2011年4月20日 (水)

来るべきエネルギーの未来とは~原発の危機を越えて

東日本大震災をきっかけとした福島第一原発の大事故の発生から1ヶ月以上が経過しました。原発事故はいまだ収束に向けた模索が続いていますが、日本国内だけではなく、世界のエネルギー政策が、この原発事故をきっかけとして大きく変わりつつあります。環境エネルギー政策研究所(ISEP)から発表した「3.11後のエネルギー戦略ペーパー」No.1およびNo.2でも、今後の日本のエネルギー戦略について様々な提言をしています。

先日、ワールドウォッチ研究所から公表された「世界原子力産業白書2010-2011」では、この福島第一原発の事故後の原子力のあり方について客観的に評価し、再生可能エネルギーの今後の重要性を提示しています。2010年には、世界の再生可能エネルギーによる発電の設備容量が381GW(風力193GW,小水力80GW,バイオマス65GW,太陽光43GW)に達して急成長中しています。その一方、原子力発電の設備容量は375GWでほとんど横ばいで、すでに設備の老朽化に伴う廃炉が始まっています。 日本のエネルギー政策も、これまでの原子力重視から再生可能エネルギーへの本格的な転換に大きく舵を切ることが期待されています。その第一歩として3月11日に閣議決定された固定価格買取制度(FIT)の法制化が注目されています。

福島第一原発の深刻な事故は長期化の様相を見せており、核燃料は原子炉内で溶解して温度が下がらず、原子炉が一部損壊して大気中や海水など周辺環境への放射性物質の放出も続いています。原発事故の国際的な評価基準であるINES(国際原子力事象評価尺度)で最も深刻な事故を示すレベル7と暫定評価されました。これは事故直後のベントや水素爆発により放出された放射性物質の量が数十万テラベクレルに達していたことを原子力安全・保安院が事故後1ヶ月以上経過した4月12日に発表しました。東京電力からは事故の収束に向けた「当面の道筋が4月17日に提示されましたが、その中身の実効性については不確実な点が多く残されています。

最近のツイート(つぶやき)を以下に貼り付けておきます(4/16~4/19)。

  • COも怖いです RT @nhk_kabun: 【自宅で発電機 CO中毒相次ぐ 4/19】停電が続く自宅で生活している人たちが、発電機を使っているうちに一酸化炭素中毒になり、病院に運ばれるケースが宮城県内で相次いでいることが分かり... http://nhk.jp/N3vH6TAE posted at 23:05:10
  • そういえば先日とどいた東電からの「電気ご使用量のお知らせ」には、2か月間分の検針結果と精算のお知らせ、そして今月スタートの太陽光促進付加金単価の3銭が記載されていた。経産省からのお知らせと東電からの「お詫びとご案内」も今日届いた。家庭用の電気でも様々な影響が見えてくる時代ですね。 posted at 23:00:38
  • RT @sunaona180: エネルギー集積地帯・・形状が凄まじ RT @yoshitaka_w RT @kamiyapc #genpatsu #jishin RT @mao3mao3 RT @jazzylord: 地震列島。見た目のインパクトが凄い http://bit.ly/cIRTDu posted at 09:19:59
  • ドイツで1日の電力の約30%を風力と太陽光でまかなった日(2011/2/7)の電力供給パターン(昼は太陽光、夜は風力)。 http://goo.gl/edvir すでに風力は26GW、太陽光は16GWの設備容量 ドイツの電力取引市場EEX発表 http://ht.ly/4nBWd posted at 01:41:00
  • 2010年に世界の再生可能エネルギー発電の設備容量は381GW(風力193GW,小水力80GW,バイオマス65GW,太陽光43GW)に達して急成長中。原子力は375GWで停滞。 ワールドワッチ研究所「世界原子力産業白書2010-2011」 http://goo.gl/KaxX6 posted at 00:04:44
  • 福島第一原発:原子力安全・保安院が事故に関する比較的分かりやすい資料を作成しています(IAEA向けの英語版の仮訳)。IAEAにおける福島第一原子力発電所の事故と国際的な初期対応に関するサイドイベント(2011/4/4) http://goo.gl/fvE21 posted at 23:54:40
  • RT @gpjTweet: 東京電力社長は、本日の国会集中審議で福島第一原発の事故について陳謝しました。菅首相は、原発政策を根本から検証する必要があると述べました(4月18日13時55分。asahi.com): http://bit.ly/eARtyD posted at 19:43:47
  • 日本国内の地熱発電はとても大きな可能性があることが分かります。 課題は解決できるはずです。 RT @alterna_japan 地熱に期待!原発より強かった 東北地方の地熱発電所 http://www.alterna.co.jp/5469 posted at 19:33:10
  • RT @kikonetwork: ◆気候ネットワーク◆プレスリリース「温室効果ガス25%削減目標」堅持を 原子力に頼らない温暖化対策は可能 ~本日、ペーパー「“3つの25”は達成可能だ」(概要版)を発表~http://www.kikonet.org/research/energyshift.html posted at 19:24:24
  • RT @iidatetsunari: 【本日よりISEPチャネルスタート!】16:30-17:30 ISEP所長飯田哲也が、福島第一原発事故に関するこれまでのISEP活動概要、事故の現状、認識、欧州出張報告、エネルギーシフトなどについてお話します!http://bit.ly/hjkkdt posted at 16:56:03
  • RT @nhk_kabun: 【17日の東京電力本店会見・全文掲載します】史上最悪レベルの原発事故発生から1か月余り。事態収束へのロードマップを示し節目となった17日の東電会見の内容をブログに掲載します。1時間半の会見でした。 http://bit.ly/gtkJ9R posted at 16:55:22
  • RT @iidatetsunari: (仏独の電力輸出入)いや事実でもありません。むしろ独から仏に輸出超過、ドイツ全体では120億kW時の輸出超過(2007年)。http://bit.ly/fceZlo 「独は仏から原発の電気購入」は根拠なき妄想 RT @nanatoku: 次元は違うが事実ではあるね posted at 23:14:25
  • ワールドワッチ研究所の最新レポート「世界の原発の今後」"World Nuclear Industry Status Report 2010-2011: Nuclear Power in a Post-Fukushima World" http://goo.gl/KaxX6 posted at 21:17:22
  • RT @iidatetsunari: 問われる日本のエネルギー将来像(1)「人的資源を最大限に活用し、持続可能な自然エネルギーの開発と普及に国を挙げて努めてみては」(WSJ日本版コラム4月16日(土)9時)。こういう現実的かつまともな見解が金融系メディアからでたことに意義。http://bit.ly/fhZihe posted at 20:06:52
  • 浮体式洋上風力2.4MWで設備利用率35% RT @greenpost: 実用段階に入ったノルウェーの風力発電WEBRONZA http://bit.ly/dHGA7E "浮体式洋上風力..日本周辺の海の深さは浮体式風力発電に適している" http://bit.ly/geokhp posted at 14:25:15
  • RT @kikanchiiki: 小規模分散型の自然エネルギーによる自給率を自治体別に試算した報告書によれば、自給率100%を超える自治体が熊本県の五木村や大分県九重町をはじめ、全国に57市町村もある。国内供給の平均3.25%と比較すれば、これらは驚異的な先進空間だ。詳細は『季刊地域』5号(3/31発売・農文協) posted at 12:27:32
  • RT @yukaritaka: ドイツ、脱原発へ政策転換 6月に法改正、と首相  http://t.co/7Civ70e 6月上旬に閣議決定、中旬までに連邦議会(下院)と連邦参議院(上院)で関連法の改正を目指す。風力など再生可能エネルギーへの転換を促進することを強調(共同)(4月16日 11:37) posted at 12:25:57
  • 東電の緊急設置電源は、ディーゼル4台、ガスエンジン102台、ガスタービン3基 http://goo.gl/U3DQj RT @northfox_wind: まさかキャプストン?。エリオットとか、TTSとかもまだ現役なんでしょうか? RT @cyclone400: 一時のブームで、 posted at 12:23:24
  • 2010年の世界の発電設備容量は、原発の375GWに対して、再エネが381GW(大規模水力を除く)になったそうです 大規模水力を含めれば1300GW以上ですね RT @47news: 再生エネが10年に原発を逆転 米シンクタンクが報告 http://bit.ly/e7PGQi posted at 12:16:36
  • RT @egaosonehara: メルケル首相は記者会見し、「われわれはできるだけ早く原発を廃止して再生可能エネルギーに移行したい」と述べ、原発の稼働延長を柱としたみずからの政策を転換する意向を示しました。 RT 独首相 原発を早く廃止したい http://nhk.jp/N3vE6RK2 posted at 11:27:13
  • RT @nhk_kabun: 【明日に向けて・2】東電福島第一原発は2号機で汚染水との果てしない戦いが続きます。原子炉から漏れたと見られる高濃度の汚染水をトンネルから別の場所に移したはずなのに、きょうの水量はもとどおりに。事態収束のはるか前の段階、汚染水の水位を監視する毎日です。(4/15) posted at 01:24:15
  • RT @NikkeiScience: 「余震はいつ止むのか?」 4/25(月)書店発売の日経サイエンス6月号で掲載予定の「特集:マグニチュード9.0の衝撃」の中から特別に先行公開しています。ぜひご覧下さい。 http://bit.ly/hFxR1e #nikkei #jishin #kagaku posted at 00:02:00

