の間隔が少し開いてしまうようになってきましたので、今後はなんとか毎週投稿するようにして行きたいと思います。

ここ数ヶ月の世界的な金融危機はいまだ先行きが見えない状況ですが、短期的な対応ではなく、そろそろ長期的な視点で考えていく段階に来ているようです。今回の金融危機からの脱出を戦前の大恐慌後の米国のニューディール政策になぞらえて、温暖化対策、特にエネルギー効率化や再生可能なエネルギーなどに大規模な投資を行う「新ニューディール政策」の提案が各所から行われています。例えば、UNEP(環境基本計画)の「グリーン経済イニシアティブ」や、グリーンピースが発表した"Energy [R]evolution 2008"などがあります。いずれも温暖化対策に対する大規模な投資が、この金融危機の根本的な打開策であるとしており、注目に値します。

日本国内では、太陽光発電への投資を拡大する政策が徐々に固まりつつありますが、まだまだ小さな動きにとどまっています。私自身が携わっている自然エネルギー政策プラットフォーム(JREPP)でも「2050年自然エネルギービジョン」を発表し、自然エネルギーの普及させるための政策提言を行っていますが、欧州ですでに成功している固定価格買取制度に類する仕組みの導入など、国内でも新たな制度の導入の機運が高まっているのを感じます。日本国内の自然エネルギー普及の実績を地域毎に評価した「エネルギー永続地帯」という指標を千葉大学と共同研究していますが、先日はそれに関連して、NHKの取材を受け、朝のニュースで放映されました(10月28日「地熱や小水力発電 利用進まず」)。日本国内においては、太陽光発電や風力だけではなく、小水力や地熱など地域毎に国土の特性に応じた自然エネルギーを様々な側面から普及させることが重要であるとコメントしました。

それでは、今回のサステイナブルナニュースをお送りします。7月前半のニュースです。

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環境省、エコファースト制度への参加企業が11社に

環境省が今年4月から開始した「エコファースト制度」への参加企業が11社となった。新たに加わった日産自動車では、新車からのCO2排出量を2050年までに2000年比で70%削減するという長期目標を掲げ、2010年度に電気自動車を投入し、2012年には量産を目指す。一方、三菱自動車でも新世代電気自動車を2009年中に市場投入する。銀行としては滋賀銀行とびわこ銀行が参加し、カーボンオフセット定期預金などの環境配慮型金融商品を提供すると共に、地域の環境ビジネスの支援を積極的に行う。NECパーソナルプロダクツでは、環境に配慮したPCの設計・製造およびリサイクルの推進に取り組む。エコファースト制度は、業界のトップランナー企業が環境保全に関する取組を環境省と「約束」する制度で、これまでにビックカメラ、ユニー、キリンビール、ライオン、INAX、積水ハウスの各社が参加している。

環境省プレスリリース:
http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=9928
環境省「エコファースト制度について」:
http://www.env.go.jp/guide/info/eco-first/

シャープが環境配慮工場の新認定制度をスタート

シャープは、2003年度から実施している工場の環境配慮性を高める独自の環境配慮性能認定制度「スーパーグリーンファクトリー(SGF)」に、新たにCO2および廃棄物の総排出量削減を評価基準に加えた「スーパーグリーンファクトリーII(SGF II)」を2008年度より国内の全10生産工場を対象に開始する。これまでの取組では、温室効果ガスや化学物質の原単位排出削減、廃棄物埋立処分率など5つの認定基準による評価に対して国内全10工場においてSGFの目標を達成した。その結果、グループ全体のCO2排出原単位(生産高ベース)を2003年から34%削減し、国内全事業所の「ゼロエミッション」を実現している。今年度からのSGF IIの取組により、2008年度中に既存工場におけるCO2排出ピークアウトを実現し、企業ビジョン「2010年 地球温暖化負荷ゼロ企業」を目指す。

シャープ・ニュースリリース:
http://www.sharp.co.jp/corporate/news/080701-a.html

不動産投資に責任投資原則を、国連の作業部会が提言

国連環境計画の金融イニシアティブ(UNEP FI)の不動産作業部会(PWG)は、地球温暖化に大きな影響がある不動産事業への投資に対して国連が提唱する責任投資原則(PRI)を重視すべきだという提言をまとめた報告書を発表した。この作業部会のメンバーは主要国の18の不動産ファンド運用者により構成され、運用する不動産資産は3000億ドルを超える。運用する不動産から直接あるいは間接的に排出されるCO2の量は世界の排出量の半分にも相当するとしている。その中で、高い利回りが得られている不動産は環境に配慮することにより低コストの運用が可能となった建物などであり、利用者であるテナントも「持続可能な空間」を望んでいるとしている。提言をまとめた報告書”Building Responsible Property Portfolios”では、PRIの6つの原則を重視すべきであるとし、原則毎に不動産投資の先進事例を紹介している。

UNEP(国連環境計画)プレスリリース(英語):
http://www.unep.org/Documents.Multilingual/Default.asp?DocumentID=538&ArticleID=5840&l=en
報告書”Building Responsible Property Portfolios”(英語):
http://www.unepfi.org/fileadmin/documents/building_responsible_property_portfolios.pdf
国連の責任投資原則(PRI): http://www.unpri.org/

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