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2008年12月30日 (火)

2008年の研究活動を振り返って

本日の新聞記事によると、日本政府はIRENA(国際再生可能エネルギー機関)への参加を見送ることを決定したそうです。とても残念なことです。日本国内のことで精一杯で、気候変動や再生可能エネルギーの分野で日本が国際的なリーダーシップを取ることはやはり困難なのでしょうか。

さて、私自身の研究テーマとして今年は2つのテーマに取り組みました。このブログでもご紹介していますが、1年間のまとめとして先日発行された「環境とエネルギーのニュースマガジン」SEEN第45号に寄稿した記事を転載したいと思います。来年も引き続きにこれらのテーマに取り組んで行きます。

         2050年自然エネルギービジョンとエネルギー永続地帯

今年、日本はG8洞爺湖サミットの議長国として、主要排出国に対し「2050年までに全世界の温室効果ガス排出半減」への合意を呼びかけ、それに先立つ福田ビジョンにおいては日本の排出削減目標を2050年に60%~80%と宣言した。ISEPでは、気候変動対策に関する「イノベーション」の核となる自然エネルギーに注目し、昨年末より国内の自然エネルギー関連団体と協力して「2050年自然エネルギービジョン」を策定し、その実現に必要な政策の提言と共に2月の「再生可能エネルギー展望会議」に発表を行った。本ビジョンでは、2050年に低炭素社会を目指す上で、自然エネルギーに注目して、日本で 2050年までに最大限導入しうる可能性を検討している。その結果、2050年の日本の姿(ビジョン)は以下のようになった。

 ■ 電力需要の65%以上を自然エネルギーにより供給している。
 ■ 熱需要の約30%を自然エネルギーで賄い、家庭部門や業務部門はほぼ100%となる。
 ■ エネルギー起源のCO2排出量を75%以上削減(2000年比)
 ■ 一次エネルギー供給のほぼ60%を自然エネルギーで賄い、エネルギー自給率50%以上

本ビジョンの検討にあたっては、原則として、各自然エネルギー関係団体から導入可能性やその考え方、必要な政策などを提示していただいた。その際に自然エネルギー以外の供給想定や全体の需要想定は、基本的に国立環境研究所の「2050年低炭素社会シナリオ」をベースにして、検討を行った。

○[再生可能エネルギー展望会議(2008年2月21日)]
http://www.isep.or.jp/event/080221sympo2050.html
○[2050年自然エネルギービジョン]
http://www.isep.or.jp/event/080603sympo/2050vision080603.pdf
○[2050年自然エネルギービジョンの実現に向けた政策提言]
http://www.isep.or.jp/event/080603sympo/2050policies080603.pdf

6月に開催された「自然エネルギー政策会議」において「自然エネルギー促進法」ネットワーク(GEN)の解散が宣言され、7月には持続可能な自然エネルギー政策の実現に向けて、自然エネルギー関連9団体により「自然エネルギー政策プラットフォーム」(JREPP)が新たに発足した(事務局ISESP)。現在の次の9団体が参加している。全国小水力利用推進協議会、日本風力発電協会、風力発電事業者懇話会、ソーラーシステム振興協会、日本地熱開発企業協議会、日本地熱学会、日本建築学会地球温暖化対策推進小委員会、日本木質ペレット協会、ISEP。上記ビジョンは「中間報告」としての位置付けであり、来年のCOP15に向けて、このJREPPと市民エネルギー調査会により需要サイドの見直しや2020年の中期目標などについても検討が進められる予定である。なお、6月に発表されたグリーンピースの「エナジー・[R]Eボリューション日本シナリオ」にたいする協力もISEPとして行っている。

○[自然エネルギー政策会議(2008年6月3日)]
http://www.isep.or.jp/event/080603sympo.html
○[自然エネルギー政策プラットフォーム(JREPP)発足プレスリリース]
http://www.isep.or.jp/press/jrepp_press080701.pdf
○[グリーンピース:「エナジー・[R]Eボリューション日本シナリオ」プレスリリース]
http://www.greenpeace.or.jp/press/releases/pr20081201ce_html

一方、現在の地域毎の自然エネルギーの供給状況と民生部門のエネルギー需要とを比較し、市町村毎のエネルギー自給率を指標化する「エネルギー永続地帯」の調査研究が、千葉大学倉阪秀史教授との共同研究として進められている。9月16日には、昨年に引き続き2回目のプレス発表を実施した。今年発表した「2007年版」では、前年の「2006年版」には含まれていなかった太陽熱や地熱などの「熱」が加えられている。その結果、日本の62の市町村で自然エネルギーによる自給率が100%以上となり、民生用エネルギー需要の全てを賄っているとみなすことができる。都道府県では、7県(大分、秋田、富山、岩手、長野、鹿児島)が民生用エネルギー需要の10%以上を自然エネルギーで賄っていることがわかった。エネルギー源別では、小水力発電(1万kW未満)、太陽熱利用、風力発電、地熱発電、温泉熱利用、太陽光発電の順で供給量が大きい。今回は、残念ながら最近注目されているバイオマスの熱利用を含めることができなかったが、次回の2008年版には含めたいと考えているので、引き続き注目して頂ければ幸いである。

○[エネルギー永続地帯ホームページ]
http://sustainable-zone.org/
○「エネルギー永続地帯2007年版プレスリリース」
http://www.isep.or.jp/press/20080916SustainableZone.pdf

04:10 午後 環境 |

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