08:20 午前 エネルギー | | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年3月18日 (金)

東北関東大震災による福島第一原発の危機(第2報)

いまや日本の命運をかけた災害となりつつある福島第一原発。
東京電力が発表している発電所敷地内の放射線強度データを引き続き整理してみました。これまでの発電所正門のデータから、昨日から「事務本館北」というモニタリングポイントに切り替わっていますが、昨日(3/17)には約3600マイクロシーベルト毎時という大きな値を維持していました。15日には、定期点検中だった4号機の使用済核燃料プールにからむ爆発や火災があり、一気に放射線強度が上昇しています。

Fukushima1f20110317

上のグラフは縦軸が対数(ログ)スケールになっていますが、通常の縦軸では以下のようなグラフになります。

Fukushima1f20110317b

上記のデータを更新しました(3/18午後7:30現在)。 18日午後2時過ぎの3号機への放水後に若干の上昇がみられます(事務本館北)。

なお、福島第一原子力発電所の全体配置図は、こちら原子力情報資料室のホームページにありました。こちらのホームページには、今回の福島原発での災害に関する詳しい情報が掲載されています。

昨日(3/17)のTwitterでのtweetを以下にまとめます。

福島第一原発:モニタリングカーによる測定が不可能なほど発電所正門での放射線量が増えたということですね。確かに昨日の時点で1万μSv/hを越えていました。「被ばく線量増え測定困難、放射線監視地点移動」RT @Dopant: http://bit.ly/hBc7vL

posted at 18:54:16

RT @Kantei_Saigai: 【節電】海江田経産大臣談話 http://bit.ly/i73PVG 「本日、厳しい寒さの影響で電力需要が急増。特に需要が高まる夕方から夜にかけて、東電管内で大規模停電の恐れがあります。国民の皆様には、不要不急の電気機器の使用停止等、これまで以上の節電へご協力お願いします」

posted at 17:23:58

肝心のデータが本当に無いですね。15時間以上欠損しています。 RT @sustainablezone: 福島第一原発での放射線値が更新されましたが、大半のデータがこれまでの測定ポイントであった正門ではなく、西門、体育館脇、事務本館北となっています。その中に、正門データが二つあった

posted at 14:50:37

福島第一原発:放射線モニタリング計測状況が更新されましたが、昨日15:50から本日午前0時までのデータが抜けています。しかもその後のデータも計測ポイントがばらばらになっており、明らかに公表データを選別しているようです 東京電力プレスリリース http://goo.gl/uvUKV

posted at 14:47:20

厳しい寒さの影響で午前中のピークが3292万kW(供給力3350万kW)で、夕方の需要ピークはかなり厳しい状況の様です。「大規模停電回避のための一層の節電のお願い」海江田経済産業大臣談話・声明(METI/経済産業省) http://goo.gl/RMESe

posted at 14:40:26

RT @junko_edahiro: [Enviro-News] エネルギー環境研究所(IEER)「福島第一原子力発電所における津波後の状況――事実・分析・推測される結末」(2011.03.17): 福島原発事故では、原子炉だけではなく、同じ場所に保管されている... http://bit.ly/iguSC6

posted at 13:15:30

福島第一原発:2号機、3号機、4号機から蒸気の発生が確認されている。衛星写真では3号機からの発生が顕著「福島第一原発 白い蒸気状のものを確認」「外部電源 午後から一部復旧目指す」「自衛隊ヘリ 3号機に水を投下」 NHKニュース http://goo.gl/xlQLO

posted at 10:40:30

福島第一原発:昨日(3/16)までの鮮明な衛星写真がデジタルグローブ社から公開されています。1号機から4号機まで全ての建屋の損傷の様子がわかります。"Japan Earthquake and Tsunami" DigitalGlobe http://goo.gl/yi3ns

posted at 09:20:27

福島第一原発:第二原発に設置されている放射線モニタリング計測状況ですが、何故か昨日(3/16)の午後3時から本日午前2時までのデータが公表されていません。第一原発のデータも、昨日の午後3:50以降、公表されていません。東京電力プレスリリース http://goo.gl/IiNG3

posted at 08:44:12

福島第一原発:発電所正門の放射線量トレンドグラフ(ISEP作成)に説明を加えてみました。 http://bit.ly/hHf92n RT @hfunatsu:どなたかからも質問あったようですが、上下グラフの関係がぱっと見、分かりにくいようです。

posted at 07:20:42

福島第一原発:3号機と4号機の使用済み核燃料保管プールの冷却を急いでいる。5号機と6号機の燃料プール温度も上昇中「福島第一原発 冷却機能の回復を目指す」「4号機 17日にも地上放水へ」 福島第一・第二原発 ニュース NHKニュース http://goo.gl/xlQLO

posted at 07:14:11

福島第一原発:発電所敷地境界(正門)での放射線モニタリングデータを整理しました(3/12~3/16 15:50)。3/15 12時前、3/16 0時頃と10時過ぎに放射線量が急増しています。 http://bit.ly/hHf92n (PDF形式:上のグラフは縦軸が対数表示)

posted at 07:07:03


02:51 午前 エネルギー | | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年6月 8日 (日)

3つの2050年エネルギービジョン

今週末は、青森でエネルギー大臣会合が開催されていますが、私も以下のシンポジウムに出席するために、青森に行ってきました(市内に警官は確かに多かった...)。このシンポジウムは、グリーンピースジャパン、市民風車事業を行っている地元のNPOグリーンエネルギー青森自然エネルギー市民の会環境エネルギー政策研究所の共催となっています。

[シンポジウム「地球温暖化はこうすれば避けられる」(2008年6月3日(火)]
http://www.greenpeace.or.jp/event/e20080606/view

20080606

実は、今週は実に3つの2050年までの長期エネルギービジョンが発表され、G8サミットのエネルギー大臣会合に対してメッセージをそれぞれ発信しています。

一つ目は、ISEP(環境エネルギー政策研究所)が2月に発表した「2050年自然エネルギービジョン」を、6/3(火)に開催された「自然エネルギー政策会議」の中で政策提言を交えて再度発表をしました。

[2008年6月3日:自然エネルギー政策会議の開催]
http://hmatsuba.air-nifty.com/sustainable/2008/05/post_cdcf.html

この会議の中で紹介されている「2050年自然エネルギービジョン」は、以下のISEPのホームページに掲載されています(「自然エネルギー政策会議」のページが開設されました)。

[自然エネルギー政策会議(2008年6月3日)]
http://www.isep.or.jp/event/080603sympoGEN_ISEP.html

「2050年自然エネルギービジョン」

「2050年自然エネルギービジョン」の実現への政策提言

午前中の基調講演では、世界の再生可能エネルギーの現状を克明にまとめた"REN21 Rnewables Global Status Report"の紹介が作成者本人からありました(2007年版の日本語訳も近々ISEPからリリース予定です)。

[REN21 Renewables Global Status Report 2007(英語)]
http://www.ren21.net/globalstatusreport/

また、もう一つの基調講演は、世界の固定価格買取制度(FIT)の状況をまとめた本を執筆した本人が行いました。FITの現状を詳しく知ることができましたが、日本語の概要版が近々ISEPのホームページで公開される予定です。

2つ目のエネルギー長期ビジョンは、グリーンピースの"Energy [r]evolution"です。今年の2月に世界の2007年版の日本語訳が発表されましたが、それに引き続き、6/6(金)に日本バージョンの概要が発表されました。この作成には、ISEPも協力しています。大変意欲的な日本の長期エネルギーシナリオで、原子力無しで、2050年までにCO2排出削減70%以上を達成できるシナリオになっています。

[グリーンピースジャパン: Energy [r]evolution 日本版の発行]
http://www.greenpeace.or.jp/press/releases/pr20080606ce_html

最後の3つめのエネルギー長期ビジョンは、国際エネルギー機関(IEA)が対抗して同じ6/6に東京で発表したものです。こちらは、世界のCO2排出量を2050年までに半分にできることをIEAとしては、初めてバックキャスティングの手法で技術予測を行った"IEA ETP2008"と呼ばれるエネルギー技術展望レポートです。IEAとしては、大変意欲的な内容でそれなりの評価はできますが、原子力とCCSを重視しているところが、上のグリーンピースのシナリオとは大きく異なります。

[IEA ETP2008](英語)
http://www.iea.org/Textbase/techno/etp/index.asp

他の言語と一緒に日本語のサマリーやプレスリリースも同時に発表する力の入れようです。石油や石炭が高騰し、代替エネルギーの技術開発と普及は待ったなしの様相を呈しています。これまでは、フォーキャスティングの予測しなかったIEAが、ここまでのレポートを出す背景には、地球温暖化と化石燃料の高騰に対する強い危機感が感じられます。

[IEAプレスリリース(日本語)]
http://www.iea.org/Textbase/techno/etp/ETP_2008_Exec_Sum_Japanese.pdf

3つの長期エネルギービジョンに共通するのは、自然エネルギーの普及政策の重要性です。すでにある自然エネルギーの技術や製品を普及させ、市場を拡大し、導入コストを下げるという好循環をうまく作り出す必要があります(かつての自動車産業のように)。一部の国では、すでにその好循環が始まっていますが、日本を含む多くの国でそのような政策の転換が期待されています。

01:07 午前 エネルギー | | コメント (0) | トラックバック (2)

2008年5月24日 (土)

自然エネルギー政策会議の開催

来る6/3(火)、自然エネルギー政策に関する以下のシンポジウムが開催されますので、ご興味のある方は是非ご参加ください(内容を後日確定して修正)。

このシンポジウムでは地球温暖化対策やエネルギー安全保障の面で国際的に大きな広がりを見せている自然エネルギーについて、日本国内の閉塞的な状況を変えるにはどのように政策を変える必要があるかを探ります。そのため6/7,8に青森で開催されるG8(+5カ国)エネルギー大臣会合に先立っての開催です。

当日は、世界の自然エネルギーの状況や政策(FIT)に関する講演や、日本の「2050年自然エネルギービジョン」に関する政策提言、ステークホルダーによる自然エネルギー政策に関する討論などが予定されています。

[ISEP:自然エネルギー政策会議(2008/6/3)]
http://www.isep.or.jp/event/080603sympo/080603GEN_ISEPevent080519.pdf

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G8エネルギー大臣会合に向けて:自然エネルギー政策会議
「2050年自然エネルギービジョンとその実現には」
【趣旨】
 固定価格制を含む自然エネルギー政策の再検証
 自然エネルギー促進のための政策提言
 自然エネルギー事業者を核とする政策ネットワーク構築

【日時】:6月3日(火)10:00ー16:45
【場所】:東京ウィメンズプラザ  大ホール
    東京都渋谷区神宮前5-53-67
http://www.tokyo-womens-plaza.metro.tokyo.jp/contents/map.html
【主催】:「自然エネルギー促進法」推進ネットワーク(2007年度末に解散)
     特定非営利活動法人 環境エネルギー政策研究所
【共催・協力】
    地球環境イニシアティブ、2008年G8サミットNGOフォーラム環境ユニット、
  日本風力発電協会、風力発電事業者懇話会、ソーラーシステム振興協会、
  日本地熱学会・日本地熱開発企業協議会、全国小水力利用推進協議会、
  日本建築学会地球温暖化対策推進小委員会、日本木質ペレット協会
  太陽光発電協会、RE20/20キャンペーン
【後援】
  環境省、経済産業省

【プログラム】
9:30開場
【第1部】10:00-12:00
基調講演1 「自然エネルギー Global Status Report」
Dr.Eric Martinot (環境エネルギー政策研究所)
       
基調講演2 「固定価格制に向かう世界の潮流」
Mr.Miguel Mendonca (World Future Council)

【第2部】13:00-14:30
 報告と政策提言「2050年自然エネルギービジョンとその政策」
  飯田哲也(環境エネルギー政策研究所)
    藤野純一(国立環境研究所)
  自然エネルギー関連団体・組織
  ・日本風力発電協会
  ・日本地熱学会
  ・全国小水力利用推進協議会
  ・ソーラーシステム振興協会
  ・日本木質ペレット協会
  ・日本建築学会地球温暖化対策推進小委員会
  地方自治体(川崎市)

【第3部】14:45-16:30
 ステークホルダーによる討議
 「新しい自然エネルギー政策の実現に向けて」
  
 国会議員(自然エネルギー促進議員連盟)、
   ・加藤修一(公明党)
    ・前田たけし(民主党)
  ・藤末健三(民主党)
    ・川田龍平
  自然エネルギー関連団体・組織
  ・風力発電事業者懇話会
  ・日本地熱学会
  ・全国小水力利用推進協議会
  ・ソーラーシステム振興協会
  ・日本木質ペレット協会
  ・日本建築学会地球温暖化対策推進小委員会
 環境NGO
    ・酒井正治(地球環境イニシアティブ)
  ・平田仁子(気候ネットワーク)
  ・足立治郎(「環境・持続社会」研究センター)

まとめ 16:45-17:00

連絡先:イベント事務局
(環境エネルギー政策研究所内)
〒164-0001
東京都中野区中野4-7-3
TEL:03-5318-3331 FAX:03-3319-0330 
http://www.isep.or.jp/

09:25 午後 エネルギー | | コメント (0) | トラックバック (1)

2007年1月29日 (月)

エネルギー基本計画への意見

先日の記事でも書きましたが、3年に1回のエネルギー基本計画のパブコメが本日〆切です。なんとか私なりの意見を書いて送付しましたので、以下に掲載したいと思います。日本はまさに多くの面で転換点を向かえています。従来の方向性の延長線上には正しい答えは無い、というのが意見の骨子です。

1. 全般

日本の現在のエネルギー需給構造は、先人の多大な努力により積み上げられて来た結果であり、特に戦後の高度成長期から20世紀末のバブルの崩壊まで、石油ショックの一時期を除き、一貫してその規模を拡大し続けて来た。その規模に対してその内容は地球規模の国際的な情勢に対して余りにも脆弱であり、エネルギー自給率4%という数値は、その危機的な状況を端的に表している。また、この危機的な状況は過去の日本のエネルギー政策が表面的な経済成長のみを優先し、将来を見据えた政策を実施してこなかった帰結と考えることができる。近い将来、以下の制約条件により、国内のエネルギー需給構造は大きくバランスを崩すことが予測され、その過程では多大な努力と犠牲を伴う。

  • 石油資源の急速な供給不足と価格高騰(生産量のピークを迎え、中国などの急速な需要拡大に追随できない)
  • エネルギー自給率の低迷によるエネルギー安全保障上の危機(海外からのエネルギー資源の確保が急速に困難となる危険性)
  • 地球温暖化に伴う気候変動対策の急務(予測を超える速度で進む状況に、早急な対策が求められる)

上記の状況より、今後10年間のエネルギー政策を勘案するためには、過去の積み上げの延長ではとても対応することはできない。その意味で、この改定案は、今後10年間のためのエネルギー基本計画としては、およそ不十分なものであり、国内外の広範な英知の結集による具体的な検討と審議を持って再考を要すると考える。

2. 「第1章 基本的な方針」について

 石油資源の生産量が、近い将来ピークを迎えるいわゆる「ピーク・オイル」について真摯にその将来を予測し、適切に対処する必要がある。事後的な対応は、国内経済に対して甚大なダメージを与え、過剰な反応により環境制約を忘れた安易な対応を招く可能性がある。例えば、税制やインセンティブなどを駆使し、具体的な数値目標を掲げた石油消費量の削減プログラムなどが考えられる。

 第2節「環境への適合」

 地球温暖化問題を筆頭とする「環境への適合」については、第一には果敢な数値目標を持つ省エネルギーを図り、CO2排出量の削減を確実に行うことが必須である。具体的には、2030年までに30%削減、2050年までに50%削減、2100年までには80%以上のCO2排出量削減を実現することが必須である。CO2排出量の削減への取組みは、産業から民生、運輸までに幅広い分野にまたがって、継続的にかつ効果的に実施する必要がある。従来、供給側から考えられて来たエネルギー政策を、需要側から積極的に考え直すことが必要である(需要の合わせた供給:デマンドサイドマネジメント)。

第二に掲げられている原子力発電については、放射性廃棄物の問題や事故時などの放射能放出の危険性から決して「クリーンなエネルギー源」と呼ぶことはできず、その利用は必要最小限に留める必要がある。その意味で、環境への適合のための手段としては適切ではないと考えられる。

 第三に掲げられている再生可能エネルギーについては、多くの可能性と選択肢があり、太陽光、風力、バイオマスそれぞれの特性を十分に考慮して個別に大胆な取組みをすべきである。この改定案にはその具体的な取組みがほとんど触れられておらず、誠に残念である。それぞれの再生可能エネルギーについて世界的にも技術開発から普及の為の施策までより広範で深化した取組みが求められており、その成果は世界中のエネルギー問題、地球温暖化対策に生かすことができる。これは、将来の日本の主力産業と成りうるものである。よって、この項目を第二に繰り上げ、取組みの優先順位をより高くすべきである。

 第3節「市場原理の活用」

 市場原理の活用では、従来の単純な「自由化」では、エネルギー問題の解決は難しく、環境税/炭素税などの税制や適切なインセンティブを伴う政策を確実に実施していく必要がある。特に、地球温暖化対策に資する環境価値に対するインセンティブを強化し、十分に機能していない現在のRPS法の反省を踏まえて、再生可能エネルギーの固定価格買取制度などの海外の先進事例などを参考にしつつ、日本の英知を結集した新しい制度へ果敢に取り組むべきである。そして、この制度は従来からのエネルギー需給構造を根本から変える原動力となることが望まれる。特に再生可能エネルギーを中心とする新しい産業が急速に立ち上がり、将来の日本のエネルギー供給を担える様になることが重要である。

3. 「第2章 長期的、総合的かつ計画的に構ずべき施策」について

 従来から、「新エネルギー」という日本独自の用語が使われてきたが、再生可能エネルギーの利用拡大は世界の趨勢であり、その利用は将来にわたって重要な意味を持つ。そこで、もはやひとまとめの新エネルギーとしての扱いではなく、個別にその技術開発や普及を促進し、身近に利用する時期に来ていると考えられる。また、第3節にあるように新エネルギーが「現時点で出力の不安定性やコスト面での課題」があることを強調するあまり、その普及が阻害されてはならないと考える。エネルギーの転換期においては、既存のインフラに対してある程度の不整合が生じる場合はあるが、それを様々な施策によりスムーズに乗り越えることが重要である。

 運輸部門については、もっとも石油依存率が高いことから、再生可能エネルギーへの切り替えがもっとも急がれる部門であるが、その対策はもっとも難しいと考えられる。すでに指摘した「ピーク・オイル」を想定した場合、現在の自動車やトラックに依存した旅客や物流は、その仕組みを根本から変えていく必要があると考えられる。旅客や輸送の安全も考慮し、将来にわたってその手段をより安全で環境負荷の低いものへ転換していく取組みが重要である。例えば、旅客の公共交通への転換やモーダルシフトそして都市構造のコンパクト化などである。

4. 「第3章 エネルギーに関する技術及びその施策」について

 技術開発については、その予算配分を十分に検討する必要がある。国内においては再生可能エネルギーへの技術開発予算は十分とは言いがたい状態であり、民間企業での技術開発やベンチャー企業による研究開発もさらに加速する必要がある。その際に重要なのが、評価の仕組みである。開発している技術などについて、適切に評価を行い、最終的に十分な効果を得られる様にする必要がある。この「評価」の仕組みでは、第三者が社会や経済に与える影響も含めて、ライフサイクル的な観点からスムーズに、かつ公平に実施できる体制が望まれる。

 開発された技術を普及する仕組みも非常に重要である。税制や新しい産業の育成や支援などを含め、広範な施策により合理的に再生可能エネルギーなどの普及を図る必要がある。

                                                   以上

11:36 午後 エネルギー | | コメント (0) | トラックバック (0)

2007年1月19日 (金)

持続可能なエネルギー政策とは?

あまり一般には知られていないのですが、日本にも「エネルギー政策基本法」と呼ばれる法律があり、2002年に施行されています。その基本理念は、「安定供給の確保」「環境への適合」「市場原理の活用」となっていますが、全14条の非常にコンパクトな法律です。日本のエネルギー政策の憲法と呼ぶべきものがこの様なシンプルになった理由はいろいろあったのでしょうが、当たり障りのないものを急いで造ったという感は否めません。「エネルギー白書」はこの法律に基づいて年一回作成されていますが、詳しい政策については「エネルギー基本計画」で定められることになっています。実際に2003年に閣議決定された最初のエネルギー基本計画は基本的にそれまでのエネルギー政策を踏襲する内容になっていました。

じつはこの「エネルギー基本計画」が3年毎に見直しの時期になり今年改訂されます。そのための意見募集(パブコメ)が昨年12月から今月末(1/29)まで行われているのですが、ほとんど話題になっていません。内容は、もちろん近年の石油価格の急騰や地球温暖化対策などを配慮したもののはずですが、国の将来を左右する基本計画として十分なものかどうかをしっかり見る必要があります。主なポイントは、以下のとおりです。

  • 自立した環境適合的なエネルギー需給構造を実現するため、原子力発電を積極的に推進し、新エネルギーの着実な導入拡大を図る。
  • 石油等の化石燃料の安定供給に向けて資源外交の積極的展開、強靭なエネルギー企業の育成等戦略的・総合的な取組みを強化
  • 省エネルギー政策のいっそうの充実・強化を図るとともに、地球温暖化問題に係る実効ある国際的な枠組み作りを主導する。
  • 技術により国内外のエネルギー・環境問題の制約をブレークスルーするため、技術力の一層の強化およびその戦略的な活用

特に環境への適合のための原子力発電への取組みの強化が強調されており、日本のエネルギー政策の国際的な特異性が現れた内容になっています。その分、自然エネルギーを含む新エネルギーへの取組みがほとんど強化されていないのが、とても気になります。唯一強化されているのが、いわゆるバイオ燃料への取組みです。しかしながら、バイオ燃料には食料や自然環境の持続可能性への懸念が付きまといます。

再生可能な自然エネルギーへの取組みを強化するにはどうしたら良いのでしょうか。日本は化石燃料のほとんど全てを輸入に頼りながらも、原子力や天然ガスそして石炭による電力の脱石油を進めて来ました(一次エネルギーの石油依存率は約50%)。しかしながら純国産エネルギーである自然エネルギーの普及は結果的にあまり進まず、日本のエネルギー自給率は、次のグラフの様に現在4%程度と低迷しています。

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この自給率を2050年までに50%まで増加させようと考えた場合、単純に次のグラフの様に省エネによりエネルギー消費量を半分にした上に、自然エネルギーの供給量を現在の6倍にする必要があります。

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これは果たして可能なのでしょうか?その為のひとつのステップとして2020年までに、自然エネルギーの割合を20%まで高めようというキャンペーンが、国内のNGOを中心に行われており、私も賛同しています。すでにEUでは、2020年までに再生可能エネルギーの割合を20%にすることが戦略として決まっており、日本でも国内の事情を考慮した上での戦略が求められているのではないでしょうか。

以前にもご紹介しましたが、再生可能エネルギー自給100%プロジェクトやモデル事業が始まっており、地方自治体でも昨年、東京都が他の自治体に先駆けて「再生可能エネルギー戦略」を発表し、2020年までの利用目標として20%の再生可能エネルギーの割合をめざしています。これらのバックキャスティング的な目標設定やビジョンにより、次のグラフの様に日本のエネルギー自給率が増えることが可能かどうか、私達は考える必要があるのではないでしょうか。

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すでに取り上げたピークオイルと地球温暖化を取り巻く世界の情勢を考えると、日本は否が応でもエネルギー自給率の確実な向上を考えるべき時代が迫っています。問題が起きてもすぐには対応できないのが、エネルギー問題の難しいところです。やはり数十年後を見据えて経済や社会の仕組みも変えるような持続可能なエネルギー政策への取組みが必要かつ不可避なのではないでしょうか。




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2006年10月 6日 (金)

スウェーデンの脱石油宣言

昨年10月にスウェーデンのペーション首相が2020年までの脱石油宣言を行い、その後、具体的な検討を行うための審議会が12月に設置されました。この「脱石油宣言」は、もちろん気候変動への対応を含む持続可能な開発(発展)に向けた戦略の一つですが、近年の原油価格高騰の背景にあると言われている「ピークオイル」とも関係しているはずです。いずれにしてもこのバックキャスティング的な手法は、より海外からの石油に依存している日本でも大いに見習うべきものだと思います。

この審議会のレポート"Making Sweden an OIL-FREE Society"が6月に発表されています(簡単な紹介がNEDOの海外レポートにあります)。

[レポート本文(英語)]
http://www.sweden.gov.se/content/1/c6/06/70/96/7f04f437.pdf

[NEDO海外レポートでの紹介]
http://www.nedo.go.jp/kankobutsu/report/985/985-11.pdf

それによると、2004年時点でのスウェーデンの石油依存率(一次エネルギーベース)は、32%となっています。内訳としては、やはり運輸部門(自動車)が2/3ともっとも大きい割合を占めていますが、このあたりの構造は日本とあまり変わらないのかもしれません。ただし、民生部門や産業部門では、石油依存からの脱却がかなり進んでおり、11%程度に過ぎません。特に進んでいるのが、発電部門で1%以下、一般家庭やビルなどに普及している地域熱供給で8%となっています。このあたりが脱石油を目指す下地が十分にあるということなのでしょう。

スウェーデンでの2020年までの目標としては、以下の4つのものがあります。

  • スウェーデン全体で、20%以上のエネルギー利用効率化を図る。
  • 家庭と商業ビルの暖房には石油を使用しない。
  • 運輸部門や農業、林業、漁業などの産業分野で40~50%、ガソリンや軽油の使用量を削減する。
  • 全産業部門において25~40%、石油使用量を削減する。

この目標達成により石油への依存率は18%程度となるはずです。もちろん完全な脱石油ではありませんが、この目標を達成することにより石油依存を大幅に減らすことができ、将来の完全な脱石油を達成することが可能となってきます。ちなみに、日本では現在の一次エネルギーの石油依存率が50%程度であり、2030年までに40%以下にするという見通しが立てられていますが、中東への依存率はむしろ増加を続けている状況です(エネルギー白書)。

このレポートに書かれている実現に向けた政策については、別途、ご紹介したいと思います。

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2006年1月 3日 (火)

長期ビジョン

明けましておめでとうございます。

昨年の5月から始めたこのブログ「サステイナブルなもの」ですが、普段の自分の活動や持続可能な社内に向けた世の中の動きをもっと着実に伝えることを今年の目標としたいと思います。

1年後の未来も見えにくい社会情勢ですが、数十年後の社会のあり方を長期的なビジョンとして描くことは決して無駄にはなりません。それらの長期ビジョンを通じて自分たちが目指すべき方向性やより具体的なビジョンや行動が見えてくるからです。

ここでは、エネルギー問題や地球温暖化対策に関する長期ビジョンの幾つかの例をご紹介します。いずれも2030年や2050年という本来は予測が難しい未来について、それなりの根拠をもって長期的なビジョンを打ち立てています。

(1) 「きりカエル」シナリオ

日本の持続可能なエネルギー政策に関する提言をまとめたものです。現在のままでは日本経済が何故破綻するのかを定量的に評価し、エネルギー政策の観点から持続可能な社会への複数のシナリオを提言しています。もっとも持続可能性の高い「きりカエル」というシナリオはいわゆる「脱物質化、経済社会構造の大転換」を提言しており、化石エネルギーの使用量を半減させても豊かな社会を持続できることを目指しています。

[市民エネルギー調査会]
http://www.isep.or.jp/shimin-enecho/index.html
[「持続可能なエネルギー社会を目指して」 報告書(2004/8/1)]
http://www.isep.or.jp/shimin-enecho/presen_pdf/0801_report050422.pdf

(2) トリプル50

東京大学と大手重電メーカがつくる「持続型社会研究協議会」(2004年6月発足)が策定した「持続型社会へ向かうエネルギービジョン(改訂版)」(2005年9月発表)の中で、「トリプル50」として2030年までに

  • エネルギー自給率:50%
  • エネルギー利用効率:50%
  • 化石燃料依存率:50%

を目指すというビジョンが書かれています。原子力利用を前提としたものですが、注目すべきプロジェクトです。

[持続型社会研究協議会]
http://rmo.iis.u-tokyo.ac.jp/jizoku.index.html
[持続型社会へ向かうエネルギービジョン(改訂版)]
http://rmo.iis.u-tokyo.ac.jp/2Press050916.pdf

(3) CO2排出量60%以上削減

国立環境研究所(環境省)や京都大学が中心となって2004年7月にスタートした2050年を目標に脱温暖化社会に向けた中長期的政策を研究するプロジェクトです。CO2排出量を2050年までに60%以上(最大80%)削減することをビジョンとしています。昨年11/17に開催された公開シンポジウムの資料がダウンロードできます。

[脱温暖化2050研究プロジェクト]
http://2050.nies.go.jp/index.html
[脱温暖化社会に向けて-2050年からのバックキャスティング(11/17シンポジウム)]
http://2050.nies.go.jp/2050sympo/20051116.htm

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2005年10月28日 (金)

グリーン電力と太陽光発電

久しぶりの記事ですが、今回は「個人住宅の太陽光発電によるグリーン電力取引開始」について書きたいと思います。

 2004年までの国内での太陽光発電導入量実績は113万kWに達し世界第一位となっていますが、実はそのうち82.8万kW(73%)は個人の住宅用が占めています。各住宅で発電された電力のうち自家消費しない余剰分は電力会社の自主的な余剰電力購入メニューにより通常の電気料金と同じ単価で買取られています。各電力会社は、この買取った余剰電力をRPS法(電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法)に基づき、新エネルギー等電気相当量と呼ばれる「環境価値」として取扱っています。

 太陽光発電所ネットワーク(PV-Net: 東京都千代田区)では、各住宅で発電された電力のうち約半分を占める自家消費分に着目し、その「環境価値」をグリーン電力証書化して販売する"世界初"の事業(PV-Green)を2005年3月より開始しました。PV-Netは、太陽光発電システムを設置する個人を中心とした非営利組織で、情報の共有や社会への発信などの活動を通して、太陽光発電システムの普及・拡大を市民の立場で図っています。2005年8月までに全国300箇所を超える発電設備がグリーン電力認証機構による設備認定を受けており、電力の産地を指定したグリーン電力証書の販売が可能となっています。証書の販売は7月より開始され、静岡県掛川市内で開催された"ap bank fes '05"や「坂本龍一Japan Tour2005」などのイベントを始め、個人向けの缶バッジ付きミニ証書を発行して
います。

 PV-Netでは、環境省の「平成17年度地域共同排出抑制対策推進モデル事業」を受託し、このPV-Greenの仕組みを活用した太陽光発電システムの新規設置促進モデル化を進めています。これまで活用されて来なかった太陽光発電が持つ全ての「環境価値」を活用することにより、2010年までには482万kWの導入量を目指している太陽光発電のさらなる普及が期待されています。

参考リンク:

[日本の太陽光発電の現況について]
http://www.dihkj.or.jp/pdf_files/Kyocera.pdf

[IEA Photovoltaic Power System Programme "Trends in photovoltaic applications"]
http://www.oja-services.nl/iea-pvps/isr/index.htm

[太陽光発電所ネットワーク(PV-Net)]
http://www.greenenergy.jp/

[グリーン電力証書"PV-Green"]
http://www15.ocn.ne.jp/~pv-tokyo/gijiroku/pv-green-top.html

[グリーン電力認証機構]
http://eneken.ieej.or.jp/greenpower/

02:28 午前 エネルギー | | コメント (0) | トラックバック (0)

2005年8月 1日 (月)

太陽光発電

再生可能エネルギーの中で、日本でもっとも普及している太陽光発電について取り上げます。太陽光発電の歴史は古く、1953年に太陽光発電が発明されて5年後の1958年には国内で研究開発を開始しています。現在までの47年間に太陽光発電装置は飛躍的な発展を遂げ、いまや日本が世界第一位の太陽光発電装置の生産国であると同時に世界一位の発電能力を誇っています。

太陽光の日本の状況について詳しい資料を探していたところ、今月7/4に在日ドイツ商工会議所が開催したセミナーで発表された資料がありました。この中に太陽光発電装置メーカである京セラが日本の現況について発表しています。

[第二回ドイツ再生可能エネルギーの現状と技術紹介セミナー」
http://www.dihkj.or.jp/dena2005web.html
[日本の太陽光発電の現況について]
http://www.dihkj.or.jp/pdf_files/Kyocera.pdf

この資料によると、2004年度末の太陽光発電装置の設置能力は100万kWを超えて113万kWと順調に増加しており、原発1基分に達しています。さらに2010年までには482万kWを目標にしています(資源エネルギー庁新エネルギー部会)。

現在の太陽光発電の普及には幾つかの要因があります。太陽光発電については、これまでもNEDOなどの政府機関が技術開発や設置時の補助事業を行ってきていますが、発電した電力の買取については各電力会社が自主的に買取価格を販売価格と同じにしています。この制度により設置の運用に伴うユーザの負担が軽くなっているので導入がここまで進んだという経緯があります。東京電力の場合のメニューは以下のとおりです。

[太陽光・風力発電からの余剰電力購入について(東京電力)]
http://www.tepco.co.jp/partner/pricing-pc/taiyoukou.pdf

太陽光発電装置のメーカなどが集まった太陽光発電協会のホームページにも太陽光発電に関する豊富な資料があります。6/15-17には定例のシンポジウムがあったようです。

[太陽光発電協会]
http://www.jpea.gr.jp/
[第22回太陽光発電システムシンポジウム結果報告]
http://www.jpea.gr.jp/6/6-6.htm

太陽光発電は、日本の再生可能エネルギーのトップランナーですが、他の再生可能エネルギーと調和しながらさらに普及が進むことが期待されます。

12:45 午前 エネルギー | | コメント (0) | トラックバック (0)

2005年7月22日 (金)

再生可能エネルギー

5月27日に発表された「エネルギー白書」が資源エネルギー庁のサイトで見れるようになりました。近々出版されると思いますが、エネルギー白書は昨年に続き2回目なんですね。

[2005年版エネルギー白書]
http://www.enecho.meti.go.jp/web/

[英語資料:Energy in Japan2005] <---  2004年版エネルギー白書がベースか?
http://www.enecho.meti.go.jp/energy2005E.pdf

このエネルギー白書に書かれている日本の再生可能エネルギーの状況について、かいつまんでご紹介します。先行するEU各国に比べるとどうしても見劣りしますが、ここ数年で何か新しい動きが生まれて、持続可能な社会に向けて一気に再生可能エネルギーの導入が加速されることを期待したいと思います。

2005年版エネルギー白書では、化石燃料の価格高騰、将来のエネルギー需給展望や京都議定書への取組みなどと合わせて、再生可能エネルギーを含む日本国内のエネルギーの需給状況とそのための施策が示されています。日本の一次エネルギー供給に占める水力・地熱および新エネルギーなどの再生可能エネルギーの割合は、2002年度実績で6%程度(IEA推計では約4%)です。このうち太陽光や風力などの新エネルギーは1.3%で、様々な施策により2010年には3%程度まで増やすことを目指しています。ここで新エネルギーには、太陽光や風力の他、バイオマスおよび廃棄物による発電や熱利用が含まれています。

太陽光発電は、価格の低下に伴い近年着実に伸びて、2003年度までの累積で86万kWと世界の約48%の発電出力を占めるまで普及していて、2003年の太陽電池の生産量においても世界の約49%を占めています。これに対して風力発電は、近年、着実に導入が進んでいるものの2004年3月時点で出力68万kWと世界9位の導入量に留まっていて、2010年時点で出力300万kWを目標としていますが、第1位のドイツの1461万kW(2003年末)とは大きい格差があります。日本では風の乱れが大きいことにより現状では風力発電設備の利用率が低く、出力の安定化や系統の強化などが課題となっています。

バイオマス発電としては、大型のごみ焼却炉による廃棄物発電が大きな割合を占めていますが、2002年からバイオマス・ニッポン総合戦略による支援策により木質バイオマスやメタン発酵ガスなどの利用が徐々に進んでいます。一方、再生可能エネルギーの熱利用については、製紙工場での黒液処理が大きな割合を占めています。住宅での太陽熱の利用については1990年をピークに減少傾向にありましたが、近年、エネルギー変換効率の高さや比較的設備費用が安価という特性を生かした見直しが始まっています。その他、これまで利用されてこなかった未利用エネルギーとして雪氷熱利用やヒートポンプ技術を利用した温度差エネルギー利用なども近年注目されています。

11:23 午後 エネルギー | | コメント (0) | トラックバック (1)

2005年6月 9日 (木)

風力発電の普及

サステイナブルなエネルギーとして風力発電が注目を集めています。日本ではようやく100万kW(1000MW)に届くレベルですが、ここ10年間で世界各国で導入が進み、2005年3月に世界風力エネルギー協会(GWEC)が発表した数字では、2004年時点での全世界の発電容量は4700万KW(47,317MW)となっています。発電容量の大きな国は、以下のとおりです(NEDO海外レポート No.955, 2005.5.18)。

  • ドイツ:16,629MW
  • スペイン: 8,263MW
  • 米国: 6,740MW
  • デンマーク: 3,117MW
  • インド: 3,000MW

これらの国以外では、日本を含めイタリア、オランダ、英国などが1000MW規模になっています。

ドイツでこれだけ風力発電が普及したのは、2000年に施行された「再生可能エネルギー法」により、風力発電を含む再生可能エネルギーからの電力買取を義務付けた効果が大きいと言われています。すでにドイツでは2004年に総電力需要に占める再生可能エネルギーの割合が9%を超え、総エネルギー需要に対しても3.6%となっています。日本でもいわゆるRPS法が2003年に施行されましたが、あまり効果を挙げていないのはとても残念なことです。

昨年ドイツのボンで開催された再生可能エネルギー国際会議「renewables 2004」は、ドイツが主催し、これまでの各国での再生可能エネルギーの普及状況や成果、そして今後の普及目標などが示されました。現在のところ、ドイツそしてEUが再生可能エネルギーにおいて一歩リードしていることは、紛れも無い事実の様です。

日本も、省エネルギーや太陽光発電、廃棄物リサイクルにおいて優れた技術をもっていますが、政策的にまだまだ不十分な点があり、産業界の保守性と国民理解の不足などから再生可能エネルギーの本格的な普及には至っていません。これからの10年が日本にとっても再生可能エネルギーの本格的な普及を含むエネルギー政策の転換点になるのは確実の様な気がしますし、そうしなければならないと思います。

08:36 午前 エネルギー | | コメント (0) | トラックバック (0)

2005年6月 2日 (木)

日本のエネルギーはサステイナブルか?

私達が普段何気なく使っている電気やガソリンは、果たしてサステイナブル(持続可能)でしょうか?ここで言うサステイナブルとは本来の地球環境に優しく温暖化ガスや有害物質をできるだけ出さないという意味と、将来に渡って安定して供給されるか?という意味が含まれています。

資源エネルギー庁が毎年発表している2004年版エネルギー白書によると、2001年現在、日本の一次エネルギー(石油、石炭、天然ガスなど)の80%以上は、海外からの輸入に頼っています。よってエネルギーの国内自給率は20%以下ということになりますが、その内の16%は原子力で純粋な国産エネルギーとは言えず、純粋な国産エネルギーは3%余りの水力と1%以下の新エネルギーだけという大変心もとない状況です。

エネルギー自給率は昔からこんなに低かったわけではなく、1960年代には国内産の石炭により56%の自給率がありました。高度成長時代に、海外特に中東の石油に頼った結果、エネルギー自給率は12%以下まで低下し、2度の石油危機を経て原子力や天然ガスを取り入れた現在のエネルギー供給体制になっています。

果たしてこの供給体制はいつまで継続することができるのでしょうか?大きく2つの懸念材料があります。ひとつは海外の情勢です。局地的な戦争やテロ、紛争が世界の各地でおきており、海外からの輸入にいつ支障が生じるとも限りません。もうひとつは京都議定書により目標とされている1990年比温暖化ガス排出量6%削減と、その先にある更なる温暖化ガス削減です(2050年には現在の半分にする必要があると言われています)。

現在のエネルギー供給体制が、これから先もずっと続くとはとても考えられませんが、この先のシナリオはその人の立場や問題の理解の程度により大きく異なるのが現状です。このあたりの状況を客観的に調査し、将来の方向性を国民自らが選択すべきという動きが最近少しずつ見られる様になりました。もちろん国がそれなりの取りまとめをしない限り、これまでの方向性を大きく変えることは難しいかもしれませんが、国民一人ひとり、地域、地方自治体および企業が真剣に考えて実行すれば、サステイナブル(持続可能)なエネルギーへ少しずつでも移行することができるのではないでしょうか。

ここまで大きくなってしまったエネルギー供給体制を変えるというのは、生易しいことではないのが実情ですが、ヨーロッパの国々ではすでにこの動きが一歩先に進みだしています。日本でも、可能な地域からこの問題に率先して取り組むことにより、日本全体が変わっていくことが可能になるような気もします。

04:20 午後 エネルギー | | コメント (0) | トラックバック (0)

2005年5月28日 (土)

サステイナブルなエネルギーとは?

サステイナブル(持続可能)なエネルギーの代表と言えば、風力がありますが、やはり元をたどれば太陽エネルギーでしょうか。現在の地球上で起こる様々な気象現象の源であり、古くは我々が使用している化石燃料(石炭、天然ガス、石油など)を数億年前に作る素となったと考えられています。

現在、国内で普及が進んでいる太陽光発電は、ご存知のとおり半導体による太陽電池で発電を行っていますが、2002年12月末現在で64万kWの導入実績となっており、世界でもっとも多い実績となっているそうです(新エネルギー財団資料)。2003年末のデータがないかと探したところ、太陽光発電システムプログラム(PVPS:    Photovoltaic Power Systems Programme)というIEA(国際エネルギー機関)の研究開発協力協定のサイトにデータがありました。2003年末の日本国内の導入実績は、なんと86万kWだそうです。これは国内の風力発電と同程度の規模になっており、いずれも原子力発電所1基分に近い能力を持つまでになって来ています。ちなみに全世界の2003年末の太陽光発電能力は180万kWとなっており、日本はその47%程度を占めています(第2位はドイツの41万kW)。

これだけ普及が進んだ太陽光発電もやはりネックはそのコストにあるようです。現在のkWhあたりの発電単価は約50円程度で、一般家庭の買電価格23円/kWhと比べて割高です。それでも10年前までは100円/kWh以上していたということですから、国の補助金制度による普及も手伝ってずいぶんコストも下がって来ています。このあたりは、最近発売された「自然エネルギー市場」という本に詳しく書いてあります。

実は、太陽エネルギーが作る気象条件により発生する風力による発電が、世界的には普及が進んでいます。もっとも普及の進んでいるドイツでは、2003年末で1500万kWの発電を風力で行っています。EU全体では2900万kW、全世界では3900万kWとなっていて、これは原発40基分相当という大変な量です。10年前には全世界でおそらく400万kW程度でしたので、10倍近く増えています(10年前までは米国が第1位でした)。EUでどの様なエネルギー政策が行われたのか、これから調べてみたいと考えています。

太陽エネルギーからの恵みといえば、バイオマスも忘れてはいけません。バイオマスとは生物由来の資源ということで、植物や家畜糞尿などが一般的には対象となります。古くから人類は森の木を、暖房などに利用して来ましたが、それをより大規模にしたバイオマス発電が北欧諸国を中心に普及しています。最近、国内でも大小さまざまな木質バイオマス発電の設備が稼動しつつありますが、別の機会に紹介したいと思います。通常のバイオマスは固体の状態であることが多く、気体(天然ガス)や液体(重油)に比べると扱いにくい面がありますが、森林からの木材の発生量と森林での再生量がうまくバランスすれば、サステイナブルなエネルギーとして有望と考えられています。家畜糞尿も、産業廃棄物で大きな割合を占めているぐらいですから、人間からのものもあわせれば、発生したメタンや汚泥などからかなりのエネルギーを回収できる可能性があります(定量的な話は別途)。

この他にもサステイナブルなエネルギーとしての再生可能エネルギーは、たくさんありますし、今後も新しい技術が開発されていくと考えられます。

実は、エネルギーに関しては省エネルギーという分野が、かなり重要になってきます。「ネガワット(Negawatt)」という造語もあるぐらいで、省エネルギーをビジネスとするESCO事業も盛んに行われてきています。

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